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【Mac不要】開発中のFlutter製アプリをiOSとAndroidに実機配備する手順 - Codemagic編

Last updated at Posted at 2020-05-09

はじめに

Flutterはクロスプラットフォーム対応ですので、作成したアプリはiOS, Android両方にリリースすることができます。ところが、WindowsではiOS向けのビルドができません。Macを持っていない人にはつらい事実ですね。そこで、この記事ではCodemagicというサービスを利用してiOS, Android両方にリリースする手順を紹介します。

前提

この記事は、以下に当てはまる人向けの iOS/Android 対応アプリを開発する手順を紹介します。

  • 開発機はWindowsだ
  • Macを持っていない
  • Flutterで開発したい
  • Apple Developer Programに既に登録している、または年間で約12,000円を支払えるクレジットカードまたはデビットカードを持っていて、支払い後に最大48時間待ってやるのも悪くない。※1

※1: 2020/03/25現在。

開発環境の前提

  • AndroidStudioがインストールされていること(まだの方は、インストールをお願いします)
  • Git for windowsがインストールされていること(まだの方は、インストールをお願いします)
  • openSSL for windowsがインストールされていること(いかに手順のヒントを掲載しておきました)

補足:Windows用OpenSSLのインストールについて

OpenSSLは、オープンソースですが、公式ではソースコードのみが公開されています。
従って、Windows用のバイナリは、公式サイト以外から入手する必要があります。

入手にあたり、以下の記事が参考になりましたので紹介します。
WindowsにOpenSSLをインストールして証明書を取り扱う(基本編) - @IT

ソースコードの公開

この記事の手順で作成したソースコードはGithubで公開しています。併せてご参照ください。
https://github.com/atsuteru/flutter_firebase_0507/tree/Qiita-FlutterStartup-v1.0

本文

開発環境の準備

flutter開発用のディレクトリを作成する

私は以下のディレクトリを好んで使用します。

powershell
cd $Env:userprofile
mkdir source
mkdir source\repos

※上記ディレクトリは、以下の手順でエクスプローラーで開けます。
「Windows+R」(ファイル名を指定して実行)で以下を入力しOK。

%userprofile%\source\repos

flutterSDKを入手する

Githubから入手します。

powershell
cd $Env:userprofile\source\repos
git clone https://github.com/flutter/flutter.git

Flutterアプリを新規作成し、Githubにプッシュする

1) AndroidStudioで新規 Flutter プロジェクトを作成

  1. Start a new Flutter project を選択
    Welcome to Android Studio 2020_05_03 14_29_48.png
  2. Flutter Application を選択
    Welcome to Android Studio 2020_05_03 14_30_02.png
  3. Projectの情報と、Flutter sdkのチェックアウトディレクトリを指定する
    Welcome to Android Studio 2020_05_03 14_30_25.png
  4. パッケージ名を指定する。AndroidXは有効にしておく
    Welcome to Android Studio 2020_05_03 14_30_36.png
  5. すると次のようなワークスペースが作成されます
    flutter_firebase_0503 [C__Users_kami_teru_source_repos_flutter_firebase_flutter_firebase_0503] - ..._lib_main.dart [flutterfirebase0503] - Android Studio 2020_05_03 14_32_08.png

2) Flutter プロジェクトの.gitignoreを調整

/.gitignore
pubspec.lock

3) Githubリポジトリを作成し、pushする

Githubアカウントを持っていない人は、作成しましょう。(無料で作れます)
※Github以外でも、Codemagicが連携できるリポジトリならOKですが、その説明はこの記事では割愛します。

Githubリポジトリの作成手順は、ここでは割愛します。
Githubリポジトリの作成後、プッシュまでの流れは、コマンドだと次のような感じです。

powershell
cd $Env:userprofile\source\repos\flutter_firebase\flutter_firebase_0503
git init
git add .
git commit -m "New flutter project generated by AndroidStudio"
git remote add origin https://github.com/atsuteru/flutter_firebase_0503.git
git push -u origin master

FlutterアプリをCodemagicでビルドする

1) CodemagicでGithubリポジトリを初回ビルドする

Codemagicのアカウントがない場合は、Githubアカウントと連携させる形で作成します。(無料で作れます)
Codemagicのアカウントがある場合は、Githubアカウントの連携を追加してください。
その手順は、ここでは割愛します。

Githubアカウントの連携ができたら、Appsページに、作成したGithubリポジトリが表示されます。

Applications overview - Codemagic - Mozilla Firefox 2020_05_07 19_33_45.png

そのリポジトリのStart your first buildボタンを押下しましょう。すると、Codemagicでのビルド設定が自動的に作成され、初回ビルドが始まります。

