はじめに
MSX用自作カートリッジとして、32 KB ROMカートリッジの作製例はたくさんありますが、64 KB ROMカートリッジの作製例は限られています。
MSXMakersの公開している64 KB ROMカートリッジでは、32 KBのROMイメージ2種類、16 KBのROMイメージ4種類を書き込んで、DIPスイッチを切り替えることにより、それぞれのROMイメージを動作することが可能です。
また、ROMイメージの書き込みのために、カートリッジとROMライターのアダプタが用意されているので、ICチップを取り外さなくても、ROMの書き換えが可能です。
本記事では、カートリッジを作成し、64 KBのROMイメージを動作させた例を紹介します。
少数のスルーホール型部品を半田つけ
基板作成に必要なガーバーデータはGithubで公開されています。
組み立て方法および利用方法は、MSXMakersのページに詳しく説明されています。
カートリッジ基板に搭載する部品は、LEDとLED制御用抵抗、セラミックコンデンサ、電解コンデンサ、12系統のDIPスイッチ、28ピンのICソケットです。
また、書き込み用アダプタに搭載する部品は、50ピンのカートリッジソケットと細い丸ピンのピンヘッダです。
ピンヘッダのピンが細くないと、ROMライタのゼロプレッシャーソケットとの接触が悪くなり、書き込みに失敗するようです。
詳細は、MSXMakersのページを参照してください。
作製したカートリッジと書き込み用アダプタ
ROMを直接はんだ付けしてもいいのですが、ICチップの置き換えが可能なようにソケットを使っています。
カートリッジ裏面です。

ピンが細いので、はんだ付けが比較的簡単です。
アダプタの上面です。

MSX用カートリッジのスロットを搭載しています。
アダプタの下面です。

ROMライタとの接触に配慮して、丸ピンになっています。
64 KBのROMイメージの書き込み
64 KBのROMイメージの書き込みでは、複数のDIPスイッチをONに設定します。
ONにするスイッチは、基板にも印刷されており、
P1->A15
RD
P27->A14
で、残りのスイッチはOFFにします。
ROMライタで搭載しているEEPROMの型番を選んで書き込みを行います。
カートリッジ使用時に、すべてのDIPスイッチをOFFに設定する必要はありません。
ROMカートリッジの起動
64 KBのROMイメージにfuzix.cartを書き込みました。
fuzix.cartはMSXで動作するUNIX風OSのローダーとカーネル部分を含んでいます。
rootfs部分を含むカートリッジを搭載していないので、動作途中で停止します。
おわりに
64 KB Linear ROMに対応したカートリッジを作成しました。
また、32 KBのROMイメージ2種類、16 KBのROMイメージ4種類を書き込んで利用することも可能です。
搭載したいROMイメージを準備し、Windowsで動作するツールを使って、このカートリッジに対応する64 KBのファイルに変換します。
ファイル変換用ツールは、MSXの同人カートリッジを作成している「RBSCグループ」が64 KB未満のROMイメージの変換ツールを公開していますので、こちらを使用します。
「SGC_ImageCreator.exe」がWindows用のファイルです。
