はじめに
社内の問い合わせ対応や定型レポート作成を Custom GPT に任せている方は、2026 年 9 月に届いた「Custom GPT の廃止と Plugin への移行」の案内を見て、手元の GPT がいつまで動くのか、何を作り直せばよいのか判断に迷っているのではないでしょうか。
OpenAI は 2026-09-11 のリリースノートで、Custom GPT を全 ChatGPT プランで廃止し、Plugin への移行パスを用意すると発表しました。移行ボタンを押せば終わる GPT もあれば、外部 API を呼び出す Custom Actions を使っている GPT のように、作り直しが必要なものもあります。
対象読者は、ChatGPT の Custom GPT を作成・運用している開発者とビジネスユーザーです。
本稿の内容は、執筆時点(2026-09-25 JST)に公開されている OpenAI のヘルプセンター・開発者ドキュメント・リリースノートの記載をもとに整理した二次情報です。実際のアカウントでの移行操作は行っていないため、画面の文言やボタン位置は各自の画面で確認してください。
TL;DR
この記事を読むと、次のことができるようになります。
- 自分の GPT がいつまで動くのか、執筆時点の公式スケジュールと照らし合わせて把握できます
- 移行で自動的に引き継がれる項目と、手作業で作り直す項目を切り分けられます
- My GPTs 画面の「Migrate to plugin」から Plugin を作る流れと、その前にやっておく準備が分かります
- Custom Actions を使っている GPT について、MCP サーバーへの置き換えに必要な技術要件を見積もれます
Plugin・Skill・Apps の関係
移行先の Plugin は、Custom GPT とは構造が違います。OpenAI のヘルプセンターの案内によると、Plugin は Skill と Apps(コネクタ)をまとめる入れ物です。原文では "A plugin can include skills, apps, or both. Skills provide reusable instructions, while apps connect to external services." と説明されています。
| 用語 | 役割 | Custom GPT で対応していたもの |
|---|---|---|
| Plugin | Skill と Apps を束ねる入れ物。ChatGPT と Codex をまたぐ発見の単位 | GPT そのもの |
| Skill | 再利用できる指示・例・補助ファイル・コードのまとまり。実体は SKILL.md を持つフォルダ |
Instructions |
| reference files | Skill から参照される資料ファイル | Knowledge files |
| Apps(コネクタ) | Google Drive や Slack などの外部サービスに接続する仕組み | Connected apps |
GPT の各パーツが移行後にどこへ入るかを図にすると、次のようになります。
Skill の作成方法は、公式の案内では Create with chat、Create with editor(chatgpt.com/skills/editor)、Upload from your computer の 3 通りが用意されています。対象アカウントには skill-creator という Skill が最初から入っているとも案内されています。
廃止・移行スケジュール(2026-09-25 時点の公式案内)
リリースノートと廃止 FAQ に記載されている日程は次のとおりです。OpenAI はすべての日付に「変更される可能性がある(Dates may change)」と明記しています。
| 日付 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 2026-09-11 | 管理者向けの発表 | Enterprise / Edu 向けリリースノート |
| 2026-09-22 | 移行体験とユーザーバナーの提供目標 | ワークスペースごとの目標で、保証ではありません |
| 2026-10-01 | 遅延バナーをオプトインしたワークスペース向けのバナー目標 | 同上 |
| 2026-10-26(予定) | 新規 Custom GPT の作成終了 | 既存の未移行 GPT は引き続き編集できます |
| 2026-12-11 | 標準の廃止日 | GPT と GPT ページにアクセスできなくなります |
| 2027-02-11 | 承認済みの延期がある Enterprise ワークスペースの廃止日 | 延期の承認が前提です |
執筆日の 2026-09-25 から数えると、新規作成の終了予定日までは 31 日、標準の廃止日までは 77 日です。
この日程はすでに一度動いています。当初は移行体験の目標が 9 月 17 日、新規 GPT の作成終了が 9 月 25 日と報じられていましたが、2026-09-19 ごろに現在の 9 月 22 日・10 月 26 日へ改定されました。古い報道記事には旧日程が残っているため、日付を確認するときは公式の FAQ(Custom GPT retirement and migration FAQ)を直接参照してください。Edu ワークスペースは各ワークスペースの通知に従うよう案内されています。
