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デイリースクラムの本質を考える - 進捗共有の場ではない理由

Last updated at Posted at 2025-10-07

初めに

私がDS(デイリースクラム)のやり方がうまくいかないなと思ったときに立ち返るために、また同じように悩んでいる方の参考になればと思い、この記事を書きました。

📌 テーマ1:DSの意味

「DSは進捗共有の場ではない」という話をさせてください。

つまり、何を言いたいかというと、「目的を進捗共有に置いてはいけない」 ということです。

スクラムガイドによる定義

スクラムガイドによると、スクラムにおけるデイリースクラムは次のように定義されています。

デイリースクラムの目的は、計画された今後の作業を調整しながら、
スプリントゴールに対する進捗を検査し、必要に応じてスプリントバックログを適応させることである。
デイリースクラムは、スクラムチームの開発者のための15分のイベントである。

❌ よくある誤解

つまり、「昨日は○○をしていました。今日は○○を行います。」というような報告だけをしているチームがあったとします。

それは単なる進捗共有の場にとどまっており、スクラムが求めるDSの本来の目的を満たしていません。


💡 テーマ2:理想のDSとは

理想のDSは、「スプリントゴールに対して現在の作業は〇〇」という枕詞から始まるべきだと私は考えています。

前提条件

もちろん、そのためにはチームメンバー全員が以下を満たしていることが前提となります:

  • ✅ スプリントゴールを正しく理解している
  • ✅ 共通のスケジュール感を持っている

この認識のすり合わせは、スプリントプランニングで行うべきです。
プランニングのやり方は、本稿の趣旨から外れるため割愛しますが、スプリントゴールと各タスクのスケジュールを明確にすることが重要です。

実践例

私のチームでは、まずスプリントゴールと現状を確認し、「どこまで終わっている必要があるのか」 を明確にします。

そのうえで、「(タスク・個人レベルでスプリントゴール達成のために)昨日は〇〇を行っていました。今日は〇〇をします」 という形で報告を行います。

🔍 違いは何か?

一見、文字にすると同じような報告でも、ゴールとスケジュール感を前提に置くかどうかで、意味がまったく変わります。

もし進捗が遅れていれば、以下のような判断が可能となります:

  • 🚨 「障害が発生している」
  • 📊 「見積もりが甘かった」

いずれの場合も、顧客調整やチームの成長につながります。


🛠️ テーマ3:理想のDSを実現するために

理想のDSを語るだけでは意味がありません。

それを実現するスクラムチームを作るために、実際に何をすべきかをお伝えします。

この記事を読んでいるあなたは、すでに「DSをより良くしたい」という問題意識を持っている方だと思います。

以下の2つをぜひ実践してみてください。

3-1. スプリントゴールと各タスクのスケジュールを見える化する

スプリントプランニングの場で、「何日までにどのタスクを終えるか」というリミットを設定してください。

そして毎朝のDSで、まずチーム全体でスプリントゴールとスケジュールを確認します。

これを毎日続けることで、チーム全体の意識を高め、自然とエンパワーメントが生まれます。

3-2. 報告の際に枕詞をつける

各メンバーが報告する際、「スプリントゴールに対して〇〇」という枕詞を必ずつけて話すようにしてください。

もしその報告に対して誰かが「それでゴールに間に合うのか?」と違和感を覚えたら、すぐに別途ミーティングを開きましょう。

ペアプロやステークホルダーへの相談など、具体的な手段で問題を解決していくことが重要です。


📝 まとめ

一年間スクラムを実践してみて感じたことを、飾らずに書かせていただきました。

スクラムの前提条件

スクラムは、ある程度精神的にも技術的にも成熟したエンジニアが集まって初めて成立する手法だと思います。

もしチームメンバーの意識が低く、スクラムがうまく機能していない場合は、『ザ・ゴール』や『エンパワーメント』といった書籍を通じて、まずは意識改革から始めるのが良いでしょう。

🎯 DSの真の目的

最後に、DSの目的を改めて明確にしておきます。

それは、「毎日、ユーザに素早く価値を届けるために、今自分たちは何をすべきかを確認する時間」 です。

⚠️ 重要な指標

スクラムの各イベント(DS、レトロ、プランニング)やメンバーの行動が、もしユーザへの価値向上につながらないのなら、それはすべて無駄な時間・行動です。


🌟 最後に

「ユーザへの価値」という物差しを持つことで、当たり前と思っていた物事の多くが崩れ去るかもしれません。

しかし、それこそが真のアジャイル開発の第一歩なのです。


参考文献

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