初めに
この記事は新卒でスクラム開発を始めたエンジニアがスクラムガイドを読み,学んだことをまとめた記事です.
スクラムガイドとは
Jeff Sutherland と Ken Schwaber が 30 年以上かけて開発・進化・保守しているスクラムを⽂書化したものである
スクラムガイドは,スクラムのためのルールブックのようなもの.
18ページしかないので比較的読みやすい!
読む前までの知識
- ウォーターフォールやアジャイルについて多少違いを知っている
- プロダクトオーナーやスクラムマスターが何をするのか知らない
- リファイメントって何?(先輩のカレンダーの予定によく入ってる)
ウォーターフォール
要件定義から開発保守運用まで各フェーズを上から下に流れるように進め後戻りをしない.
アジャイル
変化に柔軟に対応できるよう各フェーズを短い期間で繰り返すもの.
スクラムガイドのまとめ
スクラムとは
複雑な問題に対応する適応型のソリューションを通じて、⼈々、チーム、組織が価値を⽣み出すための軽量級フレームワーク.
- プロダクトオーナーは複雑な問題に対応するための作業をプロダクトバックログに並べる
- スクラムチームはスプリントで選択した作業を価値のインクリメントに加える
- スクラムチームとステークホルダーは,結果を検査して,次のスプリントに向けて調整する
- 繰り返す
プロダクトオーナー:プロダクトの価値を最大化することに責任を持つ人
プロダクトバックログ:プロダクトのやることリスト
スプリント:短い期間の開発サイクル
インクリメント:成果物
スクラムの理論
スクラムは「経験主義」と「リーン思考」に基づく.
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経験主義 ( empiricism )
知識は経験から生まれ,意思決定は観察に基づく
4つのイベント(スプリントプランニング,デイリースクラム,スプリントレビュー,スプリントレトロスペクティブ)は, 経験主義のスクラムの三本柱「透明性」「検査」「適応」 に基づいて行動されている.
透明性
創発的なプロセスや作業は、作業を実⾏する⼈とその作業を受け取る⼈に⾒える必要がある
透明性の低い成果物は価値を低下させ,リスクを高める意思決定につながる
検査
作成物と合意されたゴールに向けた進捗状況は、頻繁かつ熱⼼に検査されなければならない
潜在的に望ましくない変化や問題を検知するため
適応
許容範囲を逸脱していたり,プロダクトが受け⼊れられなかったりしたときは、適⽤しているプロセスや製造している構成要素を調整する必要がある
逸脱を最⼩限に抑えるため、できるだけ早く調整しなければならない
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リーン思考 ( Lean thinking )
価値を最大化するために無駄を省き本質に集中する
スクラムの価値基準
スクラムが成功するかどうかは5つの価値基準を実践できるか
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確約
ゴールを達成し、お互いにサポートすること確約する -
集中
ゴールに向けて可能な限り進捗できるように、スプリントの作業に集中する -
公開
スクラムチームとステークホルダーは、作業や課題を公開する -
尊敬
スクラムチームのメンバーは、お互いに能⼒のある独⽴した個⼈として尊敬し、⼀緒に働く⼈たちからも同じように尊敬される -
勇気
正しいことをする勇気や困難な問題に取り組む勇気を持つ
スクラムチーム
プロダクトオーナー1人,スクラムマスター1人,複数人の開発者で構成.通常は10人以下.
- 機能横断型
各スプリントで価値を生み出すために必要なすべてのスキルを備えている - 自己管理型
誰何をいつどのように行うかチーム内で決定する.
プロダクトオーナー
スクラムチームから⽣み出されるプロダクトの価値を最⼤化することの結果に責任を持つ.
効果的なプロダクトバックログ管理にも責任を持つ.
- プロダクトゴールを策定し、明⽰的に伝える
- プロダクトバックログアイテムを作成し、明確に伝える
- プロダクトバックログアイテムを並び替える
- プロダクトバックログに透明性があり、⾒える化され、理解されるようにする
プロダクトオーナーをうまく機能させるには、組織全体でプロダクトオーナーの決定を尊重しなければならない。
スクラムマスター
スクラムガイドで定義されたスクラムを確⽴させることの結果に責任を持つ.
