はじめに
2026年4月28日、Warpはターミナルクライアントをオープンソース化し、「AIエージェント開発環境(Agentic Development Environment)」として再定義しました。
700K+の開発者が利用するWarpは、単なるターミナルエミュレーターから、Claude Code・Codex・Gemini CLIといったAIエージェントを統合・オーケストレーションするプラットフォームへと進化しています。
この記事で学べること
- WarpのAIエージェント開発環境としての全体像
- オープンソース化の詳細(ライセンス・リポジトリ構成)
- MCPサーバーとClaude Codeとの設定共有方法
- Ozクラウドエージェントでバックグラウンドタスクを自動化する方法
対象読者
- Claude Code / Codexを日常的に使用するエンジニア
- ターミナルをAIエージェント基盤として活用したい開発者
- CI/CD・Slack連携をAIエージェントで自動化したいチーム
前提条件
- macOS / Linux(Windowsは現在ベータ)
- Warpアカウント(無料プランあり)
TL;DR
- Warpは2026年4月28日にオープンソース化(MIT + AGPL v3デュアルライセンス)
- Claude Code・Codex・Gemini CLIを「Bring Your Own Agent」として統合可能
- MCP設定を
~/.claude.jsonなどから自動検出し、各ツール間で設定を共有 - Ozクラウドエージェントで、Slack・CI・Webhookトリガーによる無人エージェント実行が可能
Warpとは
WarpはRust製・GPU高速化のターミナルアプリケーションで、以下の特徴を持ちます。
ブロックUI
Warpの最大の特徴は「ブロック」と呼ばれるUIモデルです。各コマンドの入力と出力がブロック単位にグループ化され、過去の実行結果をコピー・共有・参照しやすい構造になっています。
AI提案機能
シェル履歴・終了コード・コンテキストに基づいたAI提案が組み込まれています。コマンドが失敗した際に次に実行すべきコマンドを提案したり、自然言語でコマンドを生成したりする機能が標準搭載されています。
エージェント統合
2026年の大きな変化は、ターミナルそのものがエージェント実行環境になったことです。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| Built-in Agent | Warp標準のコーディングエージェント |
| BYOA(Bring Your Own Agent) | Claude Code・Codex・Gemini CLIを統合 |
| MCP(Model Context Protocol) | 外部ツールへのファーストクラスサポート |
| Cloud Agents(Oz) | バックグラウンドでの無人エージェント実行 |
オープンソース化の詳細
ライセンス
2026年4月28日に公開されたGitHubリポジトリ(warpdotdev/warp)は、デュアルライセンス構成です。
| コンポーネント | ライセンス |
|---|---|
warpui・warpui_core UIクレート |
MIT |
| その他クライアントコード | AGPL v3 |
| サーバーサイド・AI/クラウドコンポーネント | プロプライエタリ |
UIレイヤーをMITで公開することで、サードパーティツールからのWarpコンポーネント再利用を促進しつつ、クライアントコア全体の改変・再配布にはAGPL v3のコピーレフト条件が適用されます。
コントリビューションモデル
Warpは貢献プロセス自体をAIエージェント(Oz)で運用しています。コーディング・計画・テストの大部分をエージェントが担い、人間の貢献者はアイデア出し・方向性の決定・エージェント出力の検証に集中するモデルです。
# リポジトリのクローン
git clone https://github.com/warpdotdev/warp
cd warp
# ビルド要件: Rust stable + GPU対応ドライバ
cargo build --release
MCPサーバーの統合
既存設定の自動検出
Warpは起動時に以下のパスを自動スキャンし、MCP設定を読み込みます。
| パス | 対応ツール |
|---|---|
~/.claude.json |
Claude Code |
.mcp.json |
汎用MCP設定 |
~/.codex/config.toml |
Codex(グローバル) |
.codex/config.toml |
Codex(プロジェクト) |
Claude Codeで設定済みのMCPサーバーは、Warpでも再設定なしで利用できます。
Oz CLIでのMCP指定
# MCPサーバーをUUIDで指定してエージェント実行
oz agent run --mcp <UUID> "GitHub PRをレビューしてください"
# インラインJSONでMCPサーバーを指定
oz agent run \
--mcp '{"type":"stdio","command":"npx","args":["-y","@modelcontextprotocol/server-github"]}' \
"最新のissueを確認してください"
# ファイルパスで指定
oz agent run --mcp ./mcp-config.json "タスクを実行してください"
MCP設定ファイルの例
{
"mcpServers": {
"github": {
"type": "stdio",
"command": "npx",
"args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"],
"env": {
"GITHUB_TOKEN": "${GITHUB_TOKEN}"
}
},
"linear": {
"type": "stdio",
"command": "npx",
"args": ["-y", "@linear/mcp-server"]
}
}
}
Ozクラウドエージェント
Ozは、バックグラウンドでエージェントを実行・オーケストレーションするクラウドプラットフォームです。「誰もターミナルの前にいない状態でも、エージェントがタスクを実行し続ける」環境を提供します。
トリガー種別
| トリガー | 概要 |
|---|---|
cron |
スケジュール実行(例: 毎日午前2時にビルドチェック) |
webhook |
外部HTTPリクエストによる起動 |
CI event |
テスト失敗・PRマージなどのCI/CDイベント |
