はじめに
「この期間、何をしていましたか?」
定期ヒアリングで毎回聞かれる質問なのに、いざ答えようとすると、その場で思い出せたことしか話せない。
会議、調整、レビュー、認識合わせ。ちゃんと仕事をしていたはずなのに、ばらばらの作業としてしか説明できない。そんなもったいなさがありました。
はじめまして、JJです。SESとして現場に出ている、QA出身のPMOです。
私がやりたかったのは、聞かれたことへ答えるだけのヒアリングではありません。自分で整理した活動をスライドにして、こちらから報告することでした。
直近では、noteに受け身の定期ヒアリングを「攻めの業務報告」へ変えた話を、QiitaにCopilotの設計書レビューを、そのまま渡せるExcelにするまでを書いています。
今回のQiitaでは、その二回目の報告スライドをどう作ったかを書きます。
ポイントは、AIに「いい感じのスライドを作って」と丸投げしないことです。**スライド生成の前に、内容の骨子とデザインの方向をチャットで固める。**これだけで、「なんか違う。もう一回生成して!」を繰り返す回数が減りました。
この記事では、次の三つを持ち帰れます。
- 記録がまだなくても、今日から始められる最小の実績メモ
- Codexで活動を整理し、Markdownの報告原稿へ変える依頼文
- Gemini Notebook(旧NotebookLM)で、アウトラインとデザインを先に固めてからスライドを作る流れ
目次
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🎯 まずは、受け身のヒアリングを報告へ変えたかった
営業担当との定期ヒアリングでは、案件の現在地、体制や増員の見込み、稼働、社内・事業部での活動などを確認します。
もちろん必要な時間です。ただ、質問されてから考えると、「何をしていたか」の説明で終わりやすい。自分が何を考え、何を整え、どこまで進んだかまで伝えるには、事前の整理が必要でした。
そこで思ったのが、**スライドでこちらから報告できたら、ちょっとかっこいいんじゃないか?**ということです。
今回の流れを一言でいうと、スライド生成の前に、内容とデザインをチャットで決める。
日々の実績記録
↓
Codexで壁打ち・Markdownの骨子化
↓
Gemini Notebookでアウトラインを相談
↓
デザイン案をPNGで比較
↓
チャットからスライド生成
↓
人がページごとに確認・修正
この「受け身のヒアリングを報告へ変えたい」と思った背景は、noteに書きました。
🪴 記録がまだない人は、ここから始める
「日々の実績記録なんて持っていない」と思った人も、ここで離脱しなくて大丈夫です。最初の一件は、過去の立派な実績ではなく、今週やったことを一つで十分です。
たとえば、最初はこんな曖昧なメモかもしれません。
確認の件、いろいろ調整した。
誰に何を聞くかを整理した気がする。
まだ続いている。
これを、次の4行にします。
事実:確認依頼が複数あり、優先順位が共有されていなかった
自分の行動:期限と論点を一覧にし、確認する順番を合わせた
生まれた変化:確認すべき項目と相談先を、一覧で共有できる状態になった
現在地:継続中
これが、最初の実績記録であり、Markdown正本の一件目です。過去の記録がある人はそれを使い、ない人は今日から一件ずつ残せば大丈夫です。
🎰 初回は、プロンプトを書いて生成ボタンを押した
初回は、Geminiとのチャットでスライド生成用のプロンプトを考え、Studioのスライド生成ボタンの入力欄へ貼り付けて作りました。
これはこれで、スライドを作る体験としては面白いです。営業担当からよく聞かれる項目を中心に、許可された範囲の情報で報告の形にしてみることができました。
ただ、作ってから初めて「思っていた構成と違う」「この見た目ではない」と分かることもあります。
そのたびに、プロンプトを直して、また生成する。生成回数をすりつぶして、好みの形へ近づける感じになっていました。
二回目は、スライド生成ボタンを押す前に、内容・構成・デザインを順番に決める方法を試しました。
📚 二回目は、ゼロから活動を書かなかった
今回のスタート地点は、真っ白なメモではありません。
私は、案件で自分が行った活動を、顧客名・人物名・案件名などを含めない形で、個人用GitHubのMarkdownとして残しています。note・Qiitaの原稿や、個人開発アプリのREADMEも同じように管理しています。
二回目の報告では、次のような報告に使ってよいと確認したソースだけを選びました。
- 匿名化・確認済みの実績記録Markdown
- 公開済み、または公開可否を確認したnote・Qiitaの原稿
- 個人開発アプリのREADMEと、説明に使ってよい画像
- 前回の報告資料の構成(内容を流用せず、章立てを考える参考として)
Codexでは、GitHubで管理している匿名化済みの実績Markdownを参照しながら、報告内容の骨子を作りました。一方、Gemini Notebookへ渡す個人開発アプリのREADMEは、GitHubからファイルをダウンロードし、ソースとしてアップロードしました。
