はじめに
スクラム開発において、スクラムマスターは欠かせない存在と言われています。しかし、現在私が所属しているチームにはスクラムマスターがいません。
過去にスクラムマスターがいるチームで開発していた経験と、現在の体制を比較することで見えてきた気づきを共有したいと思います。
スクラムマスター不在で悩んでいるチームや、逆にスクラムマスターの必要性を感じているチームにとって、この経験が何かの参考になれば幸いです。
過去のチーム:スクラムマスターがいた環境
チーム構成
5〜8名のエンジニアと1〜2名のデザイナーで構成されたチームで、
スクラムマスターは専任または兼任のどちらのパターンもありました。
元々エンジニア出身のスクラムマスターが多かったように思います。
スクラムマスターの役割
よく言われる役割
- チームにスクラムの理論、プラクティス、ルールを守ってもらうようにする
- スクラムチームの外部の人たちにプロダクトやチームについて理解してもらう
- プロダクトオーナーや開発チームの活動を支援、コーチングを行う
- プロダクトバックログの価値を最大化させるためのコミュニケーションの方法や、効果的な管理方法を伝える
- スクラムイベントをファシリテートする
- チームを観察し、チームの自己組織化を後押しする
- 進捗を妨げるものを排除しながら、スクラムチームが作り出す価値を最大化する
今までのスクラムマスターは、上記に加え
エンジニア・デザイナーとPOの間に立ち、俯瞰した視点で場の調整を行うのが上手い方が多かったです
振り返りイベントでは様々なワークショップを実施し、意見の活性化を促していました。
また、メンバーの心理的安全性を第一に考え、常にケアを行っている姿も印象的でした。
スクラムマスターがいることのメリット
最も大きなメリットは、メンバーが開発のみに注力できていたことです。
ハイコンテクストな議論を的確に要約してくれるファシリテーション能力の高さも助かりました。
常にメンバーに気を配っている姿勢が伝わってきたので、心強い存在でした。
当時は、スクラムマスターがいるのは当然のことだと思っていました。
現在のチーム:スクラムマスター不在の環境
スクラムマスター不在の経緯
当時のスクラムマスターが離任することになり、体制がある程度整備されていたこと、そして丁寧な引き継ぎ資料が残されていたことから、メンバーでスクラムイベントをこなす体制にシフトしたようです(当時のメンバーに聞きました)
現在の運営方法
振り返りやデイリースクラムなどのセレモニーは、エンジニアメンバーが輪番制でファシリテーションを行っています。スクラムマスターの役割は特定の誰かが担うのではなく、メンバー全員で担っています。
PO含めメンバー全員が常に「チームを主語にして考え行動する」ことを意識し、建設的な会話を心がけているように感じます。
ここで私の中で「チーム力が高ければ、スクラムマスターは不要なのではないか」という仮説も生まれてきました。
意外な発見と課題
開発に注力できなくなるのではないかと懸念していましたが、意外とそうではありませんでした。むしろファシリテーション能力の向上が見込めたり、日々の業務にマンネリ化が起きない効果もあります。
一方で、採用のハードルが上がっている可能性も感じています。柔軟性やコミュニケーション能力を重視して人材を見るようになったのは、この体制の影響かもしれません。
こんな解釈も!
やがてスクラムマスターはいらなくなる時がくるはずだ。
いや、いらなくなるように仕向けなくてはいけないのだ。
チームの成長とともに、スクラムマスターの役割は他のメンバーでもできるようになるのが望ましい。1
まとめ
スクラムマスターがいない体制でも、チーム・メンバーの経験値が豊富であれば十分に機能することが分かりました。ただし、これはあくまで成熟したチームだからこそ成立している部分も大きいと感じています。
そうでないチーム場合、スクラムの理解やコーチングを行ってくれるスクラムマスターの存在が必要だと思います。
スクラムマスターの存在意義を否定するわけではなく、チームの成熟度や状況に応じて最適な体制は変わるということです。今後も振り返りと改善を続けながら、チームに最適な形を模索していきます。
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「カイゼン・ジャーニー」 https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798153346 ↩