本記事の目的
別の記事で、AIエージェントをAIを使って開発する STORM Act の概要と使用方法の導入を説明いたしました。
今回は、より実践的な例を説明いたします。
今回作成する AIエージェント
👤 誰が使う想定か
経営会議の前に、各部門から資料を集めて集計している経営企画・営業企画の担当
🎯 何を解決するか
形式の違う3資料(売上Excel・顧客VOC・会議録PDF)を人手で突き合わせる会議前の作業と、資料をまたいだ先行リスクの見落とし
▶ シナリオの進み方と、動作の確認ポイント
指示文から組み上げたエージェントに3ファイルを添付し、一文で依頼 → 週次経営レポートが生成されます。3つの資料の内容を正しく拾って集計できていることを、最新完了週の自動判定・前週比較のKPI・比較元が無い値が「要確認」で止まることで確認します
作成手順
ゼロからワークフローを作成するを選択し、プロンプトを以下のようにします。
添付される a)売上・契約実績、b)顧客VOC、c)営業・CS会議議事録 を横断し、資料内の最新完了週を対象に、前週比較を含むKPI、重要な変化、リスク、優先アクション、経営判断事項を作成するワークフローを作成したい。
作成する資料は、A4・3ページ以内の週次経営レポートで、各KPIには出典資料を付け、比較元がない値は推測せず「要確認」と記載し、事実と原因仮説を区別したい。
ここで添付する資料は、ワークフロー実行時に添付する参考ファイルです。
添付する参考ファイルをドラッグアンドドロップします。
資料はすべて架空データです
ワークフロー作成中はこのような画面になります。
作成されたワークフローを補足すると
開始
添付ファイル数のチェック
3つ以上 → 各ファイルの抽出(3つ同時)→ レポート作成 → 終了
2つ以下 → 添付不足の案内 → 終了
といった流れになります。
ここで、右側ペインに「変更を確認してください」というメッセージ上の「反映」というボタンを押すと表示中のワークフローが本体に適用されます。
本来はここで内容を確認してから反映させるべきですが、今回は作り方のご説明なので、確認は省いて「反映する」を選択します。
STORM Act は、LLMを使用した AI エージェント生成エージェントです。LLMの特性により、生成されるフローは入力が同じであっても出力が100%同じにはならない可能性があります。
動作確認
テスト
左側のペインから「テスト」を選択します。
下側に「エージェントを直接テストしてみてください」という Placeholder が書かれたテキストボックスがあります。
そのクリップのアイコンを押し、ワークフロー作成時に使用した添付ファイルを再度添付します。
ワークフロー作成時に添付したファイルは、ワークフロー作成の参考として添付しました。
今回は、レポート作成対象としてファイルを添付します。
また、テキストボックスに
添付した3つの資料から、資料内の最新完了週を対象に、前週比較を含む週次経営レポートを作成してください。
と入力してください。
テストを実行します。
以下、出力された結果です。
出力結果
# 週次経営レポート(対象週:2026/11/02〜11/08)
**対象週と前提**
- 対象週は、売上・契約実績の資料に含まれる最新週(11/02〜11/08)です。比較対象の前週は10/26〜11/01です。VOCの対象期間・比較期間も同じです。
- 議事録は11/06(金)開催のため、週の途中時点の報告です。
- 処理基準日(2026-10-22)から見ると、資料の日付はすべて未来日です。各資料には「ライブデモ用架空データ」と明記されています。このため、週が実際に完了しているかは**要確認**です。
- **未取得資料:なし**(3資料すべてstatus=OK)
**出典の略号**
- 売p.1:売上・契約実績 p.1(地域×プラン表)
- 顧p.2:売上・契約実績 p.2(顧客別表)
- V:顧客VOC
- 議p.x:議事録の該当ページ
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## 1. エグゼクティブサマリー
- MRR合計は112.0百万円で、前週比+12.0%、目標達成率は106.7%でした。関東と九州が伸びを牽引しています[売p.1]。
- 関西は唯一の減収で、前週比−7.4%、目標達成率は92.0%です。3プランすべてが目標未達でした[売p.1][議p.1]。
- 解約数は9件(前週6件)でした。解約言及のあったVOC 8件は、すべて高リスク顧客5社(契約MRR計480万円)からのものです[売p.1][V][顧p.2]。
- 初期設定に関するVOCは48件(前週比+41.2%)でした。緊急度Highの未対応案件が6件残っています[V]。
- 経営判断事項は2点あり、期限は11/09〜11/10です[議p.3]。
## 2. KPIサマリー
(金額単位:百万円)
| KPI | 今週 | 前週 | 前週比 | 目標/達成率 | 出典 |