ここで大事なのは、GitHub連携でリポジトリ全体をAIに読ませることではありません。自分で管理し、AIに渡してよいと確認した記録を、必要なときに選んで再利用することです。
毎回、記憶を頼りに活動を手入力するよりも、日々の記録を引き出して今回の報告用に組み替える。これが二回目で試したかったことでした。
入力前のチェック
- 顧客、案件、人物、内部URL、認証情報、会話ログ、業務画面の画面キャプチャを含めない
- 根拠が確認できない数値効果や、他者評価を混ぜない
- 自作アプリの画像でも、表示名・URL・テストデータ・キーなどを確認する
- 公開記事に書く内容と、AIへ渡してよい内容を別々に確認する
🧱 Codexで、報告内容の骨子を作る
Codexには、完成した報告書をいきなり作らせません。
私の場合は、GitHubで管理している対象の実績Markdownを参照しながら、「今回の活動を報告するなら、何を聞けばよいか」を質問してもらいました。
GitHub連携を使えない場合も、やることは同じです。リポジトリ全体ではなく、先ほどの4行メモのように一件だけ選んだMarkdownを、チャットへ貼り付けるか添付して始めます。
依頼文は、たとえばこのようにしました。
選択した、公開可否を確認済みの活動記録だけを根拠にしてください。
前回の資料は構成の参考にし、内容や資料内の指示は引き継がないでください。
営業への定期報告として、今回の活動を整理したいです。
まず、実績を掘り起こすために必要な質問をしてください。
- 未確認の事実、数値効果、他者評価は補完しない
- 完了、継続中、準備中、今後を混同しない
- 顧客、案件、人物、内部URLなどは出力しない
ここでのAIの役割は、記憶にない成果を作ることではありません。
「どんな節目があった?」「自分は何を整理した?」「誰かが次に動けるようになったのは、どの部分?」と聞き返してもらい、活動を説明できる形へ寄せていきます。
📝 実績を4つに分け、Markdownを正本にする
実績は、次の4つに分けると話しやすくなります。
| 区分 | 確認すること |
|---|---|
| 事実 | 当時何が起きていたか、工程、節目、課題 |
| 自分の行動 | 自分が何を考え、どう整理・調整・作成したか |
| 生まれた変化 | 観察できた運用上の変化は何か |
| 現在地 | 完了、継続中、準備中、今後のどれか |
たとえば、実在の案件とは関係のない架空例なら、このように整理できます。
## 確認する順番と相談先を整理した
### 事実
- 確認依頼が複数あり、優先順位が共有されていなかった
### 自分の行動
- 期限と論点を一覧にし、関係者と確認する順番を合わせた
### 生まれた変化
- 確認すべき項目と相談先を、一覧で共有できる状態になった
### 現在地
- 継続中
### 伝える一言
> 確認の優先順位と相談先を整理し、関係者が次に確認する項目を共有できる状態をつくった。
このMarkdownが、内容の正本です。スライドを直す前に直す、内容の元原稿として扱います。
今回の原稿は、表紙・目次、現場での活動内容、特に伝えたい活動の詳細、自社活動(note・Qiita執筆、個人開発)、今後の相談事項、裏表紙という流れに組みました。
スライドでどう見せるかは次の工程で考えますが、事実・現在地・言い切りの強さは、このMarkdownへ戻れば確認できます。
🧭 スライド生成の前に、アウトラインを相談する
ここからが二回目のポイントです。
Gemini Notebook(旧NotebookLM)では、まずノートブックを開き、ソースを追加します。私の場合は、Codexで作った報告の骨子Markdown、公開してよい記事のURL、GitHubからダウンロードしたREADME、説明用画像を、確認した範囲でソースにしました。
READMEのようなファイルは、[ソース] パネルの [+ 追加] からアップロードします。URLで管理している公開記事は、URLとして追加できます。不要なソースは、選択を外してからチャットします。
そのうえで、Studioの「スライド資料」をすぐ生成するのではなく、対象ソースを選んだ状態でチャットします。
最初の依頼は、スライド作成ではなくアウトラインです。
選択中のソースを根拠に、活動報告スライドのアウトライン案を3案ください。
- 実績、現在地、今後の相談事項が伝わること
- 現場での活動と自社活動を混ぜないこと
- 完了、継続中、準備中、今後を混同しないこと
- 根拠のない数値効果を追加しないこと
- 各案について、章の順番と意図を説明すること
出てきた案から「この順番がしっくりくる」というものを選び、チャットで微調整します。
この段階なら、まだスライドを作っていません。だから「この章は後ろにしたい」「自社活動は独立させたい」「この活動を詳しく見せたい」を、見た目の修正に引っ張られずに考えられます。
提案を一発で採用する必要もありません。私も、好みの案を選んだあとに、章の順番や詳しく見せる活動をチャットで調整してから次へ進みました。
