はじめに
これまで私は、社内SEとしてシステム運用・改善を中心に担当してきました。
ウォーターフォール型のプロジェクトや、ウォーターフォールで作られたシステムに触れることが多かったです。
そんな私がある日突然、アジャイル開発のPO(プロダクトオーナー) を任されることに。
- 何を決めるべきなのか?
- POの“責務”とは?
正直、最初は不安しかありませんでした。
この記事では、初めてPOに挑戦した私が苦労したこと・救われたこと・アジャイル現場で得た学び をまとめます。
同じように「POって何から始めればいいの…?」と悩む社内SEの方の参考になれば嬉しいです。
1. 最初の壁:インセプションデッキ
POとしてまず向き合うことになったのが インセプションデッキ でした。
- なぜこのプロダクトを作るのか
- 誰のための価値なのか
- プロジェクトのゴールは何か
- 関係者や役割はどう整理されるのか
- 価値の方向性はどこにあるのか
これらを “チーム全体で共通認識にする” 必要があります。
シンプルに見えて、いざ言語化しようとすると本当に難しい作業でした。
ただ、今回はユーザー代表の方と私がこれまでシステム運用を通じて
課題を共有してきたこともあり、価値観や課題認識が揃っていたことは大きな助け になりました。
また、”事前”に実施していた デプスインタビュー によって、 現状の課題や求められるプロダクト像がクリアになっていた点も良かったです。
インタビューの取り組みについては、@nobu34 さんの記事「社内システム開発で『デザイン思考』を実践してみた」で 若手社員Aとして登場しているので、ぜひご覧ください![]()
個人的にやってよかったインセプションデッキの項目
- エレベーターピッチ
- パッケージデザイン
- ご近所さんを探せ
意外と 「ご近所さんを探せ」 はやってよかったと感じました。
「誰がユーザー側の責任者なのか」「誰が意思決定に関わるのか」 「誰と情報共有すべきか」などを整理したことで、チーム一同、プロダクトを取り巻く関係性がクリアになりました。
2. 難所:プロダクトバックログの整理
POとして 最も苦労したのがここ でした。
ユーザーの課題は理解しているつもりでも、DEV(開発チーム)から
「この機能って、なんで必要なんですか?」
「どこまで実装すれば“完了”なんですか?」
と問われたとき、うまく言語化できずに詰まることがありました。
- “価値”として語る
- “機能レベル”に分解する
- “実装できる粒度”に落とす
つまり、ユーザーの声を開発が動ける形に翻訳する作業 が想像以上に難しかったのです。
そんな中で救ってくれたのはチーム
- SM(スクラムマスター)やDEVが積極的に質問や反論をしてくれた
- ユーザー代表との関係性が元々あった
- SEとして業務理解や背景を把握していた
これらが組み合わさって、
バックログの粒度や優先順位は徐々に洗練されていきました。
3. アジャイルチームに救われたこと
POは“全部を決める人”ではありません。
しかし、“価値の方向性を示す責任”は持っています。
その中で強く支えてくれたのがアジャイルチームでした。
- DEV:より良い実現方法の提案
- SM:価値判断や目的の軸がブレていないかのチェック
- ユーザー代表:現場目線でのリアルなフィードバック
ときには意見がぶつかることもありましたが、
そのたびに プロダクトが磨かれていく実感 がありました。
「価値を決めるのはPO、価値を届けるのはチーム」
この言葉の意味を、まさに体感した瞬間でした。
4. 社内SEだからこそ活きた強み
振り返ると、社内SEとしての経験はPOに大きな力を発揮していました。
- ユーザー側・業務側について理解している
- 長期運用の大変さが分かる
- データや既存システムの制約を理解している
- ステークホルダー調整の経験が豊富
- 実現不可能な要求の“匂い”が分かる
- DEVと話す際の前提が揃いやすい
特に、
「この仕様、運用フェーズでトラブルになりそうだな…」
といった “運用後の世界を想像できる” 能力は、
社内SEならではの強みだと強く感じました。
5. アジャイルで学んだこと
POを経験して、価値の見え方が大きく変わりました。
- 完璧な要件定義は不要
- 最初にすべて決める必要はない
- 小さく作り、反応を見て改善する
- チーム全体で価値を作る
- フィードバックがあるとプロダクトは一気に良くなる
ウォーターフォールもアジャイルも、
どちらが良い悪いではなく “プロダクトに合わせて使い分けるもの”。
この経験を通して、
自分の仕事の視野や引き出しが大きく広がりました。
6. おわりに
初めてPOを経験したときは、本当に大変でしたが、そのぶん成長できる機会が多く、
プロダクトがどんどん良くなっていく瞬間に立ち会えたことは、何にも代えがたい経験でした。
これからPOに挑戦する社内SEの方がいたら、
ぜひ一歩踏み出してみてほしいと思います![]()