ここでビルドの結果がエラーになる場合は、バージョン、環境、サービスのいずれかに問題が起こっています。
私は、以下の問題にあたったことがあります。

  • サービス: iOSビルドが、関連ライブラリ(dependency)のダウンロードに失敗したことが原因で失敗。時間を空けて再実行することで解消した。

2) 端末にリリースするために必要な、署名用のあれこれを行う

2-1) Android向け

初回ビルドの結果を待っている間に、アプリを署名するためのキーストアを作成しましょう。

  • Androidアプリを実機で動作させるためには、署名されたアプリケーションパッケージが必要です。
  • その署名には秘密鍵が必要です。
  • また実機にインストールするためには公開鍵の配付が必要です。
  • 公開鍵の作成には、証明書が必要です。
  • キーストアとは、上記に登場した「秘密鍵」「公開鍵」「証明書」を格納できる『ハコ』だと思ってください。

作成するためには、コマンドラインを使用します。
以下の手順で作成することができます。

powershell
# インストールしたOpenSSLのbinフォルダにパスを通す
# 実際にインストールしたパスを指定すること。先頭の";"を忘れないこと!
$Env:Path += ";C:\Program Files\OpenSSL-Win64\bin\"

# Java KeyStore(jks)形式のキーストアを作成する
# この例では、次のように設定しています。※実際は安全なパスワードを使用しましょう!
# キーストアファイル名: flutter_firebase_0503.jks, キーストアパスワード: kami_teru, キー名: flutter_firebase_0503_key, キーパスワード: kaim_teru, 有効期間: 365日
keytool -genkey -v -keystore flutter_firebase_0503.jks -storepass kami_teru -alias flutter_firebase_0503_key -keypass kami_teru -keyalg RSA -validity 365
姓名は何ですか。
  Unknown:  kami_teru
組織単位名は何ですか。
  Unknown:
組織名は何ですか。
  Unknown:  kami_teru
都市名または地域名は何ですか。
  Unknown:
都道府県名または州名は何ですか。
  Unknown:
この単位に該当する2文字の国コードは何ですか。
  Unknown:  JP
CN=kami_teru, OU=Unknown, O=kami_teru, L=Unknown, ST=Unknown, C=JPでよろしいですか。
  [いいえ]:  Y
365日間有効な2,048ビットのRSAのキー・ペアと自己署名型証明書(SHA256withRSA)を生成しています
        ディレクトリ名: CN=kami_teru, OU=Unknown, O=kami_teru, L=Unknown, ST=Unknown, C=JP
flutter_firebase_0503.jksを格納中]

# キーストアから、キーに対する証明書を取り出す。
keytool -export -alias flutter_firebase_0503_key -file flutter_firebase_0503_key.cer -keystore flutter_firebase_0503.jks
キーストアのパスワードを入力してください:
証明書がファイル<flutter_firebase_0503_key.cer>に保存されました

# キーストアを、テキスト形式に変換しておく(後で使います)
openssl enc -base64 -in flutter_firebase_0503.jks -out flutter_firebase_0503.base64

2-2) iOS向け

iOS向けの署名に必要な一式は、Codemagic と Apple Developer Program のアカウントを連携させることで自動的に作成してもらえます。但しその前に、リリースするiOSの実機を、Apple Developer Programに登録しておく必要があります。

Deviceのページから、実機のUUIDを登録しておきましょう。

※UUIDは、iPhoneの場合はiTunesに接続すると調べることができます。その他の方法もいくつかあるようです。参考:iPhone XSシリーズからのUDID・識別子の確認方法 - @takashings

3) Codemagicでリリースビルドする

さて、もうCodemagicの初回ビルドは終わった頃でしょうか。

Applications overview - Codemagic - Mozilla Firefox 2020_05_07 20_03_09.png

終わったみたいですね!各ビルドのStepとも、成功しているようです。しかし、このビルドの結果は、実機にインストールすることができません。アプリに署名をしていないからですね。

では、リリースビルドを行い、アプリに署名を行うための設定をしていきましょう。

  • iOS向けには、Apple Developer Programのアカウントが必要です
  • Android向けには、先ほどの手順で作成したキーストアファイルが必要です。

なお、ここで紹介する手順は以下の記事を参考にさせていただきました。ありがとうございます。

以下、Codemagicのアプリの設定ページ(歯車のアイコンで飛べる)で、各セクションを設定します。こんなページです。
App settings - Google Chrome 2020_05_09 16_51_28.png

先に、注意点をまとめておきます。

  • 注意1)各セクションの編集後、必ず「Save」ボタンを押しましょう。
  • 注意2)入力がうまくできないときは、セクションを閉じたり開いたりしなおしてみましょう。

