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Power Query入門

Last updated at Posted at 2021-10-29

Power Queryとは

Power BIやExcelに搭載されている、データ収集・加工機能。

  • データ収集: Excel、CSV、Access、PDF、各種DBサーバー等、非常に多くのデータ形式に対応。
  • データ加工: 抽出、持ち方変更(Long⇔Wide)、簡単な計算や集計等、一通りの前処理が可能。

Excel等と同様、基本的にGUIで直感的に操作できるが、裏側で使われているM言語によるプログラミングも可能。

Power Queryを使うメリット

  • 一度設定すれば、次回以降は更新ボタンを押すだけでデータ更新可能 → 手作業でのデータ貼り付けから開放
  • 従来VBAを使わなければできなかったデータ収集・加工がノンプログラミングで可能 → プログラミング不要で自動化
  • Power Pivotのデータモデルとしてデータを取り込めば、Excelの限界を超える行数の取り扱いが可能 → データ種類・量の制限が緩和

Excelとの違い

  • 関数はあるが列同士の計算のみ。Excelのテーブルに似ている。
  • テーブルの各セルには文字列、数値、日付等の値データ以外にもさまざまなデータを格納可能。ファイルそのものを表すbinary型や、テーブル、リストも格納できる。

やってみるさ

Excel画面のデータタブ -> 新しいクエリ -> ファイルから -> ブックから -> ファイルを選択 -> インポート -> ナビゲーター画面の左側で取得したいテーブルを選択 -> 読み込み で、新しいシートにテーブル形式でデータが読み込まれる。

Power Queryエディター画面の説明

Excel画面のデータタブ -> データの取得 -> Power Query エディターの起動 (Excel 2016はデータタブ -> 新しいクエリ -> クエリの結合 -> クエリ エディターの起動)で、Power Queryエディターを起動。

image.png

エディターは以下の4つの部分に分かれている:

  • 上部: リボン
  • 左側: クエリペイン
  • 真ん中: プレビュー
  • 右側: クエリの設定ウィンドウ

以下、各部分について説明する

上部: リボン

Power Queryでできる様々な機能がタブごとにまとめられている。後述の各種機能もここから呼び出す。

詳細エディターとM言語

ホームタブの詳細エディターから、詳細エディターを開けば、クエリーの元になっているM言語を編集できる。M言語とはPower Queryの裏側で動いているプログラミング言語。リボンのボタンから行えないような細かい調整が可能。

左側: クエリペイン

クエリーやパラメーターの一覧。それぞれの意味は以下:

  • クエリ: データソース、データ加工等をひとまとめにしたもの。結果は基本的にテーブルだが、単独の値や、複数の値からなるリストやレコードとなることもある。また、クエリは他のクエリから再利用することも可能。
  • パラメーター: 値のみを格納したもの。値はエディター上で設定する。

クエリー、パラメーターはグループと呼ばれるフォルダーのようなものに格納可能。クエリー等が多くなったときにグループ分けすれば見やすくできる。

真ん中: プレビュー

クエリペインで選択しているクエリの実行結果のプレビューが表示される。フィルター操作や列の並べ替え等はここで行える。

右側: クエリの設定ウィンドウ

クエリの各ステップ(個々の処理)が表示される。クエリの各ステップは編集の度に自動的に追加される。名前が分かりにくいので、以下のように分かりやすいよう変更すると良い。image.png

Power Queryの主なデータ変換・編集機能

★付きは詳細を説明。

ヘッダー調整

テーブルからデータを取得する場合は問題ないが、シートからデータを取得する場合は、シートの1行目をヘッダーとして使用してしまうため、ヘッダーが2行目以降にあるようなときには修正が必要。ホームタブ -> 1行目をヘッダーとして使用 ボタンを押すたびに、ヘッダー行が1行ずつ下にずれていくので、必要な回数実行する。