個人アカウント(Free / Plus / Pro など)については注意が必要です。FAQ には「移行は全 ChatGPT プランに影響する」とありますが、個人アカウントの廃止日が Enterprise と同じ 2026-12-11 になるのかは、執筆時点で公式に明言されていません。OpenAI は画面内の通知(in-product notice)に従うよう案内しており、コミュニティフォーラムでも個人 Plus アカウントの確定スケジュールを問う質問に公式回答は付いていない状態です。個人アカウントで運用している方は、画面の通知を見落とさないようにしてください。
移行される項目と移行されない項目
廃止 FAQ と移行ガイド(learn.chatgpt.com)の記載を突き合わせると、移行ワークフローで扱われる項目は次のように分かれます。
| 項目 | 移行の扱い | 移行後の姿・対応 |
|---|---|---|
| Instructions | 移行されます | Plugin 内の Skill になります |
| Knowledge files | 移行されます | reference files としてコピーされます |
| Connected apps | 移行されます | Plugin の Apps として追加されます |
| Custom Actions | 移行されません | 既存の App で代替するか、MCP サーバーとして作り直します |
| 選択していたモデル | 移行されません | Enterprise では Enterprise の既定値が適用されます |
| 下書き・未公開の編集 | 移行されません | 移行対象は最新の公開版だけです |
| 過去の会話 | 1 対 1 では移行されません | 必要な会話は事前に控えておきます |
| Conversation starters・共有設定 | 1 対 1 では移行されません | Plugin 側で改めて設定します |
Knowledge files の移行先は、FAQ では「Plugin の reference files」、移行ガイドでは「Skill は reference files を含められる」と表現が分かれています。どちらの場合も資料ファイルそのものはコピーされますが、公式は検索や参照の挙動が GPT の Knowledge と異なりうるのでテストするよう求めています。
移行の手順
公式の案内に沿って、移行前の準備から移行後の確認までを 4 つのステップに分けて整理します。
0. 事前準備
移行ボタンを押す前に、次の 4 点を片付けておくと手戻りが減ります。
- 下書きを公開しておく: 移行は最新の公開版だけを対象にします。数週間かけて編集した内容でも、未公開のままなら移行されません。FAQ は作成終了日より前に下書きを公開するよう勧めており、公開範囲をパブリックにする必要はないと補足しています
- Custom Actions の一覧を作る: 呼び出している API のエンドポイント、認証方式、スコープを書き出しておきます。移行後に作り直す範囲がここで確定します
- モデル設定と会話スターターを控える: どちらも移行されないため、移行後に Skill の指示文や Plugin の設定へ反映できるよう記録しておきます
- 移行権限を確認する: 移行操作ができるのは GPT の作成者か管理者で、対象は公開済みの GPT です
移行は一方向の操作で、取り消せません。準備が終わるまでは移行を急がないほうが安全です。
1. My GPTs から「Migrate to plugin」を選ぶ
移行ガイドによると、入口は My GPTs > Created by me > Migrate to plugin です。対象の GPT を選び、このメニューを開きます。
ただし「Migrate to plugin」が表示される時期はアカウントやワークスペースによって異なります。9 月 22 日の移行体験の提供はワークスペースごとの目標とされているため、まだボタンが出ていない場合は画面内の通知を待ちます。
2. migration details をレビューする
移行を選ぶと、何がどこへ移るかを示す migration details が表示されると案内されています。ここでは次の点を確認します。
- Instructions が Skill に変換される内容に、公開版の最新の指示文が入っているか
- Knowledge files がすべて reference files の対象になっているか
- Connected apps が Apps として引き継がれるか
内容に問題がなければ、画面の指示に従って Plugin を作成します。
3. Plugin を作成し、中身をテストする
移行ガイドは "Review the migrated resources and test how they're used." と書いており、移行後の Skill と reference files が期待どおりに使われるかを確認するよう求めています。
移行後の元の GPT は読み取り専用になり、編集できなくなります。廃止日までは引き続き使えるため、移行直後は元の GPT と Plugin を並べて、同じ質問への回答を比べられます。
4. Custom Actions の代替と共有設定を整える
Custom Actions を使っていない GPT なら、共有設定と会話スターターを整えれば作業は終わります。Custom Actions を使っている GPT は、次の節の手順で連携を作り直します。
Custom Actions の代替を用意する
