はじめに
営業現場において、「活動(Event)のメモが長すぎて読むのに時間がかかる」「関連する活動が散らばっていて商談の進捗が追いにくい」といった課題は絶えません。
この記事では、SalesforceのAI機能である Prompt Builder(Flexテンプレート) と Flow を組み合わせ、「活動を登録するだけで、AIが要約して商談レコードのカスタム項目に自動保存する」仕組みをノーコードで構築した事例を紹介します。
💡 実装のメリット
- 時短: 長文の活動メモを読まずに、商談画面から5秒で状況把握が可能。
- 標準化: 営業担当による書き方のバラつきをAIが補完し、要点を構造化。
- シームレス: ユーザーの追加操作は一切不要(Eventを作成・更新するだけ)。
🏗 全体アーキテクチャ
処理の流れは以下の通りです。
- Event(活動) の作成または更新。
- Record-triggered Flow が発火。
-
WhatIdを参照し、関連先が 商談(Opportunity) か判定。 - Prompt Builder のテンプレートへ必要な値を渡す。
- AIが要約文(
PromptResponse)を生成。 - Flowで要約結果を商談のカスタム項目へ書き込み。
⚙ 実装ステップ
1. 商談に「AI活動要約」項目を作成
AIの回答を保存するための箱を用意します。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| オブジェクト | 商談 (Opportunity) |
| 項目名 | AI_ActivitySummary__c |
| データ型 | ロングテキストエリア |
2. Prompt Builder でテンプレートを作成
Flexテンプレート を使用して、自由度の高いプロンプトを作成します。
入力パラメータ(自由テキスト)
Opportunity_NameStage_NameAmountActivityDescription
プロンプト本文(例)
以下は商談に関連する活動内容です。営業マネージャーが5秒で理解できるよう、要点・懸念点・次のアクションを含めて150〜200文字で要約してください。
【商談情報】
- 商談名:{{Opportunity_Name}}
- フェーズ:{{Stage_Name}}
- 金額:{{Amount}}
【活動内容】
{{ActivityDescription}}
※ 作成後、「有効化」 を忘れないようにしてください。
3. Flow(レコードトリガー)の構築
Eventオブジェクトをトリガーに設定します。
トリガー条件
- オブジェクト: Event
-
条件:
-
WhatIdが006(商談のプレフィックス)で始まる -
Description(説明)が空ではない
-
フロー内のアクション
-
関連商談の取得 (Get Records)
- IDが
$Record.WhatIdに一致する商談を1件取得。
- IDが
-
Prompt Builder アクションの配置
- 作成したテンプレートを選択し、以下の値をマッピングします。
| プロンプト入力 | Flowから渡す値 |
|---|---|
Opportunity_Name |
{!Get_Opportunity.Name} |
Stage_Name |
{!Get_Opportunity.StageName} |
Amount |
{!Get_Opportunity.Amount} |
ActivityDescription |
{!$Record.Description} |
-
商談の更新 (Update Records)
-
PromptResponse(AIの回答)を変数に格納し、商談のAI_ActivitySummary__cに割り当てて更新します。
-
📸 実行イメージ
活動(Event)を保存した瞬間、商談画面に以下のような要約が自動生成されます。
AI活動要約
本日の打ち合わせでは、Edge Emergency Generator導入に向けた最終見積の合意が取れました。
- 要点: 予算内での着地に合意。
- 懸念点: 納品スケジュールの前倒し要望あり。
- 次アクション: 明日中に物流部門と調整し回答予定。
💡 実装のポイントと得られた効果
- "無操作" の連携: 営業担当者が「要約ボタン」を押す手間すら省くことで、入力の定着化を狙いました。
- メンテナンス性: 要約のトーンを変えたい場合、Flowをいじらずに Prompt Builder側を修正するだけ で完結します。
- 拡張性: 今回はEventから商談への連携でしたが、Case(ケース)やCustom Objectでも同様のロジックが応用可能です。
🔚 まとめ
Salesforce標準の Prompt Builder × Flow を組み合わせることで、これまで「溜まるだけだったデータ」を「価値を生む情報」へノーコードで変換できるようになりました。
今後は、要約だけでなく「活動内容から失注リスクを判定する」「ネクストアクションを自動でToDo作成する」といった応用にも挑戦してみたいと思います!