0. はじめに
タイピングという技術についての安易なTipsを期待してこの記事を読む人は、がっかりするだろう。
この記事は、そうした期待を裏切って読者にこう訴える。
- ノートPCに備え付けらた、または会社から貸与されたキーボードに満足してはならない
- 訓令式ローマ字、ヘボン式ローマ字、JISかな入力に満足してはならない
- 理想のキーボード、文字入力を見つけることが困難だからといって、それを口実にエルゴノミックなキーボード、最適化されたローマ字入力規則、かな入力規則を知ろうとする努力を放棄してはならない
ーーーー目次ーーーー
・ 0. はじめに
・ 1. 物理配列
・・ 1-1. サイズ
・・・ 1-1-1. 100%
・・・ 1-1-2. 80%
・・・ 1-1-3. 60%{}
・・・ 1-1-4. 40%
・・・ 1-1-5. 自分に適したサイズを選ぶ
・・ 1-2. レイアウト
・・・ 1-2-1. ロウスタッガード
・・・ 1-2-2. カラムスタッカード
・・・ 1-2-3. オーソリニア(格子配列)
・・・ 1-2-4. アリス配列
・・ 1-3. 分割か、一体か
・・ 1-4. 自分に適したレイアウトを選ぶ
・・ 1-5. キーボードの角度
・・・ 1-5-1. チルト角
・・・ 1-5-2. テント角
・ 2. 論理配列
・・ 2-1. Qwerty配列
・・ 2-2. 英語入力に最適化された配列
・・・ 2-2-1. Dvorak
・・・ 2-2-2. Colemak
・・・ 2-2-3. Minimak
・・ 2-3. 日本語入力に最適化された配列
・・・ 2-3-1. ローマ字入力
・・・・ 2-3-1-1. Eucalyn
・・・・ 2-3-1-2. 大西配列
・・・・ 2-3-1-3. 金子配列
・・・ 2-3-2. かな配列
・・・・ 2-3-2-1. 薙刀式
・・・・ 2-3-2-2. NICOLA配列
・・・ 2-3-3. 漢字直接入力
・・・ 2-3-4. 速記
・・・・ 2-3-4-1. AZIK
・・・・ 2-3-4-2. ソクタイプ
・・・・ 2-3-4-3. メジロ式速記
・・・ 2-3-5. SKK
・・ 2-4. 自分に適した論理配列を選ぶ
・ 3. キースイッチとキーキャップ
・ 4. 椅子
・ 5. おわりに
・・ 5-1. サイズに関しての結論
・・ 5-2. レイアウトに関しての結論
・・ 5-3. 論理配列に関しての結論
・・ 5-4. 椅子に関する結論
・ 参考文献
1. 物理配列
『キーボードの物理配列』とは、キーボードの物理的な形やどのくらいの数のキーがどの位置に配置されているかということを表す言葉である。物理配列は主に下記の二つの要素で決まる。
- サイズ:どのくらいのキー数が用意されているか
- レイアウト:キーがどのように並んでいるか
サイズとレイアウトの他には「WindowsかMacか」「英語配列か日本語配列か」のような要素もあるが、細かな違いなので本記事では紹介を省略する。
1-1. サイズ
1-1-1. 100%
基本となるサイズ。
全てのキーが配置されており、右側には独立したテンキーがある。
・メリットは、基本的にすべてのキーを一打で入力できることと、かな入力を利用する場合はテンキーを利用することでひらがなと混同せずに数字が入力できること。
・デメリットは、数字キーが二重に配置されているので冗長であること、ホームポジションからマウスまでの距離が遠くなること、サイズが大きいので小さい机での使用や持ち運びには向かないこと。
会社や研究室にあるデスクトップPCに備え付けられたキーボードはこのサイズが多い。
1-1-2. 80%
100%サイズのキーボードからテンキー部分を取り除いたサイズ。
ノートパソコンのキーボードはこのくらいのサイズか、80%サイズキーボードから右上の特殊キーをいくつか取り除いたサイズが多い。
取り除かれたキーは入力できなくなったわけではなく、Fnキーなど別のキーとの同時押しで入力可能。
1-1-3. 60%
80%サイズのキーボードから、矢印キーやファンクションキー、特殊キーが取り除かれたサイズのキーボード。
このくらいになるとポータブルになり、持ち運んで出先での作業にも適している。
1-1-4. 40%
