2025/11/19(日本時間)から開催された Microsoft Ignite 2025。
今年は例年以上に「Agent」「Copilot」といったキーワードが前面に押し出されていて、「エージェント AI 前提の世界」に備える年 になったと感じました。
この記事では、公式の Book of News や各種ブログをひと通り眺めたうえで、
「個人的にこれは仕事が変わる」と感じたトピック をピックアップし、妄想も込みで整理してみます。
1. Microsoft Ignite 2025 のざっくり概要
1-1. 今年のテーマは「Frontier firm × Agent AI」
公式メッセージをざっくり一文でまとめると:
「あらゆる組織を、エージェント AI を前提とした “Frontier firm” に進化させる」
といった方向性でした。
特に印象的だったのは、次の 3 つの流れです。
-
Agent 365
- 企業内のあらゆる AI エージェントを「従業員と同じように」登録・可視化・統制するコントロール プレーン
- Microsoft Entra / Defender / Purview と連携して、
shadow agents(野良エージェント)の検知・隔離まで含めて面倒を見る
-
Work IQ
- Microsoft 365 全体に横断的に入る「インテリジェンス レイヤー」
- 後述の Workforce Insights / People / Learning などのエージェントを支える土台
-
Copilot / Collaborative Agents の拡張
- Teams チャンネル エージェント、SharePoint の Knowledge Agent、Viva Engage の Community Agent など
- MCP(Model Context Protocol)対応でサードパーティ SaaS や外部エージェントとも連携
Book of News を「agent」で検索すると 400 回以上(自分の環境では 426 ヒット) 出てきたので、 「今年は本気で Agent 元年にするつもりなんだな…」と肌で感じます。
2.【Best Topic】Microsoft 365 Copilot に会話メモリが実装
Microsoft 365 Copilot の Conversation memory により、Copilot はセッションをまたいでコンテキストと特定の詳細を保持できるようになる。
ワーク プロファイル、カスタム指示、保存された嗜好などの明示的なシグナルを、以前のチャットからの洞察や Work IQ に基づくコンテキスト認識と組み合わせることで、
Copilot はより適切でパーソナライズされた応答を提供する。
ユーザーは会話メモリをいつでも確認・更新・削除することができ、この機能はまず Frontier プログラム経由で提供される。
ついに来ました…ずっと待っていた機能です。
これまでは、新しいチャットを開くたびに Copilot とは「初対面」 でした。そのため、
- Role Prompting(あなたは〜なロールです)
- Persona Prompting(〜なキャラで話してください)
- Contextual Prompting(前提条件や背景を毎回書く)
…といったことを、毎回プロンプトに書いて “関係性” を作る必要 がありました。
会話メモリが入ることで、
- 「よく相談している背景」や「自分の好み」が継続的に伝わる
- それを前提に、いきなり “続きから” 壁打ち できる
という状態に近づきます。
2-1. 具体的なストーリー例①:5人チームのマネージャーとして
例えば、次のような会話が想定できます。
- あなたは 5 名のメンバーを率いる管理職。
- ピープルマネジメントに悩んでいて、ここ数ヶ月は 1on1 の改善施策や評価プロセスの見直しを進めている。
- 来期に向けて組織マネジメントの新しい施策を検討したい。
これまでは毎回、
- 「私は〜という部門のマネージャーで…」
- 「メンバー構成は〜で…」
- 「直近は〜という施策を試していて…」
と背景から説明していました。
会話メモリが効いている状態なら、いきなり:
「来期に向けて “ミドル層の育成” にフォーカスした施策アイデアを 5 つ出して。
10 人月以内で実現できるものだけに絞ってほしい。」
と聞くだけで、
- これまで相談していた「チーム構成」や「既存施策」
- あなたがよく使う KPI / 評価指標
- 過去に採用しなかった案(=NG 条件)
などを踏まえたうえで、「続きからの提案」 をしてくれるイメージです。
2-2. ストーリー例②:複数案件を抱えるコンサルタントの場合
もう少し別のパターンも考えてみます。
- あるコンサルタントは、製造・小売・金融といった複数のクライアントを担当
- 各社で「資料のトーン」「好まれる図のスタイル」「タブーな表現」が微妙に違う
会話メモリがない世界では、毎回:
「このクライアントはとても保守的なので、
インパクトが強すぎる表現(破壊的、ディスラプティブ等)は避けてください」
などと説明する必要がありました。
会話メモリが入ると、
- 「このスレッドは A 社のプロジェクト」ということを一度教えておくと、
- 以降は「A 社向けのトーン & NG ワード」を前提に、提案資料やメール案を作ってくれる
という “クライアントごとの人格切り替え” が自然にできそうです。
