プラクティス名(別名)
バーンアップチャート (スプリントバーンアップチャート、リリースバーンアップチャート)
進捗チャートの基本的な考え方についてはバーンダウンチャートの記事を参照して下さい。本稿はそれを補完する記事として、バーンダウンとバーンアップの違い/使い分けについて解説します。
プラクティスの目的・狙い
- チームの作業進捗とともに、スコープの増減についても可視化する
- チームの出来高(完了させた作業量)の推移を可視化する
どんな時に使うか
- 期中の作業追加が多数発生し、計画当初の残作業量があてにならない時
- バーンダウンチャート使ってて、がんばって作業消化したのに作業追加と相殺され、進捗がないように見えてしまい、開発者が「スン...」ってなっている時
実施手順
基本的な実施手順はバーンダウンチャートと同様なので記載省略します。
代わりに両者の違いを整理しました。
| 比較観点 | バーンダウンチャート | バーンアップチャート |
|---|---|---|
| グラフの線 | 理想線+残量線 | スコープ線+理想線+完了線 |
| 着目点 | 残作業がどれだけ減ったか | 完了作業がどれだけ増えたか |
| スコープの変化 | 可視化されない | 可視化される |
| スコープ増減 | 残量線に影響する | 完了線に影響しない |
| 開発者の潜在意識 | 残作業に意識が向く | 達成した成果に意識が向く |
期中の要求追加(PBI増加)は、ウォーターフォールではスコープ・クリープとして嫌われますが、アジャイルでは必ずしも悪いことではありません。むしろチームが新たに学んだ分だけ変化があります。ただし追加によって期日に間に合わなくなる場合は、何かをあきらめる必要があります。バーンアップチャートではスコープの増減が可視化されているため、POへの説明もしやすくなります。
一般的にスプリントではバーンダウン、リリースではバーンアップと使い分けるケースが多い。
- スプリント進捗管理:期間固定で残作業0にすることが求められるため
- リリース進捗管理 :スコープの増減を管理する必要があるため
アレンジ例
- バーンダウンとバーンアップの要素を融合した積み上げ棒グラフにする(下図)
アンチパターン
- 追加タスクも可視化される安心感から、スプリント計画時のタスク出しが甘くなる(「後で追加すればいいや」となりがち)
参考情報
Jonathan Rasmusson氏の著書『アジャイルサムライ』
バーンダウン/バーンアップの解説、およびその合わせ技について紹介されています。
こぼれ話(私的コメント)
細かい話ですが、「バーンアップ」チャートってネーミング、よくよく考えると少し変ですよね。Burn-Down(=燃やし尽くす)の方は何となくイメージがつくのですが、Burn-Upっていったい何を焼き上げているんだろう…と。陶器とか? 直訳で「炎上」ってしちゃうとこれまた全然別の意味になっちゃうし。積み上げていくっていうイメージでいうなら、「ビルドアップチャート」とか呼ぶのが良いのでは?

