はじめに
コンピュータ関連の展示会で、自作プログラムの動作する電子辞書を展示すると、高校生や大学生に受けがいいことがわかります。
シャープ製Barinシリーズでは、WinCEやLinuxが動作するので、自作プログラムの例が豊富です。
一方、カシオ製EX-WORDでは、自作プログラムの例が少数です。
EX-WORDの世代違いは、Dataplusの数字で区別しています。
そのうち、Dataplus4、5、6では、追加辞書の追加方法を使った、自作プログラムのインストールのが紹介されています。
Ubuntu22.04で紹介されているインストールを試そうとしたところ、うまく動作しませんでした。
ここでは、インストール用のプログラムである、「libexword」のソースファイルを修正して公開されているプログラムのインストールを行う方法を紹介します。
本記事の内容の一部は、2025年6月15日に行われた「鹿児島Linux勉強会 2025.6」の内容を含みます。
dmesgの内容
USBケーブルでLinuxマシンにCASIO EX-WORDを接続すると、以下の情報が得られいます。
[21128.542619] usb 2-3: USB disconnect, device number 6
[21159.643080] usb 2-3: new high-speed USB device number 7 using xhci_hcd
[21159.770694] usb 2-3: New USB device found, idVendor=07cf, idProduct=6101, bcdDevice= 1.00
[21159.770712] usb 2-3: New USB device strings: Mfr=1, Product=2, SerialNumber=0
[21159.770719] usb 2-3: Product: CESG502
[21159.770724] usb 2-3: Manufacturer: CESG502
CEG502という商品として認識されています。
libexwordの修正
libexwordをUbuntu22.04でビルドするには、以下の準備が必要です。
まず必要なライブラリのインストールです。
$ sudo apt install git build-essential libusb-1.0-0-dev libglib2.0-dev libreadline-dev libtool python2-env
libexwordのリポジトリをgit cloneします。
$ git clone https://github.com/brijohn/libexword.git
$ cd libexword
バージョン2.0を使用するよう設定して、提供されているシェルスクリプトを起動します。
$ git checkout -b 2.0-dev origin/2.0-dev
$ ./autogen.sh
エラーが出ると思いますので、「configure.ac」の修正を行います。
6行目「 PKG_PROG_PKG_CONFIG 」削除
17行目「AC_PROG_LIBTOOL」ー>「LT_INIT」
18行目「 PKG_PROG_PKG_CONFIG 」追加
libexwordのビルド
修正後は「autogen.sh」が動作します。
続いて、以下のコマンドを実行します。
$ make
$ sudo make install
転送するファイルの準備
libexwordは特定のディレクトリにあるファイルのみを転送します。
例えば、転送したいファイル、例えば「GNUBY」だとすると、
$ sudo mv path/to/GNUBY /root/.local/share/exword/ja/GNUBY
として、「/root/.local/share/exword/ja」のディレクトリに、ファイルを移動します。
ファイル転送
EX-WORD上で、「ライブラリー」ー>「通信」の順にボタン操作を行って、通信待ちの状態にします。
その後、Linuxマシン上で
$ sudo exword //USBの設定しない場合
とコマンド実行すると、以下に示すようにlibexwordの世界に入ります。
これ以降は、以下のurlの説明通り行います。
ファイル転送とプログラムの動作の実際
以下に、実際のファイル転送時の表示とプログラムの動作の実際を紹介します。
おわりに
libexwordの修正を行うことで、Casio EX-WORDのDataplus4、5、6でGNUBOYの動作させることができました。
今後は、自作のプログラムの動作に挑戦します。