|---|---:|---:|---:|---|---|
| MRR合計 | 112.0 | 100.0 | +12.0(+12.0%) | 105.0/106.7%(前週97.0%) | 売p.1 |
| 関東MRR | 48.5 | 41.0 | +7.5(+18.3%) | 43.0/112.8% | 売p.1 |
| 関西MRR | 28.7 | 31.0 | −2.3(−7.4%) | 31.2/92.0% | 売p.1、議p.3 |
| 中部MRR | 20.7 | 19.0 | +1.7(+8.9%) | 20.0/103.5% | 売p.1 |
| 九州MRR | 14.1 | 9.0 | +5.1(+56.7%) | 10.8/130.6% | 売p.1 |
| 新規契約数 | 42 | 35 | +7(+20.0%) | 要確認 | 売p.1 |
| 解約数(うち関西) | 9(4) | 6(2) | +3(+50.0%) | 要確認 | 売p.1 |
| 解約MRR | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 資料記載なし |
| 商談数 | 148 | 126 | +22(+17.5%) | 要確認 | 売p.1 |
| 受注数/受注率 | 42/28.4% | 35/27.8% | +7/+0.6pt | 要確認 | 売p.1(計算) |
| 高リスク顧客数 | 5社 | 要確認 | 要確認 | — | 顧p.2、議p.2 |
| 高リスク対象MRR | 4.8(MRR合計の4.3%) | 要確認 | 要確認 | — | 顧p.2、議p.2 |
| 高リスク5社の平均利用率 | 42.2% | 64.2% | −22.0pt | — | 顧p.2(計算)、議p.3 |
| VOC総件数 | 156 | 121 | +35(+28.9%) | — | V |
| VOC:初期設定 | 48 | 34 | +14(+41.2%) | — | V、議p.3 |
| VOC:緊急度High/うち未対応 | 12/6 | 7/0 | +5/+6 | — | V、議p.2 |
| VOC:解約言及 | 8 | 0 | +8 | — | V、議p.3 |
| VOC:Negative | 37 | 23 | +14(+60.9%) | — | V |
## 3. 重要な変化(事実)
- **関東の成長**
- 関東Enterpriseは18.0→23.0百万円(+5.0)で、全体増加額の約42%を占めます[売p.1]。
- 議事録では、大型契約2件が増加に寄与したと報告されています[議p.2]。
- **九州の急伸**
- 九州Enterpriseは2.0→5.9百万円(+3.9)でした。一方、期首顧客数は8→7社に減っています[売p.1]。
- **関西の悪化**
- Starter 7.0→6.2、Business 11.0→10.5、Enterprise 13.0→12.0(百万円)と、全プランで減収です[売p.1]。
- 関西Starterの解約数は1→3件に増えました[売p.1]。
- 関西の商談数は32→38件で、増加しています[売p.1]。
- **高リスク顧客5社**
- 内訳は以下のとおりです[顧p.2]。
- 地域:関西3社、関東1社、中部1社
- プラン:Starter 3社、Business 2社
- 利用率は各社19〜27pt低下しています[顧p.2][議p.2]。
- 解約言及VOC 8件(VOC-202611-001〜008)は、すべてこの5社からの受付です[V]。
- **VOCの増加**
- 議事録では、初期設定の問い合わせは管理者設定・ユーザー招待・権限設定の3テーマに集中していると報告されています[議p.2]。
- アカウント・権限カテゴリも14→18件に増えています[V]。
## 4. リスク
**事実**
- 解約言及のある5社の契約MRRは計480万円です[顧p.2][V]。
- Highかつ未対応の6件はすべて解約言及案件です(VOC-202611-001〜006)[V]。
- 関西では、契約から初回説明会まで10日以上かかるケースが発生しています[議p.2]。
- 公開中の初期設定ガイドは旧UIのままです[議p.2]。
**原因仮説**
| 仮説 | 根拠 | 追加確認事項 |
|---|---|---|
| 仮説①:初期設定支援の遅れが利用率低下を招いている | 関西での説明会遅延、高リスク顧客の利用率低下、初期設定VOCの増加[議p.2][V] | 対象5社へのヒアリング |
| 仮説②:旧UIのガイドが顧客の自己解決を妨げている | ガイドと最新画面の差異、旧UI関連のVOC(003・007)[議p.2][V] | 問い合わせが発生した画面の特定 |
| 仮説③:全体の成長が既存顧客の解約リスクを見えにくくしている | MRR+12.0%の一方で、解約数が+50%[売p.1] | 顧客単位の継続率、解約MRR |
