皆様こんにちは、ピクシブで技術広報を担当しているkamikoです。
技術広報 Advent Calendar 2023 11日目の記事を執筆しました!
今回のテーマは「継続して情報発信することの大切さ」です。
今年7月に技術広報の集いに参加させていただき、各社エンジニア数に対して技術広報の人数が少ないように感じました。企業規模に関わらず、各社の技術広報・DevRelがほぼ1名体制で数々の業務を進める姿を見て「自分だけではなかった」と安心すると同時に、多忙かつ少人数の中、どうやって情報発信を継続して進めるべきか考えるようになりました。
もちろん馬力で突っ走るのが重要な時期はあります。一人で業務を進めた方が話が早い場面も多いです。ただフルパワーで属人的に動き続けた結果、仮に自分が抜けたり、動けなくなる場面に直面したら、自社の技術広報は果たしてどうなるのでしょう…?
この1年でお疲れ気味、もしくは同じ思いを抱える技術広報の同士にとって、この記事が何かしらのお役に立てば幸いです。
そもそも継続して情報発信する理由とは?
情報発信を継続して行うべき理由としては、大きく下記二点があると考えています。
- 少しでも露出・情報発信しないと忘れ去られる
- 一度発信が途切れるとノウハウが失われ、再開するには様々なコストがかかる
いずれにせよ、こういった状態に陥るのは避けたいところです。特に技術ブランディングは短いスパンで成果を出せることはごく稀で、長期的な発信が必要になります。
技術広報のリソースが限られた中で長期的・継続的な発信をするとなると、社内で技術広報の動きを並走してくれるエンジニアを増やしていくことが重要になりそうです。
なおピクシブでは、エンジニアを特定の人物に固定せず、情報発信をしていくことが理想だと考えています。理由としては、仮に登壇・情報発信を積極的に行なっていたエンジニアが転職してしまった場合「今ピクシブってエンジニアは誰がいて、今何の技術やってるんだっけ?」状態になってしまうためです。
こういった情報発信と並行して、将来自社の発信を担ってくれるエンジニアのバックアップも、重要なミッションとして続けていく必要はあります。
ピクシブではこんなことをした
まず前提の話をすると、対外発表のモチベーションが高いエンジニアの面々が、技術広報室発足前から自発的に外部発信・コミュニティ貢献に取り組んで下さっていました。
そんな背景もあり技術広報室発足後は、先人たちの知恵をリスペクトしつつ、よりその活動を推進するための業務目標を定めました。
まず初手で手をつけたものはイベントなどに参加する際の社内ルールの整備です。ルールの明文化や手続きのフロー化を行い、エンジニアが迷うことなくカンファレンス・イベント参加やスポンサーできるように整えました。
次に、広報や社外との窓口業務といった事務的な業務を巻き取り、個々のエンジニアがカンファレンス・イベントに集中できるようにし、そして参加するためのハードルが下げるような施策をしました。
エンジニアが誰でも発信者になれるようにしよう。そんな想いを込めて、具体的に以下のような取り組みを行いました。
1. Notion上にガイドラインを制定し、分かりやすく見える化
- 普遍的なルール周りの制定
- 企業説明の文章作成
- 炎上防止ガイドライン
- イベント行動指針
- カンファレンス・イベント・勉強会参加における会社支援制度
- イベント・カンファレンス開催の手引き
- ノベルティ・ブース装飾周りの貸し出しルール
- その他、年間で開催したカンファレンス・イベント・勉強会をNotionで一元化し知見集約
2.過去エンジニアの手が回りきらなかった発信周りを拾う
- カンファレンス・イベント前にコーポレートサイト・公式X上でお知らせリリース
- カンファレンス・イベント・勉強会終了後の企業ブログ執筆
- 部署・職種をより深く理解してもらうための記事執筆
- その他、情報発信周りで発生する外部とのやりとり、社内の事務手続き全般
3. エンジニアの対外発表のモチベーションをあげられるように
- カンファレンスに若手エンジニアを連れていく
- 自社・他社共催のイベント機会を増やす
- 登壇練習の場所を作るようなLT大会を作った
その結果、どうなったか…
1. エンジニアマターで開催されるイベントが複数出てきた
ガイドラインの内容を参考にしつつ、各部署・各職種から対外発表のモチベーションの高いエンジニアが自発的にイベントの仕組みを作って、継続的に開催されるようになっています。
エンジニア主体で進めているイベントのひとつをご紹介させてください。
そのイベントは開催目的をブランディングと定め、人数を集めることを目的としない(10〜20名集まれば御の字)完全自社開催もので、2~3ヶ月に1度のスパンで開催を続けました。その結果、コンスタントに20名以上の参加者を集め、更に選考・面談希望者も出てくるという状況となり、想定以上の成果をあげています。