Slack |
Slackメッセージへの反応 |
API call |
oz agent run-cloud コマンド |
manual |
手動実行 |
ローカルワーカーのセットアップ
エージェントの実行は自社インフラ上で行い、オーケストレーションのみWarpのバックエンドを経由する「スプリットプレーン」アーキテクチャを採用できます。
# Oz CLIのインストール(Warpデスクトップアプリに同梱)
# または単体インストール(macOS)
brew tap warpdotdev/warp && brew install --cask oz
# 認証
oz login
# ローカルワーカーの起動(Dockerを使用)
docker run -v /var/run/docker.sock:/var/run/docker.sock \
-e WARP_API_KEY="$WARP_API_KEY" \
warpdotdev/oz-agent-worker --worker-id "my-worker"
# ワーカーが起動すると、Slack・CI・スケジュールからのタスクを受け付け始める
クイックスタート: 最初のクラウドエージェント
# ローカルでエージェントを実行(動作確認)
oz agent run "public/ ディレクトリのMarkdownファイルを一覧表示してください"
# クラウドエージェントとして実行(非同期、バックグラウンド)
oz agent run-cloud \
--mcp ./mcp-config.json \
"GitHubの未対応issueを確認し、優先度の高いものをSlackに通知してください"
# 実行ステータスの確認
oz agent list
oz run list
Slackトリガーの設定例
# .oz/triggers.yaml
triggers:
- name: pr-review-agent
type: slack
channel: "#code-review"
keyword: "@oz review"
agent:
prompt: "指定されたPRをレビューし、コメントをSlackに返信してください"
mcp:
- github
model: claude-sonnet-4-6
BYOA(Bring Your Own Agent)
Warpはエージェントを1つに統一するのではなく、開発者が使い慣れたエージェントをWarp上で実行できる「BYOA」モデルを採用しています。
対応エージェント
| エージェント | 起動コマンド |
|---|---|
| Warp Built-in |
Ctrl+I(デフォルト) |
| Claude Code | claude |
| OpenAI Codex | codex |
| Gemini CLI | gemini |
使い分けの指針
Warpのドキュメントによれば、各エージェントの特性に応じた使い分けが推奨されています。
- Warp Built-in: ターミナル操作・シェルスクリプト生成など、ターミナル文脈に密接なタスク
- Claude Code: 複雑なコーディング・マルチファイル編集・長期タスク
- Codex: OpenAIエコシステムとの統合、コード生成・デバッグ
- Gemini CLI: Google Workspaceとの連携、マルチモーダルタスク
重要なのは、MCP設定は共有されるため、どのエージェントを使っても同じツール(GitHub・Linear・Sentryなど)にアクセスできます。
観測性とデバッグ
Ozのオーケストレーションレイヤーは、各エージェント実行に対して永続的なレコードを生成します。
# 過去のエージェント実行一覧
oz run list
# 特定の実行の詳細確認(ログ・ステータス・メタデータ)
oz run get <RUN_ID>
ダッシュボードで確認できる主要メトリクスは以下の通りです(Ozプラットフォームドキュメントより)。
- 登録エージェント総数
- アクティブユーザー数
- 成長トレンド
- 接続プラットフォーム数
- 累積実行時間(時間単位)
- リスクシグナル
セルフホスティング
Ozはクラウド版に加え、セルフホスティングオプションを提供しています。実行はすべて自社インフラ上で行い、オーケストレーションのみWarp経由というハイブリッド構成も選択可能です。
# Dockerを使用したワーカー起動
docker run -v /var/run/docker.sock:/var/run/docker.sock \
-e WARP_API_KEY="$WARP_API_KEY" \
warpdotdev/oz-agent-worker \
--worker-id "my-worker" \
--max-agents 5
詳細はセルフホスティングドキュメントを参照してください。
まとめ
Warpのオープンソース化(2026年4月28日)とOzクラウドエージェントの登場により、ターミナルはAIエージェント開発環境として新たな役割を担い始めています。
-
MCP設定の共有:
~/.claude.jsonを自動検出し、Claude Code・Codex・WarpでMCPサーバーを共有可能 - BYOA: 使い慣れたエージェントをそのままWarpで実行できる柔軟性
- Ozクラウドエージェント: Slack・CI・Webhookトリガーで無人実行、観測性も充実
- オープンソース: MIT + AGPL v3デュアルライセンスで、UIコンポーネントの再利用が可能
Claude Codeをはじめとする複数のエージェントを使い分けているエンジニアにとって、WarpのMCP自動検出とBYOAは特に有用です。既存の設定資産を活かしながら、バックグラウンドエージェント実行という新しい開発スタイルへの入口になります。
参考リンク
- Warp公式サイト — 製品概要・ダウンロード
- Warpドキュメント — エージェントプラットフォーム・Oz CLIリファレンス
- warpdotdev/warp — GitHub — オープンソースリポジトリ(MIT + AGPL v3)
- Ozプラットフォーム — クラウドエージェントオーケストレーション
- MCP Servers | Warp docs — MCPサーバー設定リファレンス
- Warp Terminal Goes Open Source — it's FOSS — オープンソース化の解説記事(2026-04-30)
- Warp's gamble: Going open source to take on closed-source rivals — The New Stack — OSS化の背景解説