- チームへの支援
- ⾃⼰管理型で機能横断型のチームメンバーをコーチする
- スクラムチームが完成の定義を満たす価値の⾼いインクリメントの作成に集中できるよう⽀援する
- スクラムチームの進捗を妨げる障害物を排除するように働きかける
- すべてのスクラムイベントが開催され、ポジティブで⽣産的であり、タイムボックスの制限が守られるようにする
プロダクトオーナーの支援
- 組織へのスクラムの導⼊を指導・トレーニング・コーチする
- 組織においてスクラムの実施⽅法を計画・助⾔する
- 複雑な作業に対する経験的アプローチを社員やステークホルダーに理解・実施してもらう
- ステークホルダーとスクラムチームの間の障壁を取り除く
開発者
開発者はスクラムチームの⼀員である
開発者は常に次の結果に責任を持つ.
- スプリントの計画(スプリントバックログ)を作成する
- 完成の定義を忠実に守ることにより品質を作り込む
- スプリントゴールに向けて毎⽇計画を適応させる
- 専⾨家としてお互いに責任を持つ
スクラムイベント
スクラムの作成物の検査と適応をするための公式の機会である
規定通りにイベントを運⽤しなければ、検査と適応の機会が失われる
スプリント
1か月以内の決まった長さ
前のスプリントが終わり次第,新しいスプリントが始まる
プロダクトゴールに対する進捗の検査と適応が少なくとも 1 か⽉ごとに確実になり、予測可能性が⾼まる
スプリントプランニング
スプリントの起点
スプリントで実行する作業の計画をチーム全体で立てる
- このスプリントはなぜ価値があるのか?
- このスプリントで何ができるのか?
- 選択した作業をどのように成し遂げるのか?
デイリースクラム
計画された今後の作業を調整しながら、スプリントゴールに対する進捗を検査し、必要に応じてスプリントバックログを適応させる
日本では朝会と呼ばれることが多い
スプリントレビュー
スプリントの成果を検査し、今後の適応を決定すること
主要なステークホルダーに作業の結果を提⽰し、プロダクトゴールに対す る進捗について話し合う
スプリントレトロスペクティブ
品質と効果を⾼める⽅法を計画すること
スプリント中に何がうまくいったか、どのような問題が発⽣したか、そしてそれらの問題がどの ように解決されたか(または解決されなかったか)について話し合う。
スクラムの成果物
プロダクトバックログ
創発的かつ順番に並べられた、プロダクトの改善に必要なものの⼀覧である
リファインメントの活動を通じて、選択に必要な透明性を獲得する
プロダクトゴール
プロダクトの将来の状態を表す
リファイメント
プロダクトバックログアイテムがより⼩さく詳細になるように、分割および定義をする活動
スプリントバックログ
開発者による、開発者のための計画
スプリントゴール(なぜ),スプリント向けに選択されたいくつかのプロダクトバックログアイテム(何を),およびインクリメントを届けるための実⾏可能な計画(どのように)で構成される
スプリントゴール
スプリントの唯⼀の⽬的
スプリントプランニングで作成され、スプリントバックログに追加される。
インクリメント
プロダクトゴールに向けた具体的な踏み⽯(目標達成までの過程における、一時的な手段や段階)
完成の定義を満たしたとき,インクリメントをこれまでのインクリメントに追加する
完成の定義を満たさない場合,プロダクトバックログに戻す.
完成の定義とは,プロダクトの品質基準を満たすインクリメントの状態を⽰した正式な記述
終わりに
スクラムガイドを読むことで,スクラムに関する知識や用語(リファイメントなど)について知ることができました.
最終的な目標を達成するために,やることを細分化して,それぞれを短い期間で達成していくものだと分かりました.
変化に柔軟に対応しながら価値あるプロダクトを生み出していくこと.
開発だけでなく日常の生活でも活かせそうな内容でした!