はじめに
フェデレーションとは
- フェデレーション = 外部の認証基盤を使ってAWSにログイン/利用できる仕組み
- ユーザーをAWS IAM内で個別に作らずに、社内の Active Directory (AD) や SAML 2.0 IdP (Okta, Azure ADなど) と連携できる
- ユーザーは外部IdP(例: 社内AD、AzureAD、Okta)にサインイン
- IdPが SAMLアサーション を発行
- AWS IAMロールとマッピングされ、一時的なSTSトークンを発行
- ユーザーはAWSコンソールやAPIを利用可能
Microsoft Active Directory (AD) とは
- Windows Serverに搭載されているディレクトリサービス
- ディレクトリサービス:ネットワーク上のリソース(ユーザー、コンピューター、プリンターなど)を管理するためのデータベースのようなもの
- ユーザーアカウント、グループ、コンピュータ、プリンターなどの情報を一元的に管理できる
1. IAM + SAML フェデレーション
- AWSに直接ユーザーを作らず、外部IdP(AD FS, Okta, Azure ADなど) からのSAML認証で一時的にAWSにアクセス
- STS(Security Token Service) を利用して一時的な認証情報を払い出す
- 主に「社内認証基盤を持っていて、そのユーザーにAWSを使わせたい」ケース
- 例:社内ADユーザーがSAML経由でAWSコンソールにログイン
2. AWS Cognito
- アプリケーション開発者向けのID基盤
- Web/モバイルアプリに「サインアップ」「ログイン」「パスワード管理」機能を追加できる
- SAML/OIDC連携にも対応 → 外部IdP(Google, Facebook, Azure ADなど)とつなげられる
- アプリユーザー(顧客や従業員)を管理するのが目的
- 例:ECサイトのユーザーが「Googleアカウントでログイン」できるようにする
3. AWS IAM Identity Center (旧 AWS SSO)
- 複数AWSアカウントやSaaSアプリへのシングルサインオン基盤
- 外部IdP(Azure AD, Oktaなど)とSAML連携できる
- IAMユーザーを個別に作らなくても、AWS環境をまとめて認証・認可できる
- AWS Organizationsと統合して、大規模マルチアカウント管理に強い
- 例:全社で使う100アカウントに対し、各部門の社員が1回ログインで必要なAWSアカウントにアクセス
4. AWS Directory Service
- Active DirectoryをAWS上で利用できるマネージドサービス
- 社内ADをクラウドに拡張したり、完全マネージドのADをAWS上に構築可能
- WorkSpaces や AppStream など、Windows系のサービス利用時に便利
- AD FSを使えばSAML連携でAWSログインも可能
- 例:社内のWindowsログインと同じアカウントでWorkSpacesにサインイン
AWS Managed Microsoft AD
- AWS独自のADサービス、Microsoft ADをフルマネージドでAWSに構築
- オンプレミスADとAWS Managed Microsoft AD間でトラスト接続することで、どちらか一方でログインすれば、どちらのADサービスも利用できる
- AWS上でActive Directory環境を構築・運用したい場合に使用
AD Connector
- オンプレミスのADにリダイレクトするディレクトリゲートウェイ(プロキシ)
- ユーザはオンプレミスADで管理
- 既存のActive DirectoryをAWSに接続したい場合に使用
Simple AD
- 簡易的なAD互換ディレクトリ
- オンプレミスADとの連携は出来ない
使い分け
サービス | 主な用途 | 認証対象 | 外部IdP連携 | 試験での押さえどころ |
---|---|---|---|---|
IAM + SAML | 社内認証基盤をAWSにフェデレーション | 社員 | 〇 (SAML2.0) | STSで一時クレデンシャル発行 |
Cognito | アプリのユーザー管理(顧客・従業員向けアプリ) | アプリ利用者 | 〇 (SAML, OIDC, SNS連携) | アプリ開発時の認証・認可 |
IAM Identity Center | 複数AWSアカウント・SaaSへのSSO | 社員 | 〇 (SAML) | マルチアカウント認証管理 |
Directory Service | AWS上のActive Directory | 社員(Windows環境) | 〇 (AD FS経由でSAML) | Windows統合・WorkSpaces連携 |
例えるなら
- IAM+SAML:AWSの玄関に「社員証をかざす仕組み」を後付け
- Cognito:アプリに「会員登録・ログイン機能」を追加する仕組み
- IAM Identity Center:AWSやSaaSを「シングルサインオンでまとめて管理」する仕組み
- Directory Service:社内ADをクラウドに伸ばして「Windows系アプリと統合」する仕組み