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営業DXを加速する、商談録音AIの内製プロジェクト 〜営業担当者の負担を減らす「自然に使えるAI」の作り方〜

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こんにちは。私たちはディップ株式会社で、プロダクト開発しているチームです。
多様な役割を持つメンバーが集まり、「使いやすく、価値を届けられるAIプロダクト」を目指して日々取り組んでいます。

今回は、チームで進めている取り組みを複数の記事に分けてご紹介します。

それぞれの専門領域から見た工夫や学びを発信することで、同じようにプロダクトを作っている方々の参考になれば幸いです。

今回はプロダクトのPOをしている小林から、今回は表題の通り、商談録音AIを内製したプロジェクトについてお話しします。

営業現場のDX化が進む中、多くの企業がデータに基づいた戦略策定を目指しています。しかし、その元となる商談データは、営業担当者の手入力に頼らざるを得ないのが実情ではないでしょうか。

入力される情報の量や精度には個人差が生まれがちで、「もっと詳細なデータが欲しい」と考えるマネジメント層と、「日々の業務で手一杯なのに…」と感じる現場との間には、見えないギャップが存在します。

もし、営業担当者が商談後の入力作業から解放され、その時間をもっとお客様のために使えたら?
――そんな思いから、私たちは商談録音AIの内製プロジェクトを実施しました。

1. なぜ「内製」にこだわったのか

世の中には優れた商談録音AIサービスが数多く存在します。しかし、どんなに高機能なツールでも、現場で「使われない」のであれば意味がありません。

私たちが最も重視したのは、新しいツールを導入することで、これまでの業務フローを複雑にしないこと。つまり、**「営業の日常に、いかに自然に溶け込めるか」**でした。
その一点を追求した結果、自社の運用に完璧にフィットするツールを“内製する”という道を選びました。

2. 現場に寄り添うための4つの工夫

私たちがこだわったのは、あくまで主役は営業担当者である、という思想です。

①「録音ボタン」をなくす工夫
従来からあった「商談開始時に報告する」という業務フローに着目。
その報告アクションが、そのまま録音開始のスイッチになるようにしました。
営業担当者は余計なボタン操作を意識することなく、いつも通りの流れで商談に臨めば、自然と録音が開始されます。

② 慣れ親しんだCRMフォーマットをそのまま活用
AIによる要約や文字起こしは、社内で使い慣れたCRM(顧客管理システム)の項目に沿って整理されるようにデザインしました。
事後の確認や修正がスムーズなだけでなく、過去の商談履歴と同じフォーマットで閲覧できるため、これまでの体験を損ないません。

③ AIはあくまで"アシスタント"。最終確認は人の手で
AIの精度は日々向上していますが、誤変換やニュアンスの汲み取り間違いは起こり得ます。
そこで、AIが作成した下書きを、必ず営業担当者自身が確認・確定するステップを設けました。「AIに勝手に登録される」という心理的な抵抗感をなくし、記録の質と信頼性を担保する狙いです。

④ チームの情報共有文化を壊さない
確定された商談結果は、これまで通り各組織のSlackチャンネルへ自動で共有されます。
新しい仕組みを導入しても、チームで成功事例や課題を共有し合う文化はそのままに。
この共有がきっかけで、新たな会話が生まれることも少なくありません。

3. 内製してよかったこと(メリット)

  • 既存運用との高い親和性: 現場のフローを壊さずに導入できたため、導入時の反発や教育コストを最小限に抑えられました。
  • 圧倒的な改善スピード: 現場からの「ここをこうして欲しい」という声を、即座にプロダクトに反映できる開発体制は、内製ならではの強みです。
  • 自由度の高いデータ連携: CRMやSlackなど、社内で利用している各種システムとの連携がスムーズで、データのサイロ化を防ぎます。
  • 長期的なコスト最適化: 初期開発コストはかかりますが、長期的に見れば外部ツールのライセンス費用を抑えることが可能です。

4. 乗り越えるべき壁(デメリット)

  • 初期開発の負荷とQCDの難しさ: 特にAIプロダクトは、品質・コスト・納期のバランスを取るのが難しい領域です。どのレベルで「使える」と判断するかの見極めに苦労しました。
  • 継続的なメンテナンス: AIモデルのアップデートや精度改善など、リリース後も継続的な開発・運用が必要になります。
  • 不具合対応の複雑さ: 「期待通りの結果が出ない」場合、それがデータの問題なのか、プロンプトの問題なのか、はたまたAIモデル自体の特性なのか、原因の切り分けが非常に困難です。

5. 最後に

商談録音AIの内製は、単なるコスト削減が目的ではなく、**「営業現場の日常に寄り添うこと」**を絶対的なゴールに据えた点にあります。

もちろん、市場には素晴らしいSaaSが次々と登場しており、自前で開発・運用・改善の責任をすべて負うのは簡単なことではありません。

もし、皆さんの組織でツール導入か内製かで迷うことがあれば、機能やコストの比較だけでなく、使い続けてくれる仕組みとは? を、是非考えてみてください。

導入初期から継続的に改善を重ねています。今後も「営業現場の日常に寄り添う」という軸を大切にしていきます。

#おわり(共通パーツ)

この記事は、チームメンバーによる連載の一部です。

ほかの領域(インフラ、アプリ、デザイン、PO)の視点からの取り組みも、順次公開予定です。

引き続き、私たちの挑戦を発信していきますので、ぜひご覧ください!

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