2025/12/5 に開催された 第12回 FIDO Tokyo Seminar : ~パスワードのいらない世界へ~ に参加し、現時点でのパスキー認証に関するトレンド、実際の導入企業の取り組み、そして業界全体の「空気感」を掴んできました。本記事では、私が参加した各セッションについての内容の簡単な紹介や印象に残ったポイントをまとめます。
会場の様子
会場入り口の様子です。
書籍販売ブースもありました。書籍「パスキーの全て」をブースで購入させていただきました。ありがとうございました!
セミナー会場。前列に座っているため分かりづらいですが非常に広いホールに満席でした。
希望者には日本語や英語への同時通訳の提供もありました。
セッションの合間にはドリンクやお菓子もいただくことができました。
参加セッション一覧
- サイバー空間をめぐる脅威情勢と警察の取組(警察庁)
- 金融分野におけるサイバーセキュリティについて(金融庁)
- 証券業界におけるFIDO2導入と今後(楽天証券)
- Googleプラットフォームのパスキー最新情報(Google)
セッション全体として強く感じたのは、「パスキーを導入すること」ではなく、「導入した後にどう運用し、残存リスクにどう向き合うか」が主眼になっているという点です。
官公庁セッション:増えるフィッシングと金融犯罪
警察庁・金融庁の両セッションでは、以下のメッセージが共通していました。
- 金融機関を狙ったフィッシング詐欺は増加傾向にあり、社会的にも無視できないレベルの課題となっている
- パスキー認証の普及推進は「有効な対策の一つ」として位置づけられている
- しかし、導入したから終わりではなく、導入後にも残るリスク(運用・ユーザー行動・例外ケース)を前提に対策を講じる必要がある
特に「パスキー導入は重要だが、万能ではない」という視点は個人的に非常に共感する内容でした。
楽天証券:FIDO導入5社 → 年内7社へ
楽天証券のセッションでは、証券業界のパスキー導入状況と、実務での成果が語られました。
印象的だったポイント
- 現在 5社が FIDO2 を導入済み、年内には 7社に拡大予定
- 楽天証券自体も導入後*口座乗っ取り被害は「止まった」とのこと
一方で、
- パスキー非対応環境
- 海外利用
- アクセシビリティ
- ITリテラシーの低いユーザー対応
など、「導入後に立ち上がる新たな課題」への対応が引き続き必要。
技術面だけでなく組織としての対応能力を高めること、また「ユーザーが直感的に使える UX にすることが導入成功の鍵」というメッセージは非常に強調されていました。パスキーはセキュリティの要である一方、UX が複雑だとユーザーは離脱してしまうため、「直感的であること」が必須条件だと改めて実感した内容でした。
Google:自然なパスキー移行の UX が印象的
Google のセッションでは、パスキー周辺アップデートと各プロダクトでの活用方法が紹介されました。その中でも面白かったのが、
“パスワードログインのタイミングで、自然にパスキーへアップグレードする”
というアプローチ。ユーザーに特別な操作を求めず、既存行動の中で自然にパスキーを配布する方法は、大規模サービスならではの視点であり、UX の観点からも非常に参考になりました。
ASK the Expert ブース:国内外の導入状況の雑感
エキスパートの方に質問できるブースがあったので、個人的に気になっていた海外の導入事例、普及状況について相談してみました。
FIDO公式サイトには 国内外の導入事例が多数掲載されています。
北米の銀行を中心に、海外では広い領域でパスキーが進んでいるとの紹介もあり、Corbado のまとめも参考になります:
また、FIDO Alliance の調査からは、パスワードへの不安感や、生体認証・パスキーへの期待が高まっているというユーザーの意識変化も確認できます。
感想
今回の FIDO Tokyo Seminar を通じて、改めて強く感じたのは次の点です。
- パスキーの導入自体は“スタートライン”でしかない
- 真の課題は「導入後の運用」「UX」「例外ケースの対応」にある
- 国内外での採用は確実に広がっており、金融領域では既に実績が出ている
- 技術的対応と組織体制の両輪が必要
今回のセミナーで得た知見を、弊社のプロダクトづくりに活かしていきたいと感じました。



