はじめに
この記事では、VRRPの検証中に出てきたOwnerモードというNexus 9000シリーズの仕様について簡単にまとめていきます。
VRRPとは
VRRP( Virtual Router Redundancy Protocol )とは、デフォルトゲートウェイなどを冗長化するための標準化されたプロトコルとなります。
もう少し簡単に言うと、複数のルータを組み合わせて仮想的に1つのルータ見せることで、片方がダウンしても通信が落ちないようにするための仕組みです。
仮想ルータのIPアドレスとして、実ルータのIPアドレスを指定することもできることが特徴として挙げられます。
今回はNexus 9000シリーズで仮想ルータのIPアドレスとして、実ルータのIPアドレスを指定した際に出てくるOwnerモードというものについて記載していきます。
Ownerモードについて
Ownerモードとは、VRRPルータの仮想IPアドレスが物理インターフェイスのIPアドレスと同じIPアドレスを所有する場合、そのIPと同じルータのプライオリティが強制的に255となり、マスタールータとなるモードです。
下記のように設定した場合でも

下記のように仮想IPと同じIPを持つRouter1がPriority255となりMasterルータとなります。

これで困ったのが下記2点です。
・Masterルータの変更
・Preemptがdisable時の障害発生時の挙動
まず、Masterルータの変更については
下記のようにRouter2(仮想IP≠物理IP)側のPriorityを高く設定した場合でも

下記のようにRouter1(仮想IP=物理IP)側のルータがMasterルータになってしまうというものです。

次にPreemptがdisable時の障害発生時の挙動に関しましては
通常下記のようにPreemptをdisableで設定した場合

障害発生→復旧後の動作は下記のように、Router2(仮想IP≠物理IP)側がMasterルータのままの想定なのですが、

Ownerモードの状態だと下記のように復旧後、Router1(仮想IP=物理IP)側のルータがMasterルータになってしまうというものです。

最後に
今回は、Nexus 9000シリーズ VRRP使用時のOwnerモードについて記事を書きました。
現状これは仕様となっており、回避するためには、仮想IP≠物理IPとする以外の選択が無いようです。
参考文献