移行ガイドの原文は "Custom actions don't transfer. Rebuild needed integrations with a supported connector or custom MCP connection, then test them before your team switches." です。代替の検討は次の順で進めます。
- 既存の App(サポート済みのコネクタ)で必要な操作を賄えるかを確認します
- 賄えない場合は、自前の MCP(Model Context Protocol)サーバーとして連携を作り直します
FAQ は "Rebuilding the connection may require a custom MCP server and technical setup." とも書いており、認証・スコープ・承認・セキュリティレビューのやり直しが必要になる場合があります。作り直した連携が元の Action の機能をすべて再現できるとは限らない点も前提に置いておきます。
MCP サーバーの認証要件
OpenAI の開発者ドキュメント(Plugins の認証ガイド)によると、認証付きの MCP サーバーには MCP 認可仕様に沿った OAuth 2.1 フローの実装が求められます。
-
/.well-known/oauth-protected-resourceの公開 - 認可サーバー側での PKCE(S256)対応
- MCP サーバー側でのトークン検証(署名・
iss・aud・exp・scope)
読み取り専用で匿名のモードも認められていますが、顧客固有のデータや書き込み操作を公開する場合はユーザー認証をすべき(should)とされています。GPT Actions では API キー認証を選べたため、認証方式の設計し直しが移行作業の中心になる可能性があります。API キー認証の Actions を OAuth 以外の方法でそのまま移せるかどうかは、執筆時点の公式ドキュメントから明確な記述を見つけられませんでした。
自作 MCP サーバーを ChatGPT に接続する手順
公式ドキュメント(Connect to ChatGPT / MCP)に記載されている接続とテストの手順は次のとおりです。
- ChatGPT の Settings → Security and login で Developer mode を有効にします
- ChatGPT Plugins(
chatgpt.com/plugins)で+ボタンを選び、サーバー URL(/mcpパスを含む)を登録します - チャットと deep research でプロンプトを送り、ツールが呼ばれるかを確認します
ChatGPT が接続できるのはリモートの HTTPS サーバー(SSE または Streamable HTTP)だけで、社内ネットワーク内のサーバーには Secure MCP Tunnel を使うよう案内されています。古い解説記事にある「Apps & Connectors → Advanced」という設定パスは現行の画面とは異なるため注意してください。Developer mode を使えるプランの条件は、公式の記載から確認できませんでした。
管理者が知っておきたい運用上の差
ワークスペースで MCP アプリを運用する場合、ヘルプセンター(Developer mode and MCP apps in ChatGPT)には次の挙動が記載されています。このページは beta 表記で「at launch」「currently」という限定付きのため、今後変わる可能性があります。
- 管理者がアプリを初めて承認した時点のツール定義が固定スナップショットとして使われ、サーバー側の変更は自動では反映されません
- 後方互換のない変更をすると、管理者が Workspace settings から更新(Refresh)するまでツール呼び出しが失敗しうると書かれています
- Business プランでは公開後にアプリを更新できず、作り直して再公開が必要です。Enterprise / Edu では Refresh で更新できますが、新しく追加したアクションは既定で無効になります
また、Plugin のインストールと中に含まれる App へのアクセス権は別々の制御です。Enterprise / Edu では新しい Plugin や App が原則既定で無効、Business では App が既定で有効と、既定値もプランで異なります。「Plugin はインストール済みなのに App が使えない」メンバーが出うるため、移行後の動作確認は利用者の権限でも行ってください。
移行しなかった場合どうなるか
廃止日を過ぎると、Custom GPT は動作を停止し(stop running)、GPT ディレクトリからも外れます。アーカイブされて後から復元できるという記述は、公式・二次情報のどちらにも見当たりませんでした。
一方で、移行済みの GPT のリンクは、アクセス権を持つ人に対して移行先の Plugin へリダイレクトされる予定と案内されています。社内 Wiki やマニュアルに GPT の URL を貼っている場合、移行しておけばリンクを生かせる可能性があります。
移行ガイドには "You will still be able to migrate a GPT after retirement, although the GPT itself will no longer run." とあり、廃止後も移行操作そのものはできると書かれています。ただし廃止日から Plugin の準備が整うまでの間は利用者が GPT を使えなくなるため、業務で使っている GPT は廃止日より前に移行と動作確認を終えておくのが現実的です。
