プラクティス名
プロダクトゴール
プラクティスの目的・狙い
- プロダクトビジョンの実現に向けて最優先で達成すべきことを具体化する
- スクラムチームとステークホルダーのゴールを1つにする(期待の統一)
どんな時に使うか
- スクラムでは必須(スプリント0などで定義)
- プロジェクト開始時など、当面のゴールを明確化したい時
- 前のプロダクトゴールを達成(または破棄)し、次のゴールを定める時
実施手順
- POは今回の開発で達成したい目標を誰にでも分かる短いステートメントにまとめる
- スクラムチームとステークホルダーにプロダクトゴールを説明し、合意する
- 開発中は常に参照できる場所に掲示し、意識する
- 開発中に状況変化や学びによって、目指すべき場所が変わってきたら適宜、見直す
アレンジ例
- 定型フォーマットに沿ってプロダクトゴールを定義する(例:エレベータピッチ)
アンチパターン
- プロダクトゴールに複数の目標が含まれている(→原則、ゴールは1度に1つ)
- 一度決めたプロダクトゴールをスコープ定義とみなし、変えようとしない
- プロダクトバックログの内容を抽象化して、プロダクトゴールを導き出そうとする
(→正しい落とし込みの順番は、プロダクトビジョン>プロダクトゴール>プロダクトバックログ)
参考情報
プロダクトゴールについてはサーバントワークス株式会社の長沢氏の解説が濃密です。
こちらのレポートが詳細に書かれていてオススメです。
こぼれ話(私的コメント)
スクラムガイド2020の改訂時、「プロダクトゴール」という名称にすることに関係者の中でも賛否両論があったそうです。たしかにプロダクトが存続する限り、進化し続けると考えると、どこかの時点で達成してしまう「ゴール」という言い方はそぐわないのかもしれません。まぁ、呼び方はどうあれ、関係者の目線を1つにまとめるツールとしての有用性は揺らがないので、必ず定義はするのですが。
ただBacklogとかツールを使ってPBL管理している場合、わりと書きどころに困るんですよね。プロダクトゴール用に別にタスクカード切ったりして、どうにかこうにか載せるのですが、みんなはどうしてるんでしょう?
最後に、プロダクトビジョン/プロダクトゴール/スプリントゴールの違いについて、下記にまとめておきます。
プロダクトビジョン
- 最上位の概念(基本コンセプト)
- プロダクトの方向性や目的を定義したもの、最終的な理想形
- スクラムガイドの中には登場しない(が、実質的に採用しているチームは多い)
- 長期的なゴール(数年以上)
プロダクトゴール
- プロダクトビジョンを達成するための踏み石(マイルストン)
- 当面の開発で実現したいことを定義したもの(プロジェクトゴールと同じ場合もある)
- スクラムではプロダクトバックログに対する確約(コミットメント)の位置づけ
- 中期的なゴール(数ヶ月)
スプリントゴール
- プロダクトゴールを達成するための踏み石(マイルストン)
- スプリントにおける唯一の目的
- スクラムではスプリントバックログに対する確約(コミットメント)の位置づけ
- 短期的なゴール(1~4週間)