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😱捚おた叀いクレゞットカヌド、䜿えちゃうのEMV®非接觊決枈に朜む脆匱性「ゟンビカヌド」

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ハサミを入れ損ねた叀いカヌド、䜿えちゃうんですっお

안녕하신게띌パナ゜ニック コネクト株匏䌚瀟クラりド゜リュヌション郚の加賀です。

財垃の奥や匕き出しの底に、期限の切れたクレゞットカヌドが1枚くらい眠っおいないでしょうか。新しいカヌドが届いたずき、叀いのは「どうせもう䜿えないし」ず攟り蟌んだきりになっおいるものです。

その「どうせもう䜿えない」ずいう前提を、誰も保蚌しおいなかったずいう論文が USENIX Security '26 で発衚されたした。Zombie Cards Back Online: Reviving Expired Credit Cards for Contactless Payments期限切れのクレゞットカヌドを非接觊決枈のために蘇らせる、マサチュヌセッツ倧孊アマヌスト校の Raja Hasnain Anwar 氏らによるものです。

この論文、䜕がすごいの 3行でたずめ

  • 発想がすごい
    暗号を1぀も砎っおいない。レゞ端末が芋る有効期限を、未来日に差し替えるだけ。
  • 手口がすごい
    垂販のAndroid端末2台。曞き換え察象は僅か3バむト。鍵窃取もPIN掚枬も䞍芁。
  • 結果がすごい
    実隓宀だけでなく、実圚の小売店ず食料品店でも決枈が成立しおしたった。

財垃に眠っおいる自分の叀いカヌドをレゞでかざしおも、普通は通りたせん。
この攻撃が成立するのは、そのカヌドを手にした第䞉者が䞭継装眮を挟んだずきだけです。

ゟンビカヌドずいう名付けは倧袈裟ですが割ず正確に思えたす。カヌドは自分が死んだず思っおいたせん。こい぀ 動くぞ

有効期限は2箇所にあるけど、誰か突き合わせおる

突き合わせおいたせん。EMV®非接觊決枈の仕様は、党おの凊理方匏に䞀臎を矩務づけおいたせんでした。

1぀は 5F24Application Expiration Dateずいうタグ。もう1぀は 57Track 2 Equivalent Dataずいう、カヌド番号ず期限をたずめお持぀デヌタの䞭です。

厄介なのは、この2぀を読む盞手が違うこずです。レゞ端末は 5F24 を芋お「このカヌド、期限が切れおいないか」を刀定したすオフラむン決枈に察応した端末での条件付き実装です。䞀方、オンラむン承認のために銀行むシュアぞ送られるのは 57 のほうです。

封筒に貌った付箋ず、䞭身の曞類のようなものです。受付は付箋の日付で受け取りを決め、本瀟に回るのは䞭の曞類。照合する人がいなければ、付箋だけ貌り替えれば受付は通りたす。

有効期限はカヌドに刻たれた動かせない属性ではなく、関係者がそれぞれの堎所で確認する玄束事でした。

【コラム】カヌドの鍵には、期限が曞かれおいない

カヌドが決枈時に䜿う暗号鍵そのものには、有効期限ずいう抂念がありたせん。期限を担保しおいるのは、カヌドに茉っおいる蚌明曞ず端末偎の刀定ロゞックです。

しかも論文が匕甚するEMVの仕様曞Book 2 §10.2.5.3は「ICカヌドの有効期限は、そのカヌドに茉る発行者公開鍵蚌明曞の有効期限より埌であっおはならない」ず定めおいたす筆者蚳。蚌明曞のほうが先に切れるこずはない。再発行の端境期をたたげるよう、䜙裕が持たされおいたす。

結果ずしお、印字された期限が切れたあずも、カヌドは正芏の暗号凊理を淡々ずこなし続けたす。止たる理由が、どこにも実装されおいないからです。

攻撃の仕組み、カヌドはどうやっお蘇るのか

Step 1: カヌドずレゞの間に割り蟌む

研究者が甚意したのは、NFC察応のAndroid端末2台です。1台をレゞ端末の前に眮いお「カヌドのフリ」をさせ、もう1台を暙的のカヌドに近づけお「レゞ端末のフリ」をさせる。2台は無線で繋がっおいお、䞡者のやりずりを玠通ししたす。いわゆるリレヌ攻撃の構成です。

気になるのは遅延ですが、論文の芋積もりでは1埀埩あたり20〜50ミリ秒の䞊乗せで、1取匕あたりの平均レむテンシは玄415ミリ秒。EMVが蚱す䞊限は1コマンドあたり500ミリ秒なので、タむムアりトには䞀床も匕っかからなかったずされおいたす。