2-3. ストーリー例③:データアナリストとしての「毎月の定例レポート」
Power BI や Excel で月次レポートを作るデータアナリストのケースもありそうです。
- 毎月、同じような DAX / クエリを使って
- 同じような観点でグラフを作り
- 同じような粒度でコメントを書く
会話メモリがあれば、次のような会話が自然です。
「前回までと同じ定例レポートを、今月分のデータで更新して。
ただし今月は広告費が大きく動いたので、その要因分析セクションを 1 章追加して。」
Copilot は、
- 過去のレポート構成と使用したメジャー / クエリ
- レポートをレビューしたときのあなたのフィードバック
を踏まえて、「あなたのいつものレポート」 らしい形で更新してくれるイメージです。
3. Microsoft Teams × サードパーティ SaaS エージェント(MCP 連携)
Microsoft Teams の Channel Agent(チャンネル エージェント)が、
GitHub / Asana / Atlassian Jira などの Model Context Protocol (MCP) サーバー経由でサードパーティのアプリやエージェントと連携 できるように。
これは現在プレビューで、M365 Copilot ライセンスと管理者の有効化が必要。
これ、結構とんでもないアップデートだと思っています。
3-1. これまでの「ワークフロー連携」と何が違うか
これまでの Teams 連携は、
- Power Automate や Logic Apps 経由の ワークフロー連携
- 特定イベントに応じた 通知 / 定型タスクの自動化
が中心でした(もちろんこれも十分便利)。
今回のアップデートは、
- SaaS 側のエージェント と MCP 経由でつながることで
- 「チャットで会話していると、裏でその SaaS に聞きに行ってくれる」
という世界に一歩踏み込みます。
3-2. Asana を例にしたユースケース
例えば、Asana でプロジェクト管理をしているチームなら:
「@チャネルエージェント
今週期限超過しているタスクを、担当者別にまとめて教えて」「同じく、
XXX プロジェクトの今週分の進捗サマリーを、
Asana のコメントも踏まえて Markdown でレポート化して」
といったプロンプトだけで、
- Asana エージェントが MCP 経由でタスクやコメントを取得
- Teams チャンネルの文脈に合わせたレポートとして返す
という流れが実現します。
最初はテキストベースの回答が中心だと思いますが、
将来的に Power BI / Viva / PowerPoint などと組み合わせてダッシュボード表示 できるようになると、UX は更に向上しそうだなと思います。
4. Work IQ を搭載した 3 つの新しいエージェント (Workforce Insights / People / Learning)
Work IQ を搭載した 3 つの新しいエージェント が登場し、従業員体験の再定義を支援する。
Work IQ は Microsoft 365 Copilot と各種エージェントを強化するインテリジェンスレイヤーで、
それぞれのエージェントは以下の役割を持つ:
- Workforce Insights Agent
- 役割・勤続年数・勤務地などの属性をまたいだリアルタイムなワークフォースのビューを提供
- データドリブンな人材配置・人件費最適化などを支援
- People Agent
- 役割・機能・スキルに基づき、組織内で「誰に聞くべきか」を探し出す
- 過去の交流に基づき、つながり方の提案も行う
- Learning Agent
- 役割や現在のスキルに応じたマイクロラーニング / コースをレコメンド
- AI スキルのアップスキリングも支援
4-1. マトリクス組織 × ワンプール制と相性が良さそう
最近はどの会社も人材の流動性が高くなり、
- 部門をまたいだプロジェクト
- 社内副業・横断コミュニティ
- グローバル・リージョンをまたいだコラボ
が当たり前になっています。
そういった組織で 「今このテーマで一番話を聞くべき人」 を探すのは、正直かなり手間です。
- マトリクス型組織
- コンサルファームのようなワンプール制
- 社内コミュニティが活発な企業
では、特に People Agent が刺さりそうだなと感じました。
4-2. 「過去の交流に基づいて」のポテンシャル
個人的に一番惹かれたのが、People Agent の説明にあるこの一文です:
「過去の交流に基づいて同僚とのつながり方を提案する」
具体的にどのデータをどこまで見るのかは、今後のドキュメント待ちですが、もし例えば:
- Teams のチーム / チャネル / チャットの履歴
- Viva Engage のポスト・コメント・リアクション
- 会議への参加履歴(有志活動っぽいミーティングなど)
- お互いにメンションしあった回数 など
を統合的に分析して、
「このテーマなら、まず A さんに声をかけると良さそうです。
あなたとは過去に X プロジェクトで一緒に働いています。」
のような提案ができると、かなり強力な社内ネットワーク可視化ツールになり得ます。
5. Microsoft 365 Copilot × OpenAI Sora 2 で動画生成
