1. はじめに
複数の通信キャリア(SoftBank,au,docomoなど)のSIMカードを搭載したサーバ(SIMバンク)をクラウド上に構築し、スマホやモバイルルーター端末など利用場所に応じて、最適なSIM情報を配信することで国、地域、キャリアに縛られないデータ通信サービスを安くユーザーに提供できる。
cloudSIMはuCloudlink社が開発し、特許を取得している。
Cloud SIMテクノロジーに対応した端末はロケーションやアカウントなどのリアルタイムの情報を検出し、uCloudlinkのPaaSプラットフォームへの送信ができる。

2. アーキテクチャと技術構成
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クラウドSIMサーバー
地域、国別、キャリア別にSIMプロファイルを管理・提供する役割。 -
SIMプロファイル
各SIMカードの識別情報(IMSI、認証キーなど)を仮想化したもの。ユーザーの端末に一時的に割り当てられる。 -
通信ゲートウェイ(Cloud SIM Gateway)
ユーザー端末とクラウドSIMサーバー間の通信を仲介。SIMプロファイルの割り当てや切り替えを制御。 -
ユーザー端末(スマホ・ルーターなど)
通信ゲートウェイを介してクラウドSIMサーバーからSIMプロファイルを受け取り、モバイル通信を実現
クラウドSIMサーバー、通信ゲートウェイ、端末の大まかな連携は以下。
- クラウドSIMサーバーが、物理SIMから仮想SIMプロファイルを生成・管理する
- 通信ゲートウェイが、ユーザーの位置や通信ニーズに応じて最適なSIMプロファイルを選定する
- 選定されたSIMプロファイルが、ユーザー端末に一時的に割り当てられ、通信が開始
- 通信終了後、SIMプロファイルはクラウドSIMサーバーに返却され、再利用可能
この仕組みにより、ユーザーは物理SIMを差し替えることなく、世界中の通信事業者のネットワークに接続できる。
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SIMプール管理
クラウドSIMサーバーに複数の物理SIMを搭載し、各SIMのプロファイル(IMSI、認証キーなど)を仮想化して管理。 -
シードSIM(Seed SIM)
端末に初期搭載されるSIMで、クラウドSIMサーバーとの通信を開始するための識別子。これにより、端末は自身の位置情報や通信状況をクラウドに通知 -
プロファイル割り当て制御
通信ゲートウェイが、端末の位置・通信状況・キャリアの混雑度などを考慮し、最適なSIMプロファイルを選定して割り当て -
マルチキャリア対応
一つの端末で複数キャリアの回線に接続可能。通信障害時や圏外エリアでも自動で切り替え可能 -
セキュリティ対策
通信経路はTLS1.2/1.3などで暗号化。SIMプロファイルの管理にはゼロトラストモデルやAPI認証が用いられることが多い