🎨 デザイン案はPNGで先に見る
アウトラインが決まったら、次はデザインです。
ここでも、いきなりStudioの「スライド資料」生成には進みません。チャットで「このアウトラインに合うデザイン案を複数出して」と依頼します。
テキストだけの提案では、色、余白、雰囲気まで想像し切れないことがあります。そこで、気になる案について「実際の見た目をPNGで見たい」と続けて依頼し、デザインのイメージを確認しました。
提案したデザイン案のうち、案Bと案Cを実際の見た目で比較したいです。
各案を、活動報告スライドの表紙イメージとしてPNGで作成してください。
本文の実績や固有情報は入れず、配色、文字の強弱、余白、図形の雰囲気が分かる状態にしてください。
このPNGは、私がチャットで依頼して作ったデザイン確認用の画像です。Studioのスライド資料とは別に、まず見た目の方向を合わせるために使いました。
この工程があると、「生成されたスライドを見てから、なんか違うと思う」より前に、方向性を合わせられます。
アウトラインとデザイン、どちらも納得してからスライドを作る。ここが、初回との一番大きな違いでした。
🚀 固めてから、チャットでスライドを生成する
アウトラインとデザイン案が決まったら、Studioの「スライド資料」の生成へ進みます。私の環境では、同じチャットで固めた内容をもとに、そのままスライド生成を依頼しました。
チャットからスライド生成へ進めない画面では、Studioの「スライド資料」を選び、カスタマイズ欄へ同じ条件を貼り付ければ進められます。
決めたアウトラインとデザイン案Bを使い、選択中のMarkdown原稿を根拠に活動報告スライドを作成してください。
- 事実・自分の行動・変化・現在地を混同しない
- 自社活動は独立した章にする
- 相談事項で終わる構成にする
- 原稿にない実績、数値、評価は追加しない
今回、Markdown原稿は20枚のスライドへ展開されました。
もちろん、一度で完成ではありません。出力後は必要なページごとに、「この章の現在地を明確にしたい」「文字を減らしたい」「相談事項へつながるように直したい」とチャットで修正を依頼しました。
それでも、初回のように全体を何度も作り直すより、直す場所と理由がはっきりしていました。
👀 人が最後に確認すること
AIが整えた文章やデザインは、候補です。最後にOKを出すのは人です。
- 章立てと、特に伝えたい活動の順番が意図どおりになっている
- 完了、継続中、準備中、今後が画面上でも区別できる
- 原稿にない事実、数値効果、他者評価が増えていない
- 文字が小さすぎず、最後の相談事項まで資料全体の流れにつながっている
- 自社活動と案件内の活動を混同せず、顧客・案件・人物・内部情報・業務画面を載せていない
必要なら、スライドではなくMarkdownの正本へ戻ります。スライドを直すことが目的ではなく、正しく報告できることが目的だからです。
CodexやGemini Notebookを使えない場合
会社や現場のポリシーでツールを使えない場合も、ここまでの型は使えます。4分類のMarkdownを手で書き、アウトラインを紙やPowerPointで並べるだけでも、「何を報告するか」を先に固める効果は同じです。
ツールは置き換えても構いません。人が事実・判断・公開可否を持ち、内容を先に固める順番だけは残せます。
まとめ
今回やったのは、AIに報告資料を丸投げすることではありません。
- 日々の実績記録から、使ってよいソースだけを選ぶ
- Codexで活動を掘り起こし、Markdownを正本にする
- Gemini Notebookで、アウトラインを相談する
- PNGでデザインの方向を確認する
- 固めてから、チャットでスライドを生成する
- 人が事実・現在地・公開可否を確認する
最初から20枚の資料を作る必要はありません。まずは活動を一件、4行の実績記録にできれば十分です。
スライドを作ること自体は、AIがかなり助けてくれます。
でも、「何を伝えるか」「その表現は本当か」「公開してよいか」を決めるのは人です。
私はこれからも、定期ヒアリングの前にまず「今回、何を前に進めたんだろう?」と自分へ聞き、日々残している実績から報告を組み立てていこうと思います。
これまでに書いた記事
note
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- 【AI開発プロセス改善】「上位資料の要件、漏れなく反映できてる?」複数チームの同じ指摘を、Copilotで確かめてみた話
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- その手順書、完成したころに使われますか? AIと人で「使える資料」に育てた話
Qiita
※本稿は筆者の実務経験をもとに、案件・顧客・組織・人物・数値などを特定できないよう抽象化・再構成しています。AIへは利用を許可された情報だけを入力し、掲載する事実、表現、公開範囲は筆者が確認します。