2. 企業ブログの執筆数が圧倒的に増えた
昨年対比で、企業ブログの「エンジニア」のタグがついた記事は3倍になりました。記事数だと105件、月平均8件以上は掲載されている状態です。
技術広報マターでは、エンジニア以外の職種も含め採用募集中のチームを取材して記事執筆も行ったりしつつ、部署が発足した2022年10月から2023年12月までに記事を36件の執筆しました。
技術特化の記事だと、エンジニア同士で行う月1回の1on1資料を参考に、記事執筆のお誘いをさせていただいたりもしました。が、社内エンジニアの高いモチベーションのお陰で継続的な発信ができています。
興味がある方は、是非pixiv insideをご一読ください
3. 若手が自発的にカンファレンス・イベントに登壇・参加したり、プロポーザル執筆する機会が増えた。
コロナの時期に学生だった新卒エンジニアは、オフラインカンファレンスに参加経験がなく、カンファレンス会場の熱量・面白さ・コミュニティ貢献の大切さを感じる機会が失われてしまっていました。このままでは、今後会社としてスポンサーシップを続ける流れが途切れてしまうかもしれません。
そんな事態を打開すべく、可能な限り若手エンジニアをカンファレンスに連れて行きたいとの意向をCTOからも伺っていました。
幸いピクシブは勤怠・費用の面でカンファレンス・イベントへの会社参加支援を設けており、多くの若手エンジニアがカンファレンスに参加することができました。
ちなみに今年は8件のカンファレンスにスポンサーシップを行いました。カンファレンス会場で法被を着てる奴らやたら多いな、と思われた方がいるかもしれませんが、こういった思想に基づいたものです
その結果、カンファレンス参加を契機に技術への愛着が増したと語る若手エンジニアも出てきました。またセッションを聴いたことで、自身も登壇者になるべくプロポーザルをコンスタントに提出し始めた若手エンジニアも出てきています。
なお、カンファレンスのような大舞台でいきなり登壇するのは、ハードルが高いと感じるエンジニアもいるはず…との想いから、PHPerKaigi2023に参加していた企業数社とクローズドのLT大会を定期的に開催するようになりました。
LT大会では採択されなかったプロポーザルを発表したりもしますが、テーマや技術領域は問いません。とにかく場数を踏んでいき、外部登壇のモチベーションが上がれば嬉しいなと考え、継続してきました。
4. (何より嬉しい)ピクシブを見かけることが増えた、と言っていただける機会が増えた
CTOからもこんなお言葉が
イベント開催の機会も、今年は飛躍的に増えました!2022年度は自社connpass上ですと、開催件数2件でしたが、今年は開催件数は10件。それ以外の他社・他団体との共催イベントは、年間15件でした。
またRubyBizグランプリのようなコンペティションにも応募し、見事大賞を受賞することもできました。
こうやって見れば、去年と比較して外部露出する機会は確かに増えています。一方個人としては、今年5月からカンファレンス・イベントへの参加回数が激減してしまいました。これには理由があるので改めてお伝えします。
今後の展望
今後も情報発信を継続しつつ、出来るだけ社員が省エネで動けるように、下記について取り組みます。
- コミュニケーションデザイナーと連携し、カンファレンス・イベント周りで利用できるデザイン共通フォーマットを作成
- 既存の社内ルールドキュメントをブラッシュアップするとともに、最新情報へのアップデート
- 外部発信する社内メンバーの巻き込み施策
この1年間の活動で得た知見は、できる限り社内還元しなければと思っています。
とにかく情報発信の火は絶やしてはいけません。熱意を持った誰しもが、自ら発信できる世界を作らなくては。
※余談ですが社内還元だけでなく、社外にも知見を還元してくださるDevRelの方々を心から尊敬しています。
最後に
私は2016年にピクシブに入社してから、会社やエンジニアの愛ゆえに馬力のまま突っ走りまくり、定期的に体調不良を起こすサイクルを繰り返していました。
当たり前ですが一人で動いて得られる成果より、より多くの人数で動いた方が大きな成果を生むことが出来ます。むしろ個人で動き続けることにより、かえって組織に迷惑がかかることすらあります。
長らく属人的な思考を切り替えることは出来ませんでしたが、大きなキッカケがあり今回の取り組みに繋がりました。諸々サポートしてくれたマネージャーのVPoEやエンジニアの面々には、心からのお礼をお伝えしたいです。
現在ピクシブでは、技術広報室にジョインしてくださるメンバーを募集中です!
今回のアドベントカレンダーをご覧の上、興味をお持ちくださる方がいたら是非エントリーお待ちしております。
やや組織論めいた話になりましたが、記事の内容は以上です。
皆様、お読みいただきありがとうございました!