Step 2: 端末が芋る期限だけを未来にする

レゞ端末がカヌドのデヌタを読みに行くず、カヌドは平文のタグ矀を返したす。ここで䞭継圹が 5F24 の倀だけを、過去の日付から未来の日付ぞ曞き換えたす。

5F24 は YYMMDD をBCDで詰めた3バむト。240831 を 280831 にする、それだけです。

Step 3: 眲名も暗号文も、䜕ひず぀壊れない

普通に考えれば、デヌタを改竄した時点で眲名怜蚌に匕っかかるはずです。

ずころが Kernel 3 ず呌ばれる凊理方匏が䜿うオフラむン認蚌の高速版fDDAは、眲名の察象に 5F24 を含めおいたせん。含たれおいないものは、曞き換えおも眲名ず矛盟したせん。

さらに攻撃者は 57Track 2には指䞀本觊れたせん。觊れば銀行偎の怜蚌で露芋するからです。結果ずしお銀行の手元には、本物の期限切れの日付が、正芏の暗号文ずセットで届きたす。

実際には端末ず銀行の間にアクワむアラず決枈ネットワヌクが挟たりたすが、ここでは省いおいたす。

なぜブランドによっお結果が違うのか

ここが個人的に䞀番の謎でした。同じ改竄を他の方匏で詊すず、悉く倱敗したす。

EMVの非接觊決枈には「カヌネル」ず呌ばれる凊理方匏が耇数あり、囜際ブランドごずに番号が振られおいたす。論文が比范したのは次の4぀です。

カヌネル 5F24 改竄結果 そうなる理由
Kernel 2
Mastercard
倱敗 端末が 5F24 ず Track 2 の期限の䞀臎を確認しおいる
Kernel 3
Visa
成立 オフラむン認蚌の高速版fDDAの眲名察象に 5F24 が入っおいない
Kernel 4
American Express
倱敗 5F24 が発行者眲名の察象デヌタに含たれおいる
Kernel 6
Discover
倱敗 CDAずいう方匏で、カヌドが返したタグ矀がハッシュに束瞛される

なお論文がテストしたのは米囜の5行が発行したカヌドで、JCBずChina UnionPayのカヌネルは比范察象に入っおいたせん。

EMVの仕様を管理するEMVCoは、囜際ブランド6瀟が共同で所有する組織です。共同でやっおいるのに、なぜ匷床が揃っおいないのか。答えはEMVCo自身の公匏FAQにありたした。

Each global payment system has its own specification for a contactless kernel. EMVCo publishes these individual specifications on the EMVCo website as Book C-X Specifications.

筆者蚳: 各決枈システムは、非接觊カヌネルに぀いお独自の仕様を持っおいる。EMVCoはこれら個別の仕様を Book C-X ずしお公開しおいる

カヌネル仕様に関しお、EMVCoは各瀟の仕様を束ねお公開しおいる立堎でした。共通化されおいるのは「どの端末でもどのブランドのカヌドが読める」ずいう盞互運甚性のほうで、セキュリティ蚭蚈の现郚は各瀟の裁量に残っおいたす。同じFAQには、EMVCoから盎接ラむセンスを受けられる Book C-8 の蚘茉もありたすが、乱立が収束するかは今埌の普及次第です。

では Kernel 3 はなぜ 5F24 を眲名の倖に眮いおいるのか。論文自身が、この蚭蚈は取匕の継続性ず埌方互換性を優先した結果だず説明しおいたす。出回っおいる倧量のカヌドず蚭眮枈みの端末を壊さず、正垞な取匕を誀っお拒吊しないこず。そちらを重く芋れば、端から端たで厳密に束瞛する蚭蚈は埌回しになりたす。速床ず承認率を取るか、デヌタの敎合性を取るか。同じEMVの枠内で、真逆の刀断が䞊んで実装されおいるわけです。

実店舗でも通った、もう䞀枚の壁は機胜したのか

では Kernel 3 のカヌドなら䜕でも通るのかずいうず、そうでもありたせんでした。論文は実隓察象の銀行を Bank A から Bank E ずいう蚘号で匿名化しおいたす。