Microsoft 365 Copilot の Create エクスペリエンスに、OpenAI の Sora 2 ビデオモデル が統合される。
ユーザーは自然言語のプロンプトから短い動画クリップを生成したり、
既存のストック映像を AI 生成コンテンツに差し替えたりできるようになる。
動画プロジェクトではナレーション / 音楽 / ブランド キットも取り扱える。
5-1. 社内動画制作のコストを一気に圧縮できる可能性
- 製品紹介
- 社内向けSNSでのプロモーション
- 経営層へのプレゼンテーション
など、「わざわざ外注するほどではないが、映像で見せたいコンテンツ」 はどの会社にも山ほどあります。
Sora 2 連携により、
- PowerPoint や Word の内容から動画モックを一気に生成
- 社内 SNS(Viva Engage 等)にショート動画として流す
といったワークフローが現実味を帯びてきました。
5-2. とはいえコンプライアンス面のハードルはかなり高い
一方で、Sora 系の生成動画は、
- 著作権・肖像権
- ブランドイメージの毀損リスク
- ディープフェイク的な悪用懸念
など、コンプライアンス観点の議論が避けられません。
実際、大企業では GIF を制限しているケースも多く、
- Sora 2 も「最初はかなり厳しい制限付き」での展開
- ガイドライン整備やレビュー プロセスとのセット運用
といった形になる組織が多いのではと想像しています。
6. Microsoft 365 Copilot エージェントによる Word/Excel/PowerPoint 自動生成
Microsoft 365 Copilot で作成されたエージェントが、自然言語から Word / Excel / PowerPoint のドキュメントを生成できるように。
これによりコンテンツ作成が簡素化され、M365 内でのセキュアな一元保存も促進される。
6-1. 「エージェント」側で資料作成まで完結させる
これまでは、
- 人間が Copilot と対話しながらたたき台を作る
- その後、人間が整えて完成させる
という流れでした。
今後は、例えば次のようなエージェントを作れます。
「Dynamics 365 の顧客データベースと、過去の提案資料(SharePoint / OneDrive 上)を元に、
今回の案件向け提案書の初版を PowerPoint で作る営業エージェント」
- 企業指定の PowerPoint テンプレートをベースに
- 顧客セグメントごとの「いつもの構成」を踏まえて
- 類似案件の成功事例をスライドに差し込んでくれる
…といったことが、割と現実的なラインに見えてきます。
6-2. EA / SA の荒いラフ図をきれいにしてほしい(願望)
個人的には、Enterprise Architecture / Solution Architecture のラフ図 をきれいに整形するエージェントに期待しています。
- 手描きの構成図
- 「〇〇と××の間はとりあえず連携線を引いてあるだけ」のような粗い PowerPoint 図
を渡して、
「この構成を、
社内標準の記号・色ルールに合わせて
レビュー可能なレベルに整形して」
とお願いすると、「レビュー会にそのまま持っていける図」 まで整えてくれる世界になってほしいなあ…
7. Microsoft Edge for Business:Copilot Mode で「セキュア AI ブラウザ」に
Microsoft Edge for Business が、
世界初のセキュア エンタープライズ AI ブラウザ として Copilot Mode を導入(Private preview)。
公開 Web データと組織データ(Microsoft Graph)を安全に組み合わせ、
マルチタブ推論や履歴検索、YouTube 要約などの AI 機能を提供する。
7-1. 「ブラウザそのものがエージェント的な相棒」になる
Copilot Mode をオンにすると、Edge は:
-
マルチタブ推論
- 最大 30 タブ分のコンテンツを横断して要約・比較
- 履歴の自然言語検索
- Daily Briefing や Agent Mode などのエージェント機能
を、M365 Copilot と同じセキュリティ基盤のもとで提供します。
既に M365 Copilot は、
- Web から出張費の相場を取得し
- 社内の旅費規程や申請フローを参照し
- 「あなたの会社における正しい手続き」を教えてくれる
といったことができますが、
同じような体験を「ブラウザのコンテキスト」で」 できるようにするのが Edge for Business の Copilot Mode という理解です。
7-2. 管理者視点でも扱いやすい設計
管理者にとって重要なのは、
- AI 機能の有効 / 無効(Copilot Mode のトグル)
- Purview / Defender / DLP との統合
- データ境界(テナント境界)をまたぐ情報流出リスクのコントロール
といったポイントです。
Edge for Business はもともと エンタープライズ ブラウザとしての制御機能 が充実していたので、そこに AI 機能が自然に乗ってくるイメージで、「AI を使うからセキュリティを妥協する」という構図を崩しに来ている と感じました。
8. Microsoft Defender:AI エージェントの可視化と「シャドウエージェント」対策
