Hubble CTOの藤井です。
Hubble Advent Calendar 2025 も最終日を迎えました。
お陰様で開発メンバーも増え、今年はメンバー一人一投稿ですべての枠を埋められるようになりました。
また、記事を眺めていても、Hubbleの技術レベルが今年も一段上がったことを感じます。
今年一年を象徴するトピックを一つ挙げるとすれば、やはり 生成AI でしょう。
開発現場で生成AIがどのように活用されているのかを把握するため、
今回、開発チーム向けにアンケートを実施しました。
この記事では、
- CTOとして久しぶりに現場に入った実体験
- 開発チーム全体での生成AI活用の傾向
を通して、2025年のHubble開発の現在地をまとめます。
まずは実体験
〜 1週間で4プロジェクトをリリースした話 〜
シリーズBを迎え、Hubbleの開発組織も50名近くになってきました。
CTOとしての僕のフォーカスも、プロジェクトでコードを書くことより、
採用や組織づくりにリソースを割く比重が大きくなっています。
そんな中、AIチームから
「どうしても年明けにリリースしたい機能がある」
という相談があり、久しぶりにプロジェクトリードとして開発現場に入ることになりました。
生成AIを前提にした開発フロー
Hubbleの開発チームでは、日々生成AIを活用した効率化の議論が行われています。
- Cursor Rule の整備
- Devin Knowledge の強化
- レビューでの生成AI活用方法の検討
こうした知見は GitHub や Notion にまとめられ、
チームの共通資産として蓄積されています。
今回は、いわゆる「生成AIを前提にした開発」を、かなりガッツリやってみました。
具体的には、
- Notion MCP を使って、まず該当の仕様書をそのまま読み込ませる
- そこから実行計画(例:
plan.md)を生成させる - 計画を見て不明点や違和感があれば、Notion 側の仕様を更新し、仕様とコードのズレをなくす
- 実装後は、Cursor Rule に基づいてセルフレビューを実施
- 最後に GitHub MCP 経由で Pull Request を作成
という流れです。
「生成AIに補助してもらう」というより、
生成AIと一緒に開発を進める感覚に近く、
仕様理解から実装、レビューまでの迷いがかなり減ったのが印象的でした。
このフローで、4件のリリースを1週間で完了しました。
正直、去年と比べて
開発生産性が圧倒的に上がっていることに驚かされました。
みんなはどうしているんだろう?
〜 開発チームへのアンケート 〜
この体験をきっかけに、
他のメンバーは、日々どのように生成AIを活用しているのか?
という疑問が生まれ、開発チーム向けにアンケートを実施しました。
アンケート結果①
生成AIは、どのフェーズで使われているか
質問:
普段の開発において、生成AIを主にどのフェーズで利用していますか?
| フェーズ | 傾向 |
|---|---|
| 実装 | ほぼ全員が日常的に活用 |
| コード理解・リファクタ | 活用度が高い |
| レビュー | 観点補助として広く利用 |
| 仕様・設計 | 活用度にばらつきあり |
実装フェーズでは、生成AIは
自然に開発フローへ組み込まれた存在になっていました。
アンケート結果②
実装フェーズでの使い方(自由記述より)
質問:
実装フェーズでは、生成AIをどのような用途で使っていますか?(自由記述)
「まず AI にたたき台を書かせてから、自分で整えるのが一番しっくりきます。
ゼロから書くより、思考の立ち上がりが圧倒的に早いです。」
「既存コードを読ませて、『この設計の意図は?』と聞く使い方をよくしています。
ドキュメントが追いついていない部分の理解にかなり助けられています。」
生成AIは、
作業を代替する存在というより、思考を補助する相棒として使われている印象でした。
アンケート結果③
レビューでの生成AI活用
質問:
コードレビューにおいて、生成AIをどのように活用していますか?
- バグの可能性チェック
- 観点漏れの洗い出し
- セキュリティ・パフォーマンス観点の補助
自由記述では、次のような声がありました。
「AIレビューは“答え”を求めるというより、
自分のレビュー観点が偏っていないかを確認するために使っています。」
人間のレビューを置き換えるのではなく、
人間の判断を補強する存在として使われています。
アンケート結果④
課題として挙がった点
質問:
生成AIを使った開発において、課題に感じている点は何ですか?
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| コンテキスト調整 | 背景説明に手間がかかる |
| 会話コスト | 長いやり取りに疲れる |
| 回答の見極め | 正しそうに見える誤り |
| 使い方の差 | 個人ごとのばらつき |
これらは、
生成AIを実際に使い込んでいるからこそ出てくる課題だと感じます。
まとめ
2025年は、Hubbleの開発現場において
生成AIが開発プロセスに定着した一年でした。
一方で、
- チームとしての最適な使い方
- ベストプラクティスの共有
といった点は、まだ発展途上です。
CTOとしての一言
CTOとして久しぶりに開発現場に入り、強く感じたのは、
生成AIの価値はツールそのものではなく、チームが積み上げた前提や文化の中で初めて最大化されるということでした。
個人がうまく使えるだけではなく、
開発プロセス全体にどう自然に組み込むか。
そこにこそ、これからの開発組織の差が出てくると思っています。
2026年に向けて、Hubbleとしても
生成AIとどう向き合い、どう開発に溶け込ませていくかを、
引き続き試行錯誤していきます。