60%サイズのキーボードから、数字キーも取り除いたサイズのキーボード。
同時押しを前提にした入力がかなり増えてくる。
・メリットは、持ち運びに適していること、ほぼすべてのキーをホームポジションから手を動かさずに打てるので高速で疲れない入力が可能になること、マウスとの距離が近くなり腕を動かす距離が短縮されることなど。
・デメリットは、同時押で入力するキーが増えることで覚えないといけないことが多いこと。ただし、同時押しには数週間で慣れると思うので実質デメリットは無い。
40%未満のキーボードを使いこなす方も世の中には存在する。
1-1-5. 自分に適したサイズを選ぶ
同時入力が必要なキーの数が自分が記憶できる量を超えない限りできるだけ小さいサイズのキーボードをおすすめする。
キーボードが小さければ小さいほど、ホームポジション上ですべての入力が可能になり、またマウスとの距離も近くなる。このため手を浮かせる時間が少なくなり、長時間作業しても疲れづらくなると思う。
同時押しに慣れるまでは、一打で入力できるキーの多いキーボードと比べて一部の記号の入力は遅くなってしうが、それでも長時間作業していると手を浮かせないで良いというメリットが上回ってくるはずだ。
とはいえ、人の覚えられるキー組み合わせの量には限度ある。
アルファベットなど基本的なキーの入力にも同時押しが必要となるとそりはそれで不便であることも確かだ。
そのため、多くの人には40〜50%ほどのサイズが適切なのではないだろうか。
私は40%サイズのキーボードを利用してる。
一ヶ月ほどで同時入力にも慣れてきて以前使っていた80%サイズのキーボードと同じくらいの速度で入力できるようになった。
1-2. レイアウト
1-2-1. ロウスタッガード
スタッガードという言葉は、キーボードの世界ではキーのずれている方向を意味する。
Row(行)の方向にずれている一般的なキーボードのことをロウスタッガードと呼ぶ。
ホームポジションに指を置いた状態から、自然に指を曲げ伸ばししたホームポジションの真上や真下にキーがなく、非常に非合理なレイアウトである。現在デファクトスタンダードとなっているのは、タイプライター時代の名残。
メリットとしては、見た目がカッコいいことくらいか・・・(私はそう感じるが、そう感じない人にはメリットが0のレイアウト。この後ご紹介する別のレイアウトに早急に乗り換えることをおすすめする)
1-2-2. カラムスタッカード
ロウスタッガードの逆で、Column(列)方向にずれているレイアウト。
人間の手の指は縦方向に一直線に曲げ伸ばししやすい作りをしているので横ずれがないのは理にかなっている。
列方向のずれは、長い指が担当するキーは上にずれ、短い指が担当するキーは下にずれているのため、ホームポジションに指を置いた時に自然な手の形になる。このおかげで指への負担もロウスタッカードに比べて少なく感じる。
1-2-3. オーソリニア(格子配列)
列方向にも行方向にもずれが無く、格子状のレイアウト。
ロウスタッガード、カラムスタッカードはずれがある都合どうしても長方形のキーボードに最密にキーを詰め込むことができないが、格子状の配列は最も省スペースに多くのキーを詰め込める。
指の斜め移動がロウスタッカードのキーボードに比べると少なく、さらに省スペースなので、持ち運び用のキーボードにおすすめ。
1-2-4. アリス配列
一般的なロウスタッガードのキーボードの中央部分を斜めに傾けた配列。
体に対して水平なキーボードの場合に生じる手首の不自然な折り曲げを回避することができる、エルゴノミックなレイアウト。
エルゴノミクス的にはかなり理にかなっている一方、長方形の枠に斜めにキーを配置する都合上、どうしても縦方向にも横方向にも余白がうまれてしまう。そのため設置には机に広いスペースを必要とすることがデメリット。
この他にも様々なレイアウトのキーボードが考案されている。本記事では紙面の都合上省略させていただく。
1-3. 分割か、一体か
キーボードには、左右が分かれた形状をしているものもある。
左右が分割されたキーボードは、前腕を内側に曲げなくて良いので長時間作業しても疲れにく句感じることがメリット。
私は分割型キーボードに乗り換えてから長時間の作業のあとでも肩にリフレッシュ感を感じる。(個人の感想です。)
