はじめに
最近リリースされたコマンドラインツール「Gemini CLI」をご存知ですか? 「Web版のGeminiと何が違うの?」と疑問に思っている方や、その具体的な活用法を知りたい方も多いのではないでしょうか。
もしあなたが「AIが生成したプログラムを、いちいちコピペして実行するのが面倒…」と感じているなら、Gemini CLIはまさにうってつけのツールです。ターミナルから自然言語で指示するだけで、ファイル操作やコマンド実行といった定型作業を自動化してくれます。
この記事では、そんなGemini CLIの魅力的な機能とセットアップ方法、そして実践的な活用例をまとめてご紹介します。
Gemini CLIとは?
Gemini CLIは、オープンソースで開発されているコマンドラインインターフェース(CLI)ツールです。ターミナル(コマンドプロンプト)から直接コマンドを打ち込むことで、GoogleのAIモデルであるGeminiの機能を利用できます。
Gemini CLIの主な特徴
Gemini CLIには、以下のような特徴があります。
- 大規模なコンテキスト: 100万トークンという広大なコンテキストウィンドウを無料で利用できます。これにより、大規模なコードベースを読み込ませることで、リポジトリ全体の構造や依存関係を理解した上でのコード修正や機能追加、質問への応答などが期待できます。
- Google検索との連携: AIが自身の知識だけでは不十分だと判断した場合、自律的にGoogle検索を行い、最新の情報(例えば、新しいライブラリの仕様やエラー情報など)を反映した回答を生成する能力があります。
- ローカル環境との連携: ローカルファイルの読み書きやコマンドの実行が可能です。ファイルやディレクトリを指定するだけで、直接コードを修正したり、新しいファイルを生成したりできます。
- マルチモーダル対応: テキストだけでなく、画像やPDFの内容も理解できます。
- 無料利用枠: 個人のGoogleアカウントであれば、1日に1,000リクエスト、毎分60リクエストの無料枠が提供されています。
始め方
Node.jsのインストール
Node.jsのバージョン20以降が必要です。以下の公式サイトからインストールしてください。
Gemini CLIの実行
ターミナルで次のコマンドを実行します。
npx https://github.com/google-gemini/gemini-cli
初期設定
カラーテーマの選択とGoogleアカウントでのログインを行います。これで初期設定は完了です。
詳細については、公式のGitHubリポジトリをご確認ください。
使用例:ローカルファイルの分割作業を自動化する
Gemini CLIがどのような場面で役立つのか、具体的な使用例を紹介します。
背景
GitHubリポジトリのコードをNotebookLMのようなサービスで読み込ませたい場合、リポジトリ全体のテキスト量が多すぎるとアップロード制限に抵触し、失敗することがあります。その際には手動でファイルを分割する必要がありますが、この作業をGemini CLIに任せてみます。
実行内容
今回は、手元にある gemini-cli.txt というテキストファイルを、NotebookLMにアップロードできる条件(1ファイル50万語以下、2MB以下)に合わせて分割するように、自然言語で依頼します。(公式の文書ではアップロードできるファイルのサイズは200MBまでとなっていますが、アップロードに失敗するケースが多かったため、今回は2MBに設定しました。)
ターミナルで以下のようなプロンプトを入力します。
gemini-cli.txtを,NotebookLMにアップロードできるように,1ファイル500,000語以下,2MB以下に分割して保存してください.
実行プロセス
プロンプトを送信すると、Gemini CLIは対話形式で確認を求めてきます。

はいと答えると、処理内容を記述したプログラムの作成が始まります。そして、そのプログラムを実行してよいかどうかの確認が行われます。
ユーザーが許可すると、Gemini CLIはプログラムを自動で実行し、指示通りにファイルを分割して保存します。

このように、Gemini CLIは単に質問に答えるだけでなく、具体的なタスクを解決するためのプログラムをその場で作成し、ローカル環境で実行まで行ってくれる点が特徴です。
まとめ
この記事では、コマンドラインAI「Gemini CLI」の導入方法から、ローカルファイルの操作を自動化する例までをご紹介しました。
記事でお見せしたように、Gemini CLIは曖昧な指示を理解し、具体的な実行プランを提示し、許可するだけでタスクを完了させてくれます。
npx コマンド一つで手軽に始められますので、ぜひこの機会に導入してみてはいかがでしょうか。