データ型の変換

データ型とは、整数、10進数、テキスト等のデータの種類。列ごとに同じデータ型でなければならない。
データ取り込み時に最適な型が自動的に設定されるが、手動設定も可。手動で変換するには、数式バーか詳細エディターで、=Table.TransformColumnTypes(テーブル, {{列1, データ型1}, {列2, データ型2}, …, {列n, データ型n}})のデータ型部分を修正する。
主なデータ型は次のとおり:

データ型 アイコン M言語表示 説明
テキスト text_20.png type text Unicodeテキスト
True/False logical_20.png type logical TrueまたはFalseいずれかの値
10進数 number_20.png type number 64bit浮動小数点数
通貨 currency_20.png Currency.Type 小数点区切り文字の右側には常に4桁の数字が入り、有効数字は最大19桁
整数 wholenumber_20.png Int64.Type 64bit整数値
パーセンテージ percentage_20.png Percentage.Type 値がパーセンテージ表示される以外は10進数と同様
日付/時刻 datetime_20.png type datetime 日付と時刻
日付 date_20.png type date 日付
時刻 time_20.png type time 時刻
バイナリー binary_20.png type binary バイナリー データ(ファイルそのもの)
[任意] anytype_20.png type any 何でも入るが、出力時には型を指定すること

列追加

列の追加タブ -> カスタム列で、カスタム列エディターを開く。カスタム列の式に関数を入力する。例えば、日付列から年を取り出すには、Date.Year([日付])と入力する。使用できる関数は公式ドキュメントを参照。

ピボット解除

ピポットではない間違えないように)。

データの持ち方を横持ち(Wide)から縦持ち(Long)に変える操作。データの持ち方についてはこちらを参照。データの蓄積・集計を行うなら、縦持ちの方が便利。また、常に整然データとなることを意識しておくこと。

以下の変換を考える。

横持ち(Wide)

21/5 21/6 21/7
薩摩 11 12 13
大隅 21 22 23
日向 31 32 33

縦持ち(Long)

年月 売上
薩摩 21/5 11
薩摩 21/6 12
薩摩 21/7 13
大隅 21/5 21
大隅 21/6 22
大隅 21/7 23
日向 21/5 31
日向 21/6 32
日向 21/7 33

列のピボット解除

Power Queryでの操作は、列「21/5」から「21/7」までを選択 -> 変換タブ -> 列のピボット解除 -> 数式バー -> 数式= Table.UnpivotOtherColumns(テーブル名, {"国"}, "属性", "値")の、"属性""年月"に、"値""売上"に書き換える。

生成された数式を見ればわかるが、選択した列「21/5」から「21/7」以外の列(=列「国」)をTable.UnpivotOtherColumns関数の引数として使用しており、結果は次のその他の列のピボット解除と全く同じになる。

その他の列のピボット解除

同じデータに対し、列「」を選択 -> 変換タブ -> その他の列のピボット解除 -> 数式バー -> 数式= Table.UnpivotOtherColumns(テーブル名, {"国"}, "属性", "値")の、"属性""年月"に、"値""売上"に書き換える。

選択した列のみをピボット解除

同じデータに対し、列「21/5」から「21/7」までを選択 -> 変換タブ -> 選択した列のみをピボット解除 -> 数式バー -> 数式= Table.Unpivot(テーブル名, {"21/5", "21/6", "21/7"}, "属性", "値")の、"属性""年月"に、"値""売上"に書き換える。

この方法のみTable.Unpivot関数を使用。列「21/5」から「21/7」を引数としているため、この値が変わると使えなくなる。

ピボット

ピボット解除とは逆に、データを縦持ち(Long)から横持ち(Wide)に変換する。表の同じ場所に入るデータが複数あることもあるため、集計を伴う。
以下の変換を考える。

横持ち(Long)

年月 売上
薩摩 21/5 11
薩摩 21/6 12
薩摩 21/7 13
大隅 21/5 21
大隅 21/6 22
大隅 21/7 23
日向 21/5 31
日向 21/6 32
日向 21/7 33

縦持ち(Wide)

21/5 21/6 21/7
薩摩 11 12 13
大隅 21 22 23
日向 31 32 33

Power Queryでの操作は、列「年月」を選択 -> 変換タブ -> 列のピボット -> 値列のプルダウンから、売上を選択 -> 詳細設定オプション値の集計関数合計を選択 -> OK

