これまで細々と作っていた「ITエンジニア向けのお仕事問題集」を、今回ひとつの入り口としてまとめました。
お仕事問題集?
エンジニアのキャリアで、避けて通れないスキルがあります。
プログラムを書く力ではありません。
抽象的な要求を整理して、具体的なシステム像を構築し、文書化して、すり合わせて合意を取るスキル。
いわゆる「要件定義」や「外部設計」で必要になるスキルです。
少なくとも15〜30年くらい前までは、「PGでプログラムを数年やったら、次はSEで設計をする」というキャリアパスにある種の説得力があり、自然に身につくように思われていました。
実際は日常業務をやっているだけでは100%身につかないスキルなのに、です。
途中から維持管理の仕事が増えて開発案件が減り、そのパスがさらに成り立ちにくくなりました。
代わりに「タイパ」「コスパ」「スクール」、そして「アジャイルはドキュメントを書かない」といった言葉が前面に出て、設計力を地道に育てる話がかき消されてしまった印象があります。
『アジャイル』 が本格的に広まった正確な時期は曖昧ですが、ウォーターフォール vs アジャイル論争の中で、いつの間にか小型案件の主流になっていった感じがあります。
実際のところ、低予算の案件では「ウォーターフォールをギュッと圧縮して、一人で分析から設計・実装・調整まで全部やらせる」ような形にならざるを得ないことも多く、結果的に「一人称で動ける人」でチームを組むしかない状況が生まれているようにも見えます。
この「一人称で動ける」と都合よく抽象化されたスキルは、習得には「反復と時間」が必要なスキルの集合体で、プログラムの延長にはありません。
誰かに教えてもらって、明日できるようになるスキルではありません。
どんなものがあるか
実務で「こんな問題集があればいいのに」と思うことがあっても、「ちょうどよい」問題集を見つけることができず、その都度作って公開してきました。
そのため、実務で必要な内容ではあると思いますが、テーマにややバラつきがあります。
現状あるものはこんな感じです:
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AI時代のコードレビュー力試験
AIが作った成果物を、そのまま受け取らずに読み、考え、レビューする練習 -
図解ドリル
文章を読んで、情報を整理して「伝わる図」にする練習 -
視点ドリル
システム目線とユーザー目線、文章の向きの違いを学ぶ -
ThinkLab from Buggy Code
バグがあり動かないコードを問題として出題。原因を探り、修正方法を論理的に考える -
香ばしビジメ ― 極タイピング
IT現場のちょっと香ばしいメールを題材に、日本語の文章タイピングを鍛える -
コミュ力診断
コミュニケーション傾向の自己診断、診断結果に応じた取り組みチェックリスト
共通しているのは、どれも「自分で考えてみる」ことを想定している点です。
一人で考えたり、メンターと一緒に話したり、AIの答えと比べたりするためのきっかけとして使ってもらえると嬉しいです。
AIが出ても変わらないもの
AIがコードを書けるようになって、「AIに聞けばいい」という空気も強くなりました。
確かに、コードを書くこと自体はかなり楽になりました。
ただ、仕事をしていて感じるのは、
結局「AIツールを使いこなす力」みたいな特別なものは、あまりないのではないか、ということです。
きちんと目の前の仕事と向き合うこと。
何が分からないのかを考え、整理し、言葉にする。
その積み重ねを、人に渡して合意を取るのか、指示を出すのか、あるいは「プロンプト」としてAIに渡すのか。
エンジニアの仕事は今も昔も「正解のない問い」に立ち向かうことです。
読む。考える。整理する。伝える。
そうした教養と呼ばれる基本的な力が、AIを使うときにも、使わないときにも、土台として残るのだと思います。
おわりに
正直、体系的にきれいに揃った教材ではありません。
その時々で「これがあるといいな」と思ったものを作り溜めてきた結果です。
それでも、今だからこそ、こういうものを置いておく意味があるのではないかと思っています。
よければ覗いてみてください。