はじめに
この記事は、Webex Advent Calendar 2021 の 7 日目として投稿しています。
Web 会議は、以前から B2B(Business to Business) では広く使われてきましたが、パンデミックの影響もあり、最近では企業間のみならず、さまざまな場面で使われるようになりました。
例えば、オンライン相談、オンライン診療、オンライン面会などが挙げられます。
Web 会議を B2C(Business to Customer) で利用するケースも増えてきている一方で、普段 Web 会議を利用しない方が初めてアクセスする場合は、会議を開始する前に躓いてしまうポイントがいくつかあります。
新しくリリースされた Webex Instant Connect の API を使って、どのように改善できるか試してみました。
Web 会議のユーザエクスペリエンス
初めて Web 会議にアクセスする場合、ほとんどのサービスにおいて、アプリケーションのダウンロードやユーザ情報の入力などが求められます。
例えば、Webex の場合、主催者から届いたスケジュールの本文に「ミーティングを開始」というボタンがあり、簡単に Web 会議を開始できますが、初めてアクセスする場合は、追加のステップが必要となり、先に進めない利用者向けのサポート業務が増えてしまうことが考えられます。
また、事前にマニュアルを作成して配布しても、クラウドサービスは頻繁にアップデートがあるので更新が追い付かないケースも考えられます。
Webex Instant Connect
そんなことを考えていたら、ワンクリックで Web 会議に参加できる API がリリースされました。
ブラウザベースなのでアプリのインストールが不要で、PC だけでなく、モバイルやタブレットでも動作します。
さらに、参加者(ゲスト)側は、何も入力することなく、専用のリンクにアクセスするだけで、すぐに参加できます。
既存の API や SDK を駆使することで同じことが実現できますが、Webex Instant Connect は、それらをパッケージ化し、さらに簡略化したものです。
※ボタンの色や位置の変更、機能追加などのカスタマイズはできません。
自由にカスタマイズしたい場合は、既存の API や SDK の利用をお勧めします。
詳細は、Webex Advent Calendar 2021 の 1日目 をご参照ください。
API や SDK を活用した事例:
・事例1:パーソル パ・リーグTVグループ観戦
・事例2:LINE WORKS 連携
Webex Instant Connect は、2つのコンポーネントで構成されています。
・Link Generator:Web 会議のリンクを生成 (Guest Issuer を活用)
・Meeting UI:Web 会議のユーザインターフェイスを提供 (Browser SDKを活用)
※予約ポータルはサービスに含まれないため、既存の Web サイト、または別途構築する必要があります。
動作イメージ
実際の動作を動画でご覧ください。
・シナリオ:オンライン面会
・患者家族(ゲスト):メールでリンクが共有され、面会時間になったらリンクをクリックし、待機
・入院患者(ホスト):Webex Messaging でリンクが共有され、面会時間になったらリンクをクリックし、開始
※ブラウザの WebRTC が使われており、初回アクセス時は、マイクやカメラのアクセス許可が必要になる場合があります。
※リンクの配布は別途実装する必要があります。
事前準備
ご利用にあたっての前提条件:
・Webex の有償ユーザ (A-FLEX3.0 契約) であること
・「A-FLEX-MTGBROKER」の PID が契約に含まれていること (追加費用はかかりません )。
(詳しくは、Cisco の担当者までお問合せください )
1. Webex Instant Connect の有効化
Instant Connect for virtual care にアクセスし、「Begin Virtual Care Integration」をクリックします。
Webex のログイン画面が表示されるので、上記前提条件を満たす Webex 組織に登録されている管理者権限のユーザでログインします。
他のユーザで既にログインしている可能性がある場合は、ブラウザのシークレットウィンドウで実施することをお勧めします。
アクセス許可の画面が表示されるので、「承認」をクリックします。
「Activate Instant Connect」をクリックすると、「Instant Connect activated」に変わり、有効化が完了します。
2. アクセストークンの取得
Webex for Developers にアクセスし、上と同じ管理者権限のユーザでログインします。
有効化されたタイミングで自動作成された「GuestIssuerApp」が確認できます。