同じカヌネル、同じ改竄、同じ端末で詊したずころ、Bank A では決枈が成立し、Bank B では銀行偎が拒吊したした。Bank B は「新しいカヌドをお䜿いください」ずいう通知たで出しおいたす。改竄なしなら想定通り拒吊されるこずを確かめたうえで、Bank A のカヌドは1ドル、100ドル、500ドルのいずれでも通り、倧孊構内の小売店で2.79ドル、食料品店で3.19ドルの買い物たで成立したした。金額も業皮もレゞ端末のメヌカも、論文が詊した範囲ではそれ単独で成吊を分けおいたせん。

分かれ目は、銀行が䜕を芋お承認を刀断しおいるかでした。カヌド番号が実圚しお口座が生きおいるこずだけを確認するのか、そのカヌド個䜓が珟圹かどうかたで芋るのか。前者だず、届いおいる期限切れの日付は読たれないたた承認が返りたす。

もう1぀、Kernel 3 には銀行にずっお䞍利な仕様がありたす。端末は各皮チェックの結果をTVRTerminal Verification Resultsずいう5バむトの領域に蚘録するのですが、Kernel 3 は銀行ぞ転送するTVRを党ビットれロにするず定めおいたすKernel 3 仕様 §B.1.1。端末が「期限切れを怜知した」ず蚘録しおも、その事実は銀行たで届きたせん。銀行が二枚目の壁を立おようにも、肝心の材料が端末偎で止たっおいたす。

そしお、これが特定のカヌネルに限った話ではないこずを瀺す結果も出おいたす。Kernel 6Discoverのカヌドは改竄をきっちり匟いたにもかかわらず、期限前に銀行が自動で再発行した旧カヌドが、䜕の现工もなしにそのたた決枈できおしたいたした。新しいカヌドず同じ口座に、です。カヌネルが堅牢でも、「このカヌドは差し替え枈み」ずいう状態が承認経路に反映されおいなければ、叀いカヌドは生き続けたす。

察照的に、Apple PayやGoogle Payのようなりォレットは、決枈トヌクンの有効性を発行元偎から曎新できるぶん叀い情報が残りにくい、ず著者らは考察で述べおいたす。ただしりォレットも改竄の実隓察象で、5F24 を過去・未来どちらに曞き換えおも結果は倉わっおいたせん。カヌドが凊理方針を䌝えるCTQCard Transaction Qualifiersに「期限切れならオンラむンぞ」が立っおいお、刀断がたるごず銀行に回るからです。安党だず確かめられたわけではありたせん。

結局これは、誰か1者の刀断だけで決たる話ではありたせんでした。凊理方匏が期限のデヌタをどこたで守り、銀行がそれをどこたで芋盎すか。その䞀次防埡ず二次防埡の䞡方を抜けたずきにだけ、お金が動く。責任をどう分け合うかの蚭蚈問題だった、ずいうのが論文の結論です。

【コラム】研究倫理のお玄束

䜿ったのは党お著者自身のカヌドで、攻撃者圹も被害者圹も研究者が兌ねおいたす。実店舗での怜蚌は事前に店舗ぞ説明したうえで1店舗あたり2回たでずし、商品はきちんず賌入。発生した請求は䞀切異議申し立おせず党額支払った、ず明蚘されおいたす。

たた著者らは、リレヌ甚アプリの゜ヌスコヌドを公開しないず決めおいたす。緩和策が広く行き枡る前に悪甚可胜なツヌルを出すのは無責任だ、ずいう刀断で、代わりに手順ず加工枈みの通信ログだけを公開しおいたす1。この蚘事でも再珟手順には螏み蟌みたせん。

著者らは2025幎5月に該圓ブランドず銀行ぞ報告し、2025幎12月に再床連絡を取っおいたす。報告は初期トリアヌゞを通過し、レッドチヌムによる再珟怜蚌が進められおいる段階です。論文採択の時点で、緩和策の内容や時期に぀いおの回答は公衚されおいたせん。CVE番号も、論文公開時点では採番されおいないず著者ら自身が明蚀しおいたす。特定の゜フトりェア補品の䞍具合ではないから、ずいうのがその説明です。

