#これはAmazon FSx for Windowsをサクッと知りたい人向けの記事
もう既にドキュメントを読んで理解してるよ。作ったことあるよって人は回れ右。
なんか興味あるねんってくらいの人向け。
###■そも、Amazon FSx for Windowsってなんぞ
AWSがマネージドするWindowsファイルサーバー。正確にはファイルシステム、なのかな。
回線帯域もディスクもAWSが運用してくれるので、保守運用とか考える必要が無いのがメリット。
機器の保守切れやらOSのアップデートやら障害対応なんやら考えなくていいので、社内SEの仕事を一つ奪うことが出来るよ。
使い方もお手持ちのWindowsファイルサーバーと変わらない。smb使ってお好きにアクセスできる。
あと、セキュリティ面もAWSが保証してくれるので下手にセキュリティアプライアンスとか導入するよりも良い。
転送中のデータは自動的に暗号化されるし。
###■うまい話過ぎて信用できんな?
まぁ、そらそうで。
FSxを利用するにあたっては何点か留意しておく点がある。
1. ActiveDirectoryが必須
2. コスト計算が若干面倒
3. 費用を諸々考えると結構する
###■1. ActiveDirectoryが必須。
結構見落としている人が多いんだけど、FSxにはActiveDirectoryが必須。
使えるADはAmazon Directory ServiceのMicrosoftADか、自作(オンプレミスでもクラウドでも)のMicrosoft ActiveDirectory。
もちろん、FSxを作成するVPCが定義するCIDR配下のADである必要がある。オンプレならDirectConnectかVPNで繋ぐ必要あり。
「なんだ思ったより安いな」
そう思って見積もりを作ってたら、実はADの費用が入ってなかった。なんてことにならないようにね。
###■2. コスト計算が若干面倒
公式ページにカリキュレーターがあるのですが、利用するストレージ量とスループットキャパシティ(平均帯域)に加え、重複排除の削減という謎の項目を追加しないといけない。
(公式にもなんか、「これくらいで計算してくれ」としか書いてないのでここら辺は雰囲気で数字入れるしかない…)
バックアップはオプションで、増分取得なのでいつものスナップショットを取得する際の感覚で計算してOK。
(7世代増分取得の場合は、全体容量の3世代分くらいで見積もることが多いです。それでも多い時の方がしばしばだけど)
転送量については、実際にコンソールで作成する時に目安のスループット量が出てくるので、
こちらで提示するのが無難だと思うんですが、だったら公式のカリキュレーターにも載せて欲しいと思う今日この頃。
いちいちAWSコンパネにログインして作成画面見ないとならぬ…。
###■3. 費用を諸々考えると結構する。
以下条件で見積もったとする。
【条件】
ActiveDirectory :Amazon Microsoft AD
ストレージ容量 :3TB
スループット :32MB/s
重複排除 :50%
バックアップ :9TB
【見積り】
Amazon Microsoft AD費用 : 288.00 USD
ストレージ容量費用 : 234.00 USD
スループット費用 : 80.96 USD
バックアップ費用 : 225.00 USD
合計料金 (monthly): 827.96 USD
####高え
いやまぁ、バックアップ費用抜いたらとか、ADが元からあるところはそれ使えばいいって節約できるんだけど、
ADも無くてバックアップも欲しいとかいうお客様はこの見積もり出さないといけない。
プラスα、ADの管理費用とか(インフラ保守じゃなくて権限周りの設定)を含めるとさらに費用を乗せることになるので、
中小企業で使うにはなかなか厳しいかも。
###■とはいえ、よ。
同条件のSSDのWindowsサーバー+ADを提案しようとしたら前述の金額以上は絶対必要になるし、
バックアップや**冗長構成(Multi-AZ)**も組めるので、予算があるなら絶対こっちでファイルサーバーを作った方がメリットは大きい。
何より、セキュリティの担保をAWSがしてくれるのでADの権限周りさえしっかりしておけば管理部が扱うようなデータだって、このFSxで扱っちゃって問題無い。
費用比較の資料を作るなら、そこも含めて提案すると通しやすくなるかも。
FSxをただのファイルサーバーと侮るなかれ。
FSxはセキュアかつ、可用性・機密性の高いマネージドファイルサーバーなのだ。