はじめに
Cline は VS Code・JetBrains向けのAIコーディングエージェント拡張として広く知られていますが、2026年時点では独立した CLI版 も提供されています。ターミナル・CI/CDパイプライン・Kanbanボードの3つの実行面を1つのエンジンで動かせる設計です1。
この記事では、公式ドキュメントに基づいてCline CLIのインストール方法、対話なしで自動実行する「headlessモード」の仕組み、およびMCPサーバー管理をターミナルだけで完結させる方法を解説します。
この記事で学べること
- Cline CLIのインストールと3つの実行モード(対話・one-shot・Kanban)
- headlessモードが自動的に有効化される条件と主要フラグ
- MCPサーバー設定ファイルの場所とスコープ(グローバル/プロジェクト)
対象読者
- VS Code拡張版のClineは知っているが、CLI版は未確認の方
- Claude Code の
claude -pのような非対話実行をCI/CDに組み込みたい方 - OSSのAIコーディングエージェントをターミナル中心のワークフローで使いたい方
TL;DR
- Cline CLIは
npm i -g clineでインストールでき、Node.js 22以上が必要2 -
clineで対話セッション、cline "..."でone-shot実行、cline kanbanでKanbanボードを起動する3モード構成2 - headlessモードは
--jsonフラグ指定時、標準入力がパイプされた時、標準出力がリダイレクトされた時に 自動判定 される(フラグを付け忘れても暴走しにくい設計)3 - MCP設定は
~/.cline/(全アプリ共通のグローバル設定)と.cline/(プロジェクト単位)の2スコープで管理される。MCPサーバー定義ファイルの具体パスは公式ドキュメント間で表記が揺れており(cline_mcp_settings.json4 /mcp.json5)、確実に知りたい場合はcline mcpコマンドで確認するのが安全45 - Cline本体はApache-2.0ライセンス、GitHub Star数は本稿執筆時点で 64.2k6
Clineとは何か
Clineは、コードベースの読み込み・ファイル編集・ターミナルコマンド実行・ブラウザ操作までをこなす自律型AIコーディングエージェントです。VS Code拡張として2024年に登場し、その後JetBrains系IDE(IntelliJ IDEA・PyCharm・WebStorm・GoLandなど)にも対応を広げました6。ライセンスはApache-2.0で、GitHub Star数は本稿執筆時点(2026年7月)で64.2kです6。
CLI版は、VS Codeのようなエディタなしでも同じエージェントをターミナルから実行できるようにしたものです。公式サイトでは「Coding Agents in Your Terminal and on a Kanban Board」と紹介されており、ターミナルとKanbanボードの両方から同一のエージェントランタイムを操作できる点が特徴です1。
ハンズオン: インストールと3つの実行モード
インストール
npm i -g cline
Node.js 22以上が必要で、別途ランタイムのインストールは不要です。npmパッケージがプラットフォームに応じた実行バイナリを解決します2。実行には無料のClineアカウント、またはAnthropic・OpenAI・Google等の対応プロバイダのAPIキーのいずれかが必要です2。
3つの実行モード
# 1. 対話セッション(IDE拡張と同じ体験をターミナルで)
cline
# 2. one-shot実行(1回のタスクを渡して終了)
cline "READMEのタイポを修正して"
# 3. Kanbanボード起動(ブラウザベースのタスク管理UI)
cline kanban
対応OSはmacOS・Linux・Windowsです2。
headlessモード: 自動判定で人手の承認を挟まない
CI/CDパイプラインやスクリプトからCline CLIを呼び出す場合に使うのが headlessモード です。対話的なUIを出さず、機械可読な出力を返してプロセスを終了します。
headlessモードが有効になる条件は、公式ドキュメントによると以下の3つのいずれかです3。
-
--jsonフラグを指定した場合 - 標準入力がパイプされている場合
- 標準出力がリダイレクトされている場合
つまり --auto-approve のような明示フラグを忘れても、cline "task" > output.txt のようにリダイレクトするだけでheadless扱いになります。CI環境で「フラグの指定漏れで対話待ちのままジョブがハングする」事故を構造的に減らせる設計です。
主要フラグ
| フラグ | 役割 |
|---|---|
--json |
改行区切りJSON形式で出力 |
--auto-approve <boolean> |
ツール実行の自動承認可否 |
-p, --plan |
プランモード(計画のみ)で開始 |
-m, --model |