クエリのマージ

2つのテーブル同士を特定の列をキーに紐づける。SQLでのJOIN、Pandasでのjoinやmergeに相当。

売上テーブル

年月 売上
薩摩 21/5 11
薩摩 21/6 12
薩摩 21/7 13
大隅 21/5 21
大隅 21/6 22
大隅 21/7 23
日向 21/5 31
日向 21/6 32
日向 21/7 33

四半期テーブル

年月 四半期
21/5 1Q
21/6 1Q
21/7 1Q

↓ クエリのマージ

年月 売上 四半期
薩摩 21/5 11 1Q
薩摩 21/6 12 1Q
薩摩 21/7 13 2Q
大隅 21/5 21 1Q
大隅 21/6 22 1Q
大隅 21/7 23 2Q
日向 21/5 31 1Q
日向 21/6 32 1Q
日向 21/7 33 2Q

Power Queryでの操作は、売上テーブルを開く -> ホームタブ -> クエリのマージ -> 中段のプルダウンで、四半期テーブルを選択 -> 上段の売上テーブルで年月列を選択 -> 下段の四半期テーブルで年月列を選択 -> 下部の結合の種類プルダウンから、左外部を選択 -> OKでクエリのマージ画面を閉じる -> 売上テーブルに四半期列が追加されるので、四半期列右端の「↰↱」ボタンを押す -> ✔を四半期のみにし、元の列名をプレフィックスとして使用しますの✔を外す -> OK

注意: 結合する列同士のデータの型が合っていないと結合できない。例えば日付型と文字列型等(データの見た目が同じでもダメ)。

結合の種類については、こちらを参照

クエリの追加

2つのテーブル同士を縦につなげる。SQLでのUNION、Pandasでのconcatに相当。

売上テーブル

年月 売上
薩摩 21/5 11
薩摩 21/6 12
薩摩 21/7 13
大隅 21/5 21
大隅 21/6 22
大隅 21/7 23
日向 21/5 31
日向 21/6 32
日向 21/7 33

売上2テーブル

年月 売上
薩摩 21/8 14
薩摩 21/9 15
薩摩 21/10 16
大隅 21/8 24
大隅 21/9 25
大隅 21/10 26
日向 21/8 34
日向 21/9 35
日向 21/10 36

↓ クエリの追加

年月 売上
薩摩 21/5 11
薩摩 21/6 12
薩摩 21/7 13
大隅 21/5 21
大隅 21/6 22
大隅 21/7 23
日向 21/5 31
日向 21/6 32
日向 21/7 33
薩摩 21/8 14
薩摩 21/9 15
薩摩 21/10 16
大隅 21/8 24
大隅 21/9 25
大隅 21/10 26
日向 21/8 34
日向 21/9 35
日向 21/10 36

Power Queryでの操作は、売上テーブルを開く -> ホームタブ -> クエリの追加 -> プルダウンで、売上2テーブルを選択 -> OK

Excel/Power BIへのデータの取り込み

Excelの場合

テーブルとして取り込むか否か

Excelのデータタブ -> クエリの表示で、ブック クエリを表示 -> クエリを右クリック -> 読み込み先… -> ブックでデータを表示する方法を選んでください。で選択する。

  • テーブル: ブック内にテーブルとして取り込まれる。Power Queryからも使える。
  • 接続の作成のみ: テーブルは作成されない。Power Queryからのみ使える。Power Query内でのみ一時テーブルとして使用する場合はこちらを選択する。

データモデルに取り込むか否か

上記と同じ画面で、このデータをデータ モデルに追加するに✓を入れると、Power Pivotで使用可能になる。Excelの限界行数を超えるデータを扱う場合には、上記で接続の作成のみとし、ここで✔を入れる。

Power BIの場合

データモデルに取り込むか否か

Power Query エディターでクエリを右クリック -> 読み込みを有効にするのチェックを外すとPower BIに取り込まれなくなる。

その他のTips

参考

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