はじめに
WindowsやIntel Macでは、VirtualBoxというツールを使いUbuntuのVM(仮想マシン)を構築する方法が一般的でした。
しかし、Apple Silicon (M1,M2) を搭載したMacでは、VirtualBoxでのUbuntuのVM構築がまだまだ安定しないという課題があります。
そこで、Windows、Intel Mac、Apple Silicon Mac(M1,M2)に対応し、高速でUbuntuのVMを構築できるソフトウェアを紹介します。
MultiPassとは
MultiPassは、Ubuntuの開発をしているCanonical社が提供しているツールです。Windows、Linux、macOSそれぞれのプラットフォームで、同じ操作感で UbuntuのVMを扱うことができます。操作は基本的にCUIで実施します。
MultiPassのインストール
brew install multipass
こちらのページに、Windows、Linuxのインストール方法も載っています。
バージョン確認
multipass version
仮想マシンの作成(初回起動)・状態確認
UbuntuのVMを作成(初回起動)するにはmultipass launch
コマンドを使います。以下の表の通り、オプションを付けて実行する事ができます。また、末尾にはUbuntuのバージョン番号を指定します。バージョン番号を省略した場合には、最新のLTS(Long Term Support)リリースが使われます。
オプション | デフォルト値 | 説明 |
---|---|---|
--name | 適当な名前 | 仮想マシン名を指定 |
--cpus | 1 | CPUの数を指定 |
--memory | 1G | メモリのサイズを指定 |
--disk | 5G | ディスクのサイズを指定 |
以下のコマンドで、UbuntuのVMを作成(初回起動)しましょう。
multipass launch --name ubuntu --cpus 1 --memory 1G --disk 5G 20.04
初回起動時には、イメージのダウンロードや検証が入るので、少し時間がかかります。なお、指定できるバージョン番号 (ディストリビューション) は multipass find コマンドで確認できます。
multipass find
起動が終わるとmultipass ls
コマンド(または multipass list)を叩く事で、仮想マシンが表示されるようになります。
multipass ls
出力結果は以下のとおりです。
Name State IPv4 Image
ubuntu Running 192.168.0.2 Ubuntu 20.04 LTS
仮想マシンのより詳しい情報はmultipass info
コマンドで確認できます。デフォルトでは1GBのメモリと5GBのディスクが割り当てられます。
multipass info ubuntu
出力結果は以下のとおりです。
Name: ubuntu
State: Running
IPv4: 192.168.0.2
Release: Ubuntu 20.04.6 LTS
Image hash: --
Load: 0.00 0.00 0.00
Disk usage: 2.7G out of 4.7G
Memory usage: 157.5M out of 970.0M
Mounts: --
仮想マシンに割り当てるCPUやメモリ、ディスクの容量などは起動時にカスタマイズできます。 具体的にはmultipass launch
コマンドで--cpus
や--mem
、--disk
といったオプションを指定します。 詳細はmultipass launch --help
から確認できますので参照してみてください。
シェルへログイン
multipass shell
コマンドを使えばシェルにログインできます。シェルにログインしたら、通常のUbuntuと同じように使用できます。
multipass shell ubuntu
また、シェルから出るときは、以下のようにexit
を叩きます。
exit
VMを停止・起動・削除する
まず、VMの状態を確認します。
multipass ls
出力結果のとおり、StateがRunnningとなっており、VMが起動している事がわかります。
Name State IPv4 Image
ubuntu Running 192.168.0.2 Ubuntu 20.04 LTS
仮想マシンを停止するにはmultipass stop
コマンドを使います。
multipass stop ubuntu
multipass ls
起動するときはmultipass start
コマンドを使います。
multipass start ubuntu
multipass ls
仮想マシンを削除するときはmultipass delete
コマンドを使います。 ただし、この時点では完全に削除されません。ゴミ箱に入るようなイメージです。
multipass delete ubuntu
multipass ls
出力結果のとおり、Deletedとなっている事が確認できます。
Name State IPv4 Image
ubuntu Deleted -- Not Available
Deletedな状態であれば、まだmultipass recover
コマンドで復旧できます。
multipass recover ubuntu
multipass ls
仮想マシンを完全に削除するには、multipass delete
でゴミ箱に入れた後にmultipass purge
でゴミ箱の中身を削除します。これでDeletedな状態の仮想マシンが完全に削除されます。
multipass delete ubuntu
multipass purge
multipass ls
おわりに
今回は、Windows、Intel Mac、Apple Silicon Mac(M1,M2)に対応し、高速でUbuntuのVMを構築できるソフトウェアとして、Multipassを紹介しました。基本的な操作方法について、この記事を参照していただき、細かい操作についてはGoogle検索やhelpコマンドを確認してみてください。この記事が、少しでも多くの方にとって有益になれば幸いです。