使用モデルを指定 |
--thinking <level> |
推論レベル(none/low/medium/high/xhigh)を指定 |
-t, --timeout |
タイムアウト秒数を指定 |
出典3
実行例
# JSON出力でタスク結果を取得
cline --json "テストを実行して失敗を修正して"
# git diff をパイプでレビューさせる
git diff | cline "この変更をレビューして"
# 完全自動承認でCIに組み込む
cline --auto-approve true "npm test を実行し、失敗があれば修正"
出典3
MCPサーバー管理をターミナルで完結させる
Clineの拡張ポイントであるMCP(Model Context Protocol)サーバーも、CLI版では設定ファイルとコマンドの両方でターミナルから管理できます。
設定のスコープ
| スコープ | 保存先 | 適用範囲 |
|---|---|---|
| グローバル | ~/.cline/ |
IDE拡張・CLI・SDKなど全Clineアプリケーションに共通 |
| プロジェクト | リポジトリ直下の .cline/
|
現在のワークスペースのみ |
出典4
MCPサーバーの定義ファイルの具体的なパスは公式ドキュメント間で表記に揺れがあります。設定スコープ全般を解説するページでは ~/.cline/data/settings/cline_mcp_settings.json4、MCPサーバー追加手順を解説するページでは ~/.cline/mcp.json(CLI版)5と、異なるパスが案内されています。手元の環境で確実なパスを知りたい場合は、後述の cline mcp コマンドから確認するのが安全です。プロジェクトスコープの .cline/ はリポジトリにコミットできるため、チームでMCPサーバー構成をバージョン管理する用途にも使えます4。
追加方法
MCPサーバーの追加は、公式ドキュメントでは以下の3つの経路が案内されています5。
- MCP設定ファイルをJSONで直接編集する(CLI版は
~/.cline/mcp.json) -
cline mcpコマンドの対話ウィザードで追加する - IDE拡張の「MCP Servers」パネルから設定する
STDIO方式(ローカルプロセス起動型)とStreamable HTTP方式(リモートサーバー接続型)の両方の設定パターンに対応しています5。
著者視点の発見ポイント
Cline CLIのheadless判定ロジックは、本ブログで既に扱った他のCLIエージェントと比べても設計思想の違いが分かりやすい。例えばAnthropicのClaude Codeは -p(--print)フラグを明示的に付けない限り非対話モードに入らない、フラグ駆動の設計です。対してCline CLIは「パイプされている」「リダイレクトされている」という 実行コンテキストそのもの からheadlessを推論する。CIジョブの多くは元々ログをファイルにリダイレクトしたりパイプで繋いだりする構造になっているため、この自動判定は「フラグの付け忘れでジョブが対話待ちになる」という典型的な事故パターンを構造的に減らせる設計だと言える。一方で、意図せずパイプ経由で呼び出してしまいheadless化することもあり得るため、CI以外の用途でCline CLIをパイプに繋ぐ際は挙動の違いを意識する必要がある。
まとめ
- Cline CLIは
npm i -g cline(Node.js 22+)で導入でき、対話・one-shot・Kanbanの3モードを持つ - headlessモードは
--json・パイプ入力・出力リダイレクトのいずれかで自動的に有効化される - MCPサーバー設定はグローバル(
~/.cline/)とプロジェクト(.cline/)の2スコープで管理でき、プロジェクトスコープはリポジトリにコミットしてチーム共有できる - VS Code拡張しか知らなかった場合、CLI版はCI/CDへの組み込みや純粋なターミナルワークフローへの統合に向いている
参考リンク
- Cline CLI 公式ページ — 概要・インストール方法
- Cline Docs — Three Core Flows — headlessモードの判定条件とフラグ一覧
- Cline Docs — Configuration — グローバル/プロジェクト設定のスコープ
- Cline Docs — Adding & Configuring Servers — MCPサーバーの追加方法
- Cline GitHubリポジトリ — ソースコード・ライセンス・Star数
-
Cline Docs — Three Core Flows(headlessモードの判定条件・フラグ一覧) ↩ ↩2 ↩3 ↩4
-
Cline Docs — Adding & Configuring Servers(MCPサーバーの追加経路) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
-
Cline GitHubリポジトリ(2026年7月時点のStar数・ライセンス・対応IDE) ↩ ↩2 ↩3