これは絶対に削除しないでください 。
右上の「Create a New App」をクリックします。
Create a New App 画面が表示されたら、「Create a Bot」をクリックします。
New Bot 画面が表示されたら、必要な情報を入力し、右下の「Add Bot」をクリックします。
「Bot access token」の値をコピーして保管しておきます。
※「Integration」の「OAuth Access token」を利用することも可能です。詳細は、こちらの記事をご参照ください。
リンクの作成
1. API 情報の確認
Instant Connect for virtual care にアクセスし、「Begin Virtual Care Integration」をクリックします。
Host と Guest の URL が表示されます。
主催者(ホスト)と参加者(ゲスト)のリンク作成時に必要な情報ですので、コピーして保管しておきます。
画面下部に POST メソッドの URI が表示されます。
API のリクエスト先になりますので、こちらもコピーしておきます。
POST メソッドの URI をクリックすると、Header や Body の仕様が確認できます。
2. API リクエスト
リクエストが成功すると、ホスト用(host)とゲスト用(guest)の情報がそれぞれ返ってきます。
※"aud" は、非公開ですので Cisco の担当者までお問合せください
※"sub" は、会議室毎にユニークな値を設定します。
Python でのリクエスト例:
import requests
import json
url = "https://mtg-broker-a.wbx2.com/api/v1/joseencrypt"
payload = json.dumps({
"aud": "xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx",
"jwt": {
"sub": "test"
}
})
headers = {
'Content-Type': 'application/json',
'Authorization': 'Bearer Zjc4M2NjNGEtMjkzYi00MTIyLWE5ZjgtN2U3ZjRkMTg4ZGJjZTNlYmU2MjktMDI2_P0A1_2b3e2fe0-c4ea-4dd4-958b-48eb4cb375a7'
}
response = requests.request("POST", url, headers=headers, data=payload)
print(response.text)
※'Authorization'の Bearer ヘッダには、コピーしておいた「Bot access token」の値を設定します。
3. リンクの作成
先程コピーした主催者(ホスト)と参加者(ゲスト)用 URL の後ろに Response で取得した情報をくっつけることでリンクの完成です。
複数のアルゴリズムで暗号化されており、文字数がとても長いです。
動作確認
作成したリンクを参加者(ゲスト)と主催者(ホスト)がそれぞれクリックします。
参加者(ゲスト)は主催者(ホスト)が参加するまで待機画面のままです。
※WebRTC の仕様上、カメラやマイクが利用できないデバイスではエラーになります。
※1台の PC でテストする場合、mac と Windows で内蔵 Web カメラの動作に違いがあります。
mac:Web カメラを複数のブラウザウィンドウで共有できる
Windows:Web カメラを複数のブラウザウィンドウで共有できない Web カメラを増やすか、仮想カメラで対応
主催者(ホスト)は、初回参加時にログイン画面が表示されます。
ここでは管理者権限のユーザではなく、Webex Meetings のライセンスが付与されたユーザでログインします。
アカウント情報を保存することで 2 回目以降はログインを省略することが可能です。
「Start Consultation」をクリックすると、会議が開始されます。
最後に
最後まで読んで頂き有難うございます。
シンプルな API で会議リンクを取得できるので、さまざまなサービスで活用できると感じました。
あとは、発行されたリンクを配布する必要がありますが、最近は CPaaS や iPaaS が普及してきているので、同じ要領 (API 連携)で解決できると思います (配布先は Eメール、SMS、LINE などを想定)。
SMS でリンクを共有する場合は、短縮 URL サービスを利用して短くしてから配布する必要があります。
今後、Web 会議を皆様のサービスとして活用する場合に少しでもお役に立てれば幸いです。
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