では以下、各セクションを設定しましょう。記載のない箇所は、デフォルトのままで構いません。

Build triggers

  • Trigger on pushにチェックを付ける

Environment variables

以下の環境変数を追加する。
一つ入力するごとに、「Add」ボタンを押し忘れないようにしましょう。

  • FCI_KEYSTORE_FILE = flutter_firebase_0503.base64ファイルの内容 ※全選択&コピー&貼り付けを実行。改行も含めること
  • FCI_KEYSTORE_PASSWORD = kami_teru ※キーストアに設定したパスワード
  • FCI_KEY_ALIAS = flutter_firebase_0503_key ※キーストアの作成時に指定した秘密鍵の別名
  • FCI_KEY_PASSWORD = kami_teru ※キーストアの作成時に指定した秘密鍵のパスワード

Post-clone script

Dependency cachingの下の「+」をクリックすると出現します。
以下のスクリプトをそのままコピペしてください。

#!/usr/bin/env sh
set -e # exit on first failed commandset
echo $FCI_KEYSTORE_FILE | base64 --decode > $FCI_BUILD_DIR/keystore.jks

Build

  • Build for platforms : Android, iOSを選択する
  • Mode: Releaseを選択する

Publish

  1. Android code signing
  • Keystore: flutter_firebase_0503.jks ※ファイルをアップロード。
  • Keystore password: kami_teru ※キーストアに設定したパスワード
  • Key alias: flutter_firebase_0503_key ※キーストアの作成時に指定した秘密鍵の別名
  • Key password: kami_teru ※キーストアの作成時に指定した秘密鍵のパスワード
  • Enable Android code signing: チェックを付ける
  1. iOS code signing
  • Select code signing method: Automaticを選択
  • Apple Developer Programのアカウントを設定
  • Provisioning profile type: Developmentを選択
  • Bundle identifier (optional): test.kamiteru.flutterfirebase0503 ※1

※1 android\app\src\profile\AndroidManifest.xml ファイルの packageに設定されているものを入力する

最後に、設定ページの最上部にある「Start new Build」ボタンを押し、ビルドを行いましょう。
この設定以降のビルドはすべて、リリースビルドになります。

※この時、以下のページが表示されたら、Start new buildを選択しましょう。
※Mac Proを使えばビルドはもっと早いよ!という紹介のページです。アカウント作成後は数回、Mac Proでビルドすることもできます。

Applications overview - Codemagic - Mozilla Firefox 2020_05_07 20_19_44.png

Flutterアプリを端末にインストールする

リリースビルドが行われているうちに、端末に証明書の取り込みをやっておきましょう。

  • この作業は Android端末 のみ必要です。
  • iOS端末は、Apple Developer Programに自端末を登録してある仕掛けにより、アプリ側に「どの端末にインストールできるか」が埋め込まれているため、この作業は不要です。

Android端末への証明書のインストール

先の手順で作成したflutter_firebase_0503_key.cerを、メール等を経由してAndroid端末に送りましょう。
メールの場合、受信したメールに添付されたflutter_firebase_0503_key.cerをタップして開き、証明書名にアプリ名を入力してOKしましょう。

さて、そうこうしているうちに、Codemagicでのリリースビルドが完了しているのではないでしょうか。

Codemagicからのメールをチェック

ビルドが成功/失敗すると、Codemagicから次のようなメールが届きます。
※もし届かない場合は、Codemagicのメールの設定を確認しましょう。

Androidへのインストール

Androidへのインストールは、次の手順で行います。

  1. app-release.apkのInstallボタンをタップ
    →ダウンロード
1. ダウンロードした```app-release.apk```を実行
※内部ストレージのDownloadフォルダに保存されています
1. 内部ストレージアプリによる「提供元不明なアプリ」のインストール許可の確認が出るので、許可するよう設定します。
1. 確認画面でインストールを選択
1. もしGoogle Playの警告が出た場合は、アプリ名が自作のものであることを確認し、```INSTALL ANYWAY```を選択しましょう
1. Androidで動作することが確認できました

iOSへのインストール

iOSへのインストールは、次の手順で行います。

  1. flutterfirebase0503.ipaのInstallボタンをタップ
    →確認画面でインストールを選択
unnamed.jpg 1. iOSで動作することが確認できました
unnamed (1).jpg

おわりに

以上で、開発中のFlutter製アプリをiOSとAndroidに実機配備できましたね!

もし良ければ、以下の続編記事も参考に開発を進められてください。

この記事が、一人でも多くの方がFlutterを始めてみるきっかけになると幸いです。

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