Microsoft Defender で、AI エージェント向けの統合ポスチャ管理と脅威対策がプレビュー提供。
Foundry や Copilot Studio で作成されたエージェント、Agent 365 SDK で接続されたサードパーティ エージェントを含め、
エージェントのインベントリ・脆弱性・攻撃パス・脅威検知を一元的に扱える。
いわゆる 「shadow agents」(ガバナンス外で動いている野良エージェント)の可視化・隔離も支援する。
8-1. シャドウ IT からシャドウ アプリ、そしてシャドウ エージェントへ
これまで企業が苦しんできたのは、
- シャドウ IT(許可されていないクラウドサービス)
- シャドウ ローコードアプリ(Power Apps などの野良アプリ)
でしたが、今後数年で確実に、
- シャドウ エージェント(誰が作ったかも分からない AI エージェント)
という新たなカテゴリーが増えるのは間違いないと思います。
Defender + Agent 365 のアプローチは、
- まず すべてのエージェントをインベントリに載せる
- 正規の Entra Agent ID を付けてライフサイクル管理する
- 危険なエージェントは隔離(quarantine)できる
という、かなり現実的な解決策を提示してきた印象です。
8-2. プロンプトインジェクションやデータ漏えいへの備え
発表内容を見る限り、Defender は次のような攻撃にフォーカスしているようです。
- プロンプトインジェクション
- 過剰な権限を持ったエージェント経由のデータ漏えい
- 外部エージェントとの連携部分の悪用 など
AI エージェントが “当たり前のインフラ” になった時代 に備えて、
今のうちからログ基盤やハンティング クエリの整備を始めておくのが良さそうです。
9. Microsoft Intune:リモート Windows 復旧エージェント(WinRE 管理)
Microsoft Intune が remote Windows recovery at scale を導入。
Windows Recovery Environment(WinRE)を Intune からリモート管理できるようになり、
デバイスが起動できない場合やユーザー不在の場合でも、管理者がリモートで復旧をトリガーできる(プレビュー)。
9-1. 「ブルースクリーンのデジタルサイネージ」をどこまで減らせるか
正直ここ、地味に書いてあることが凄まじいです。
- 大型商業施設のデジタルサイネージ
- 店舗レジ横のプロモーション端末
- 工場内の情報表示用 PC など
が、ブルースクリーンのまま放置されている光景 は、誰もが一度は見たことがあると思います。
もしそれらが Intune 管理下の Windows 端末であれば、
- 「この端末は今 WinRE に入っている」
- 「Recover Script A を実行して様子を見る」
- 「ダメなら Cloud Rebuild で OS をクリーン インストール」
といった対応を 本部から一括で打てる 未来が見えてきます。
9-2. 他にありそうなユースケース 2 つ
他にも、次のような現場で役立ちそうです。
-
全国に散らばる店舗の POS 端末
- 例えばチェーン店のレジ端末が、OS アップデート後に一斉に起動しなくなるような事故が起きたとき
- これまでは現地に人を飛ばすか、店舗スタッフに厳しい手順をお願いするしかなかったところを、
- Intune + WinRE リモート管理で、「本部からまとめて復旧」 できる可能性がある
-
フルリモート社員のノート PC
- 在宅オンボーディング中の新入社員 PC が、初日から起動しなくなった…という悪夢のようなケース
- これまでは PC の再送や、家族に BIOS 画面のスクショを撮ってもらう、など相当カオスな対応が必要でした
- Intune 経由で WinRE 状態を検知し、Point-in-time Restore や Cloud Rebuild を遠隔で実行できれば、オンボーディング体験をかなり守れる と感じます
もちろん、実際にはネットワーク条件や管理ポリシーなど前提条件があるので、
「どこまでできるか」は今後の検証次第ですが、方向性としてはかなり革新的なアップデート だと思いました。
10. Azure Virtual Desktop / Windows 365:External ID でのログイン対応
Windows 365 と Azure Virtual Desktop で、External identities(B2B) を使ったログインがサポート。
BYOD / 請負業者 / 外部ユーザー シナリオにおいて、外部テナントの ID を使って
Windows 365 Cloud PC や AVD VM にログインできるようになる。
(外部 ID 対応は GA として提供)
10-1. SES / パートナー企業にとってのインパクト
これは主に SES や外部ベンダーと組む企業 に大きな恩恵があると感じました。
- これまでは常駐先ごとに PC を手配し、
- それぞれのテナントに「別人としてのアカウント」を作る必要がある
というのが標準的な世界でしたが、External ID 対応により:
- 派遣元テナントの ID のまま 派遣先の Windows 365 / AVD にサインイン
