プラクティス名
プロダクトビジョン
プラクティスの目的・狙い
- プロダクトの方向性や目的を明確にする
どんな時に使うか
- そのプロダクトによって最終的にどんな世界がもたらされるのかがイメージできない時
実施手順
- ビジョンを定める上で判断材料となる情報を集める(顧客ニーズ/市場分析データなど)
- プロダクトを通してユーザに提供したい価値(目指す状態)を短いステートメントにまとめる
- ビジョンが組織の文化や価値観、ビジネス戦略にも沿っているか確認する
例えばQiitaさんの場合「エンジニアを最高に幸せにする」というビジョンを掲げています。
これはあくまでもビジョンなので、具体的に何がどうなったら目標を達成したことになるのか、といったゴールとしては機能しませんが、「誰を」「どんな状態に」したいのかという方向性は明確に示してくれます。ビジョンは向かうべき方向さえ示していれば、永久に達成できないような理想でも構いません。
よいビジョンは行動指針/判断基準として機能します。例えば記事の内容がQiitaに相応しいか、是非を問う場合「この記事はエンジニアを幸せにするか?」が基準となります。同じようにプロダクトに対する施策がトレードオフの関係にある場合も、ビジョンに照らし合わせて考えることで関係者間で合意しやすくなります。
アレンジ例
- ビジョンに基づき、KGI/KPI/NSMなどの具体的な目標を定める
アンチパターン
- ビジョンが長期的視点に立っていない(直近の目標になっている)
- ビジョンが抽象的すぎて判断基準にならない
参考情報
こぼれ話(私的コメント)
スクラムガイドには「プロダクトビジョン」という言葉は出てきません。代わりに「プロダクトゴール」という概念が2020年版から追加されました。CSM研修では「プロダクトビジョン」と「プロダクトゴール」はほぼ同じものだと習いましたが、これはスクラムガイドの世界では「プロダクトゴール」が最上位の概念だからでしょう。一般的には「プロダクトゴール」の上位概念に「プロダクトビジョン」を置き、両者を階層化して区別する考え方が主流のようです。「プロダクトゴール」と「プロダクトビジョン」の違いについては、別の記事にまとめています。