一方、一体型にもメリットがある。
製品の選択肢が多いことや、省スペースなこと、左右どちらの手でも(分割型に比べて)届きやすい位置にキーがあるためマウス操作しながらのキー操作に向いていることなどだ。
分割か、一体かという分岐は、レイアウトとは別のレイヤーの話であり、
- 一体型✖️アリス配列
- 分割型✖️オーソリニア
のように自分にあった組み合わせを考える必要がある。
1-4. 自分に適したレイアウトを選ぶ
ではどのようにして自分に適したレイアウトを選ぶのか。
手の形は人によって異なるので、一概に「カラムスタッカードがいい」や「アリス配列がいい」とは言えない。
ただ、手首を不自然に曲げて指を斜めに動かすロウスタッカードのレイアウトが最も手に馴染むという方はいないだろう。分割型か一体型のどちらが良いかということも、利用シーンによって変わる。
個人的は、長時間の作業でも疲れにくく感じるという理由で、ロウスタッカード以外で手に合うレイアウトの分割キーボードをおすすめする。
上記の条件を満たすようなキーボードを購入しようとすると、海外業者からの購入や自作キーボードという選択肢が目に入る。その際には下記の点に注意して欲しい。
- サポート受けやすく、悪意のある改造を避けやすい正規の業者・個人販売者から購入する(フリマサイトなどから購入しない)
- 正規の販売元の中でも実績が確認できる販売元を選ぶ
- 無線キーボードは技適マークを取得している電波法に違反しない製品であることを確認する
トラブルを避けるという観点を抜きにしても、自作キーボードの場合はネット上に情報がないことも多く、使い心地を確かめるという観点でもぜひ遊舎工房のような店舗や、キーケットのようなイベントで直接購入するのが良い。
私もこれまで購入した二つの自作キーボードはどちらもイベント・店舗で正規の販売者から直接購入した。
より詳細な注意点は下記のサイト記事が大変参考になる。
1-5. キーボードの角度
1-5-1. チルト角
市販のキーボードでは裏側に足がついていてキーボードの奥に少し高さをだすことができるものも多い。このとき、キーボードと机の間にできる角度をチルト角と呼ぶ。
一部には、手前側を上げて奥を下げることで手首を反らせずに使えるようにカスタムにしている方もいる。これはこれで疲れにくそうであり試してみたい。
個人的にはチルト角は0度が好みだが、これにも万人に当てはまる正解はないので色々と試して自分に合う角度を見つけてほしい。
1-5-2. テント角
テント角とは、主に分割キーボードでキーボードの内側を高くすることで机とキーボードの間にできる角度のこと。
前腕の回内を抑えることを目的にしている。
Type KやNeo ergoのように、一部の高級キーボードでは一体型ながらもともとテント角をつけた状態で販売されているものもある。
テント角も全く無いのが好みの方から垂直に近い角度が好みのかたまでさまざまだと思う。まずは分割キーボードを使って自分にあったテント角を見つけて欲しい。
2. 論理配列
あるキーを押した時にコンピュータがどの文字として解釈するかのルールを論理配列と呼ぶ。
理想の文字入力環境を得るためには、当然論理配列についてもこだわる必要がある。
2-1. Qwerty配列
最も普及した配列であり、もっとも悪名高い配列。
一般的なPCやキーボードに採用されているが、ある程度の量の文章を日常的に書くのであればこの配列を使い続けるべきでは無いということは衆目の一致するところである。唯一のメリットは、(あくまで進化の途上である)現在(一時的にとはいえ)主流であるということ。
私からとくに書くことは無いが、どのように効率が悪いのかに興味がある方にむけていくつか参考になりそうなリンクを貼っておく。
2-2. 英語入力に最適化された配列
2-2-1. Dvorak
入力速度の向上、疲労の軽減を目的にオーガスト・ドヴォラックさんが考案した配列。
英文入力時に指の移動距離を短くし、左右の手で交互に打鍵できるように英文に多く登場する音節に最適化して設計されており、QWERTY配列以外ではおそらくもっともメジャーである。
2-2-2. Colemak
Dvorak配列はQWERTY配列と比べてかなり効率の良い配列になっていたが、現在販売されているキーボードからも分かる通りあまり人口に膾炙しなかった。