- それを Global Secure Access / Conditional Access でしっかり保護
といった構成が取りやすくなります。
結果的に、
- PC 手配コストとリードタイムの削減
- オンボーディング / オフボーディングの効率化
- 技術者が「常駐先ごとに PC を持つ」負担の軽減
につながるため、エンジニア視点としても嬉しいアップデートです。
11. Business AI 系の新しい認定資格(ベータ)
Ignite 周辺で、Business AI 系の新しい Microsoft 認定資格(ベータ) が発表されています。
11-1. Copilot & Agent Administration Fundamentals(Exam AB-900)
-
対象ロール
- M365 / Copilot / 各種エージェントを支える IT 管理者・運用担当
-
カバー範囲(公式情報ベースで要約)
- Microsoft 365 Copilot やエージェントの基本コンセプト
- ライセンス / セキュリティ / プライバシー / データ境界の基礎
- テナント レベルでの Copilot / Agent 導入のベストプラクティス
11-2. AI Business Professional(Exam AB-730)
-
対象ロール
- ビジネス部門で AI / Copilot / エージェント活用をリードする実務担当者
-
カバー範囲
- Copilot / エージェントを使った業務プロセス改善の設計
- プロンプト エンジニアリングの実践
- セキュリティ / ガバナンスの基本を踏まえたユースケース設計
11-3. AI Transformation Leader(Exam AB-731)
-
対象ロール
- 経営層 / 部門長 / 変革リーダーなど、AI 変革をリードするポジション
-
カバー範囲
- 組織レベルでの AI 戦略・ロードマップ策定
- 変革のステークホルダー マネジメント
- リスク・コンプライアンス・倫理的配慮を含むガバナンス設計
11-4. Microsoft Certified: Agentic AI Business Solutions Architect (Exam AB-100)
-
対象ロール
- AI-first なソリューションアーキテクト
- Dynamics 365 / Power Platform / Copilot Studio / Azure AI / Azure OpenAI などを横断して、エージェントを前提としたビジネスソリューション全体を設計する ポジション
-
カバー範囲
- 生成 AI と各種 Microsoft サービスを組み合わせて、 エージェントを中核に据えた業務アーキテクチャ を設計できること
- Agentic-first な業務プロセスの設計とロードマップ策定
- 複数エージェントを編成した マルチエージェント・オーケストレーション
- Dynamics 365 / Power Platform / Copilot Studio / Azure AI / Azure OpenAI を組み合わせたクロスプラットフォームな AI ソリューション設計
- MCP(Model Context Protocol)や Agent2Agent などのオープンなプロトコルを前提とした統合
- Responsible AI とセキュリティ(データ保護・アクセス制御・プロンプトインジェクション対策など)
- エージェントのテレメトリ・モニタリング・ROI 分析を通じた継続改善
個人的には、
- AB-900:AI 時代版の MS-900(管理の入門)
- AB-730:Copilot を使い倒すビジネスユーザー
- AB-731:組織としての AI 変革リーダー
- AB-100:それらを束ねて 「Agentic ソリューション全体の設計責任を負うアーキテクト」
という綺麗な階層構造になっているように感じています。
今後、Azure AI Foundry / Agent Framework まわりの資格がどう整備されていくかも楽しみですね。
12. おわりに – 「Agent 前提の世界」に向けて
改めて Book of News を眺めると、
「Agent」や「Copilot」という言葉があらゆる製品カテゴリに散りばめられている のが分かります。
- 生産性向上、ビジネス変革(M365 Copilot / Work IQ / 各種エージェント)
- コラボレーション(Teams / Viva / SharePoint)
- セキュリティ(Defender / Security Copilot)
- エンドポイント管理(Intune / Windows Recovery)
- 仮想デスクトップ(Windows 365 / AVD)
- ブラウザ(Edge for Business)
どのレイヤーを見ても、
「人間がすべて手で操作する前提」から、
「AI エージェントがまず動き、人間がジャッジ・調整する前提」へ
という発想転換が進んでいると感じます。
個人的には、まずは今回紹介したようなトピックから、
- 自組織ではどこに効きそうか
- どのエリアなら PoC をやりやすいか
- 逆に今すぐ議論しておくべきリスクはどこか
を整理していくのが第一歩かなと思っています。
このあたりは、今後 実際に試してみた結果や PoC の学びを、
また Qiita やブログでアウトプットしていければと考えています🚀