プラクティス名(別名)
プランニングポーカー (見積もりポーカー、相対見積もり)
プラクティスの目的・狙い
- 開発者の知見を集約し、手早く開発規模を見積る
- 開発者の作業イメージを揃える(認識ズレを是正する)
どんな時に使うか
- ユーザストーリーの実現に必要な作業量(ストーリーポイント)を明らかにしたい時
- 声の大きな人の意見に偏らずに皆の意見を集約したい時
- 見積り作業をゲームのように楽しみながら行いたい時
そもそも『ストーリーポイント』とは何か?については別記事の方で解説しています。「プランニングポーカー」や「Tシャツ見積り」といった"相対見積り"がなぜ有効に機能するのかという原理についてはそちらを参照下さい。
実施手順
- 見積り参加者に1セットずつ見積り用のカードを渡しておく
※カードには「1/2/3/5/8/13/...」とフィボナッチ数が書かれている - 進行役が見積対象PBIの内容を読み上げる
- 実装方針に不明点や疑問点があれば質問し、見積り前提をクリアにする
- 見積れた人はカードを伏せた状態で場に出す(他の人の判断に影響しないように)
- 全員出揃ったら、せーので一斉にカードをオープンする
- 一番大きな数字と小さい数字を出した人に、その理由を説明してもらう
- 説明を踏まえ、再考し、再度全員でカードを出し直す
- 全員の数字が一致するまで6~7を繰り返す
何度繰り返しても数字が一致しない時は3回程度で切り上げましょう
ファシリテーターは少数派が「間違った数字を出した人」という印象にならないような雰囲気作りを行って下さい。実際、その人は皆が見落としていることに唯一気づけた人かもしれません。
アレンジ例
カードの種類を追加する
- 「0」⇒ 意味:1spにも満たないすぐに終わる雑務
- 「?」⇒ 意味:情報が少なすぎて見積もれません(or見当もつかない)
- 「∞」⇒ 意味:粒度が大きすぎるので、もっと分割したい(=エピック)
- ※13以上をエピックとする場合もある
- 「☕」⇒ 意味:疲れたのでちょっと休憩しませんか?
オンラインで行う場合
- zoomなどの場合、せーので一斉に会議チャットに数字を投稿する
- miroなどの場合、共有ボード上にあらかじめ「Ready」「1」「2」「3」「5」「8」...のエリアを設けておき、せーので自分のカーソルやアイコンを「Ready」から数字に移動させる
- プランニングポーカー用のツールを使う(ブラウザで使える無料サイトなどもある)
アンチパターン
- 全員一致にこだわりすぎて時間がかかる
- 場に少数派に対する無言のプレッシャー(同調圧力)が漂っている
- 「5」と「8」の人が半々なので、間とって「6.5」にする。(=認識合わせになっていない)
参考情報
参考書籍
以下の技術ブログが、ポーカーの雰囲気が分かりやすく書かれていて、オススメです。
こぼれ話(私的コメント)
作業量が数値化されることよりも、ポインティングを通してDEVの認識が揃う方が個人的には重要と感じています。その場で、どっちの方式で実装する?とか、エラーハンドリングはどこまで?みたいな話が決まっていくこともあるので、設計の要素も含んでいます。また参加者の性格や経験値が如実に表れる場でもあるので、観戦者として見ているだけでも面白いです。けいけNから初心者への教育の場になったりもします。
ちなみにプランニングポーカー用のカードはトランプで代用することも可能(1組で4人まで)ですが、あまりオススメはしません。理由はトランプを使っていると、知らない人が見た時に「職場で遊んでいる」と誤解されてしまう危険性があるからです。