そこで、QWERTYからの移行コストをおさえつつ入力時の効率化を図った配列としてシャイ・コールマンさんが考案したのがColemak配列。
Q,W,A,Z,X,C,V,Mの位置がQWERTY配列と同じためショートカットキーを変更せずにそのまま利用できることがメリット。
2-2-3. Minimak
Colemak配列からさらにQWERTYに近づけてさらに少ないキーの移動だけで効率よく入力することを目的に考案された。4キーのみ入れ替えるMnimak 4-key、8キーを入れ換えるMinimak 8-Key、12キーを入れ替えるMinimak 12-keyが存在する。
開発者の方が提供していたであろうMinimakの紹介ページは現在オンラインカジノ業者が使用しているようです。古いブログ記事などからMinimakのリンクを踏む際はご注意ください。
2-3. 日本語入力に最適化された配列
2-3-1. ローマ字入力
2-3-1-1. Eucalyn
ゆかりさんによって考案されたキー配置。
a,z,x,c,v,pといったショートカットキーとしてよく使う配列はそのままに、母音を左側、子音を右側に集めて左右交互の入力ができるようになっている。
日本語の入力時にEucalyn配列でどのキーがどの程度押されるかをヒートマップ風に表現すると上記の画像のようになった。よく使うキーが押しやすい中段にまとまっていることが分かる。
2-3-1-2. 大西配列
大西拓磨さんによって考案されたキー配置。
100万字の統計から指の移動距離と同じ指の連続使用を減らすことをコンセプトに設計されており、先ほどのEucalyn配列同様登場頻度の高いキーは押しやすい位置にまとまっている。
ご本人による練習ツールが充実しているのが魅力。
2-3-1-3. 金子配列
手前味噌だが私が自作した配列も紹介する。
これまで紹介した配列と比べるべくもなくマイナーな配列だが、私の記事なので当然どの配列を紹介するかは私の自由なのだ。
- 指の移動距離が少なく
- 左右交互に打鍵できて
- 「っ」「ai」「ei」「ou」などの短縮入力を含めて最適化する
という条件で作成した配列で、一ヶ月ほどの練習でQWERTY配列のタイピング速度を上回ることができたので現在は業務や日常の文字入力でも常用している。
実際の入力風景はこちら。
2-3-2. かな配列
2-3-2-1. 薙刀式
大岡俊彦さんによって考案されたかな配列。
ご本人の長年の実践テストによって改善を繰り返されており、またその記録を細くブログに残してくださっている。そのおかげで習得コストをかけるとどの程度改善できるのかが示されていることが他の有名配列と比べても非常に魅力的。
2-3-2-2. NICOLA配列
1980年、富士通のワープロ専用機『OASYS』という親指シフトキーボードとセットで「日本語を指で喋るキーボード」というコンセプトで考案された配列。ワープロ検定合格率No.1ということからも入力効率の高さが伺える。
清音、濁音、半濁音、拗音、促音を全て1ストローク(同時押しは1ストロークと数える)で入力できることも魅力。
2-3-3. 漢字直接入力
ひらがなからの変換による漢字入力と違い、同じ打鍵入力からは必ず同じ漢字やひらがなが出力されるような入力方式。正直現実的で無いと考えていたが、常用している人もいるというから驚き。
2-3-4. 速記
2-3-4-1. AZIK
エイズィックと読む。
ローマ字変換規則を拡張することで日本語によく出てくる読みを少ないキー操作で入力する方法。1993年頃に木村清さんによって考案され、1994年に情報処理学会で『学習の移行性を重視した拡張ローマ字入力 : AZIK』として発表された。
日本語の文章で登場頻度の高い撥音を少ないストロークで入力できるように「だん」と入力する場合に「d,a,n,n」と打鍵する代わりに「d,z」と入力する。(子音の次のzにannの役割を持たせる)などの複数のルールを通常のローマ字変換規則に追加することにより、技能に対する投資リスクを最小限にしつつローマ字入力の高速化を図っている。
広義の速記と言えると思うので本記事では速記に分類する。
2-3-4-2. ソクタイプ
https://sokkidouraku.lsv.