| 仮説④:九州Enterpriseの急伸は単発の大型契約、または計上の変動による | 顧客数が減る中でMRRが2.95倍に増加[売p.1] | 契約明細の確認 |
## 5. 優先アクション
| アクション | 担当部門 | 期限 | 期待効果 |
|---|---|---|---|
| High未対応6件の優先処理[議p.3] | Support | 11/09 | 未対応High件数を0件にする |
| 高リスク5社への個別連絡(設定支援・継続意向の確認)[議p.3] | CS | 11/10 | 480万円分のMRRの解約防止 |
| 関西の新規顧客向けオンライン初期設定会の開催[議p.3] | CS/営業 | 11/13 | 設定完了率の向上 |
| 初期設定ガイドを最新UIに改訂[議p.3] | Product | 11/13 | 初期設定VOCの減少 |
| 解約9件の顧客明細と解約MRRの整備(提案) | 経営企画 | 要設定 | 正味MRRの把握 |
## 6. 経営判断事項
| 論点 | 選択肢 | 期限 |
|---|---|---|
| 関西向けオンボーディング臨時要員2名を2週間配置するか[議p.3] | A:承認 / B:1名で開始し効果を見て判断 / C:見送り(既存体制で対応) | 11/10 |
| 初期設定ガイド改訂を次期開発項目より優先するか[議p.3] | A:最優先に変更 / B:主要3テーマ分のみ先行して改訂 / C:現行計画を維持 | 11/09 |
**判断材料**
- 関西MRRの目標との差:2.5百万円[売p.1]
- 高リスク顧客の対象MRR:4.8百万円[顧p.2]
## 7. データ確認事項・要確認一覧
1. **日付の整合**:処理基準日(2026-10-22)に対し、資料の日付はすべて未来日です。週が完了した実績かは要確認です。なお、データは架空データと明記されています[全資料]。
2. **議事録の時点**:会議は11/06開催ですが、報告値(初期設定48件、解約言及8件など)は11/08までの週全体の集計値と一致しています。集計の基準日は要確認です[議p.1・p.3][V]。
3. **期首顧客数のつながり**:「前週期首顧客数+新規契約数−解約数」で計算すると332社ですが、今週の期首顧客数の記載は321社で、差は−11社です。特に九州は3プランすべてで−3社の差があります。原因は特定していません[売p.1]。
4. **九州Enterpriseの値**:MRRが2.0→5.9百万円に増える一方、顧客数は8→7社に減っています。要確認です[売p.1]。
5. **関西の商談数の表現**:議事録の「新規商談数は維持」に対し、売上資料では32→38件に増加しています。表現の違いとして要確認です[議p.2][売p.1]。
6. **不足している情報(要確認)**
- 前週の高リスク顧客数・対象MRR(解約リスクの記載は今週のみ)
- 解約MRR、解約した顧客の明細
- 新規契約数・商談数の目標値
- 次回会議の開催日
今回の架空データはテスト実行日より未来の日付のため、完了週かどうかが「要確認」となりました。デモでは「処理基準日を2026年11月9日とし、その前日までに終了した最新週を対象にする」と指定する方法が考えられます。この指定による再実行結果は、本記事には掲載していません。
結果の評価
| 確認項目 | 掲載結果から分かること |
|---|---|
| 複数資料の横断 | 高リスク顧客と解約言及VOCを関連づけている |
| 前週比較 | MRRやVOC件数の比較を出力している |
| 不足情報の扱い | 前週の高リスク顧客数などを「要確認」としている |
| 事実と仮説の区別 | 分けて記載されている |
今回の実行例では、複数資料の横断、前週比較、不足情報の明示、事実と仮説の区別を確認できました。非常に短い指示文から作成したAIエージェントの結果としては十分評価できるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、より実用的・実践的な AIエージェント(ワークフロー) の作成を行いました。
STORM Act への依頼文は、
添付される a)売上・契約実績、b)顧客VOC、c)営業・CS会議議事録 を横断し、資料内の最新完了週を対象に、前週比較を含むKPI、重要な変化、リスク、優先アクション、経営判断事項を作成するワークフローを作成したい。
作成する資料は、A4・3ページ以内の週次経営レポートで、各KPIには出典資料を付け、比較元がない値は推測せず「要確認」と記載し、事実と原因仮説を区別したい。
ここで添付する資料は、ワークフロー実行時に添付する参考ファイルです。
これだけですが、実際に AIエージェント(ワークフロー) が作成されることが確認できます。
作成後の修正も自然言語で会話するだけで修正が可能です。
無料トライアルアカウントでも STORM Act を使用できますので、ぜひ、一度試していただければと思います。