情報収集で分かった実務上の注意点
筆者が今回の情報を集めるなかで、移行判断に影響しそうな点が 3 つありました。
1 つ目は、日付が実際に動いている ことです。新規作成の終了日は 9 月 25 日から 10 月 26 日へ 1 か月以上後ろにずれました。後ろにずれたから安心というわけではなく、前倒しの改定がないとも言い切れません。スケジュールは「確定した期限」ではなく「変わりうる目標」として扱い、移行作業は 10 月 26 日の作成終了より前に一度通しておくほうが安全だと考えます。作成終了後は、移行先の検証用に新しい GPT を作り直す手段がなくなるためです。
2 つ目は、プラン別の提供範囲について情報源どうしが食い違っている ことです。たとえば「書き込み系を含む MCP 接続は特定の組織向けプランだけ」「Skills は組織向けプランだけ」といった主張が一部の記事や検索結果の要約に出てきます。今回の材料集めでは、公式の一次情報と照らし合わせる敵対的な検証を含む調査を並行して行いました。70 件の主張を抽出し、そのうち 25 件を突き合わせた結果、19 件が裏付けられ、6 件は否決されました。否決された 6 件には、上に挙げたプラン限定の主張と旧日程の報道が含まれています。プラン別の可否は機能ごとに違ううえ、ベータ段階で頻繁に変わっているため、特定プランで使えないと書かれた記事を見ても、その場で自分の画面と公式ページを確かめるのが確実です。
3 つ目は、移行の難易度が Custom Actions の有無でほぼ決まる ことです。Instructions・Knowledge・Connected apps だけで組んだ GPT なら、公式の移行ワークフローが大半を肩代わりします。Actions を使っている GPT は、OAuth 2.1 と PKCE を満たす MCP サーバーの実装、ワークスペースでの承認、スナップショット更新の運用まで含めた小さな開発案件になります。棚卸しの段階で「Actions あり」の GPT を先に洗い出し、そこに工数を寄せる進め方をおすすめします。
トラブルシューティング
Q1: 「Migrate to plugin」が表示されない
A: 移行機能の提供時期はアカウントやワークスペースによって異なると案内されています。9 月 22 日は目標日で保証ではないため、画面内の通知を待ってください。移行操作ができるのは GPT の作成者か管理者で、対象は公開済みの GPT です。下書きのままの GPT は先に公開してください。
Q2: 移行後、回答の傾向が元の GPT と変わった
A: GPT で選んでいたモデルは引き継がれないため、移行先の既定モデルで動いている可能性があります。reference files の検索や参照の挙動も GPT の Knowledge と異なりうると公式が述べています。Skill の指示文に、参照すべきファイルや回答の形式を明示的に書き足して調整します。
Q3: Plugin はインストールされているのに外部サービスに接続できない
A: Plugin のインストールと App のアクセス権は別々の制御です。Enterprise / Edu では新しい App が既定で無効の場合があるため、管理者に App の有効化と権限の付与を確認してください。
おわりに
Custom GPT から Plugin への移行は、Instructions・Knowledge・Connected apps だけで組んだ GPT であれば公式のワークフローで大部分が済みます。手作業が残るのは、Custom Actions の作り直し、モデル設定と会話スターターの再設定、下書きの公開といった「移行ワークフローの外側」の部分です。
執筆時点の公式案内では、新規作成の終了が 2026-10-26(予定)、標準の廃止日が 2026-12-11 です。日付は変わりうるため、作業に入る前に廃止 FAQ と画面内の通知を確認してください。
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参考リンク
- Custom GPT retirement and migration FAQ(OpenAI Help Center)
- ChatGPT Enterprise and Edu release notes(OpenAI Help Center)
- Migrate custom GPTs(learn.chatgpt.com)
- Skills in ChatGPT(OpenAI Help Center)
- Admin controls, security, and compliance for plugins and apps(OpenAI Help Center)
- Developer mode and MCP apps in ChatGPT(OpenAI Help Center)
- Plugins の認証(OpenAI Developers)
- Connect to ChatGPT(OpenAI Developers)
- MCP(OpenAI Developers)
- Clarification needed: Custom GPT migration path for personal Plus accounts(OpenAI Developer Community)