jp/t12/52b.html
ステノタイプと呼ばれる、アメリカの裁判所速記官などに利用された英語速記入力を参考に、1943年に川上晃さんによって考案された。専用のキーボードを使い、複数のキーを組み合わせた一動作で数文字を同時に入力できる。
裁判所を中心に採用された歴史があるそう。実際の文字入力風景はこちら。
2-3-4-3. メジロ式速記
じーびす/ʐiːbɪs/さんが考案した日本語速記。
Ploverという速記用のソフトウェアに上記のGitHubリポジトリの設定をプラグインとして追加することで利用できる。
メジロ式速記による実際の入力風景はこちら。
2-3-5. SKK
1987年に佐藤雅彦さんによって考案された特殊な日本語入力方式。
変換の対象とする文字列の1文字目を大文字で入力し、その送りがなの始点も大文字で入力することで仮名漢字変換の仮名と漢字の区別を入力側で厳密に指示できることが特徴。
2-4. 自分に適した論理配列を選ぶ
論理配列に関しては、自作をおすすめする。
先人たちにより様々な素晴らしい配列が提案されてきたが、それらの配列はあなたが普段つかう文章にたいして最適化されているわけではないからだ。核となるアイデアだけしっくりくるものを参考にして、最適化の対象とする文章は自分のブログなどを対象にするべきである。
自作の論理配列作成にあたって役に立つツール👇を公開しているのでぜひ利用して欲しい。
とはいえ、自作するのにハードルを感じる方には
- 導入コストが少ない割に最適化効果の大きいMinimak
- 練習用の教材が充実している大西配列や薙刀式
あたりがおすすめ。
3. キースイッチとキーキャップ
キーボードにこだわる方にはキースイッチやキーキャップにこだわる人も多い。
ただ、個人的にはそれらのこだわりはあまり意味がないように感じる。
お金の無駄なので、購入したキーボードについていたスイッチの押し心地にあまりにも違和感がある場合以外は交換不要と考えて良い。直接お店で試打したキーボードを購入すればそのような間違いも起こらない。
キースイッチの交換の意味あるとすれば、職場で使用するキーボードの打鍵音を清音化するために元々のスイッチを静音スイッチにとりかえる場合くらいか。キーキャップに関しては、よほど触り心地の悪いものを使っている場合や古くなって文字の印刷が消えたりした場合以外とりかえる必要はない。
4. 椅子
より良い文字入力環境を作るためには、椅子への投資も必要である。
こだわるポイントは一つだけで、アームレストが机と同じ高さまで伸びること。
これが出来ると、前腕を完全にアームレストに預けた状態でキーボードを使うことが可能になり、腕を浮かせのための筋肉の緊張を防ぐことができる。
私は新卒2年目に無理して買ったオカムラのシルフィーという椅子を今でも愛用しているが、この椅子は上記の条件を満たしている。
5. おわりに
長くなってしまったので各章の結論をまとめておく。
5-1. サイズに関しての結論
同時入力が必要なキーの数が自分が記憶できる量を超えない限りできるだけ小さくする。
足りないキーは複数のキーの同時押しによって入力し、それによってホームポジションから手を浮かせることは無くなる。
5-2. レイアウトに関しての結論
ロウスタッカード以外で自分に合うものを選ぶ。
おすすめはカラムスタッカードの分割キーボード。
最近発売されたCornix LPというキーボードはとても評判が良い。私はまだ手に入れられていないが、こだわりがない方は上記のキーボードを買っておけば間違い無いのではないだろうか。
5-3. 論理配列に関しての結論
自分がよく書く文章に合わせて最適化したものを自作する。
自作にハードルを感じる方は導入コストが少ない割に最適化効果の大きいMinimak、練習用の教材が充実している大西配列や薙刀式あたりがおすすめ。
5-4. 椅子に関する結論
アームレストが机と同じ高さまで伸びる椅子を使う。
参考文献