日本で同じこずを詊す堎合、自分名矩のカヌドであっおも、決枈端末ぞ停の有効期限を送る行為は法に觊れうる領域です。

攻撃の前提になる3぀の条件

どれか1぀でも欠ければ、攻撃は成立したせん。

  • 暙的のカヌドが物理的に攻撃者の手の届く範囲にあるこず
    論文も、米囜で重芁曞類をめったに裁断しない人が34%、䞀床も裁断したこずがない人が12%、ずいう2018幎公衚の調査ず、なりすたし被害の玄17%が捚おられた資料に由来するずいう2022幎の調査を匕甚しおいたす。
  • 再発行時にカヌド番号が据え眮かれおいるこず
    手元の曎新カヌドを䜕枚か確かめた限りでは16桁は据え眮きで、倉わっおいたのは有効期限ずセキュリティコヌドだけでした発行元ごずの運甚なので䞀抂には蚀えたせんが。
  • カヌドず端末の少なくずも䞀方がRRPを実装しお「ない」こず
    RRPRelay Resistance Protocolは、端末が時間を区切った問い合わせを投げ、応答が遅ければ取匕を打ち切る仕組みです。
    䞭継を挟めば必ず遅延が乗るので理屈のうえでは怜出できるのですが、任意実装のため、論文のテストに䜿われたカヌドず端末は1぀も実装しおいたせんでした。察策は最初から甚意されおいお、䜿われおいないだけです。

裏を返せば、珟圹のカヌドは期限を曞き換える必芁がそもそもないので、この話はタッチ決枈そのものを封印する理由にはなりたせん。

この研究が瀺す教蚓

カヌド衚面に印字された期限は、人間に向けた衚瀺であっお、システムが守るず玄束したものではありたせんでした。同じ倀が2箇所にあり、読む盞手が違い、照合が矩務でないなら、そこは必ず狙われたす。

もう1぀の教蚓が、怜査結果を次工皋に枡さない蚭蚈です。TVRを党れロで送る仕様は、端末が䜕を芋぀けたかを銀行ぞ䞀切䌝えたせん。埌ろの砊に刀断材料が届かないので、二段構えは最初から䞀段でした。

身も蓋もない蚀い方をするず、責任の分担が曖昧な境界線には、だいたい穎が空いおいるずいうこずです。むンフラをやっおいるず䜕床も螏む話で、EMVほど枯れた䞖界でも同じでした。このプロトコル自䜓も過去に䜕床か砎られおいたすが、壊れたのはたいおい暗号ではなく、その呚りの取り決めでした。

仕組み偎の察策ずしおは、端末が芋る期限を眲名の察象に含めるこず、5F24 ず Track 2 の䞀臎を端末が確認するこず、銀行がカヌド番号ず有効期限の組で承認を刀断するこず、再発行時に旧カヌドを明確な倱効状態ぞ萜ずすこず、そしお端末の怜査結果を銀行たで届けるこず。いずれも論文が提案しおいる内容です。

私たちにできるこず

論文が挙げる察策の筆頭は、拍子抜けするほど地味です。

叀いカヌドは、ICチップず磁気ストラむプの䞡方にハサミを入れおから捚おる。もしくは、発行元が案内しおいる返华方法に埓う。

NFCだの眲名の束瞛範囲だのず散々やっおきお、結論がハサミ。ですが、この攻撃は暙的のカヌドが物理的に手に入るこずが倧前提なので、物理的に朰すのが䞀番確実です。チップ本䜓に切れ蟌みを入れるのがポむントで、真ん䞭あたりで折るだけだず接点が残るこずがありたす。

「䜿えないはずのもの」が䜿えおしたう話は、これたでにも䜕床も出おきたした。削陀したはずのデヌタ、無効化したはずのトヌクン、退職者のアカりント。今回のカヌドもその系譜で、倱効ずは攟っおおいお成立する状態ではなく、誰かが胜動的に維持し続ける仕組みなのだず、改めお突き぀けられた気がしたす。

俺、この蚘事を曞き終えたら匕き出しに溜たっおるゟンビカヌドを探すんだ。なぁに、このハサミがあれば倧䞈倫さ。このあず滅茶苊茶郚屋掃陀した


お断り
蚘事内容は個人の芋解であり、所属組織の立堎や戊略・意芋を代衚するものではありたせん。
あくたで゚ンゞニアずしおの経隓や考えを発信しおいたすので、ご了承ください。
本蚘事で取り䞊げた実隓結果は論文著者らが米囜内の特定環境で埗たものであり、個別の金融機関・囜際ブランド・決枈事業者・POS端末ベンダの珟圚のセキュリティ氎準を評䟡するものではありたせん。論文䞭の金融機関名は著者らによっお匿名化されおいたす。
EMV® は米囜およびその他の囜における登録商暙、それ以倖の地域では未登録商暙であり、EMVCo, LLC が保有しおいたす。文䞭のその他の瀟名・ブランド名は各瀟の商暙たたは登録商暙です。

  1. 論文本䜓は PDFで党文公開されおいたす。加工枈みの取匕ログは Zenodo に眮かれおいたす。著者らによるデモ動画ず抂芁は EMV Expired Card Attack にたずたっおいたす。 ↩

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