はじめまして、JJです。
QAエンジニアを約10年経験し、QAチームのPMを経て、いまはPMOをしています。
私はかなりの面倒くさがりです。AIに任せられる作業は任せて、人が考える、話す、決める仕事に時間を使いたい。でも、楽をした結果、品質が落ちるのは嫌です。
そのための仕組みなら、自分で泥臭く手を動かすのは好きだったりします。少し矛盾していますが、たぶんこれが私の仕事の仕方です。
今回は、会議の議事録をAIに作ってもらいながら、それでも手元メモをやめない理由を書きます。
「そんな決定にいつなったの?」
あるレビュー会議の議事録を、AIに作らせたときのことです。
会議では、ある箇所について修正案が出ていました。ただし、修正すること自体に合意したわけではなく、担当者も決まっていませんでした。
ところが、AIの議事録にはこう書かれていました。
| AIの出力 | 実際に会議で起きていたこと |
|---|---|
| 「Aを修正することで決定」 | Aの修正案が出ただけ。実施への合意も担当決めもしていなかった |
その議事録を見た人から、こう言われました。
そんな決定に、いつなったの?
正直、がっかりしました。
議事録を残して、あとから同じ話を繰り返さないようにしたかったのに、「本当に決まったのか」を確認する仕事を増やしてしまったからです。
もちろん、目に見える誤りは修正しました。ただ、そのときは私の手元メモも弱く、AIがどの前後の文脈から「決定」と判断したのかを十分に検証できませんでした。その場しのぎの修正に近く、少し心許なかったです。
AIの文章は、間違っていても自然に読めます。質問や提案を前後の流れから補い、最初から決まっていたことのように書くこともある。その自然さが、かえって怖いと感じました。
だから私は、AIを使うのをやめるのではなく、AIが間違える前提で使い方を変えました。
AIより先に、議事録を残す「普通」を作った
そもそも、いまのプロジェクトで議事録を残し始めたのは、PMから頼まれたからではありません。
このプロジェクトへ参画した当初、会議が終わっても、議事録が必ず残るわけではありませんでした。運がよければ、誰かの議事メモがあるかもしれない。それくらいです。
他のプロジェクトでの「普通」が、ここでは「普通」ではない。
良い悪いではなく、プロジェクトごとに文化は違います。でも、このまま認識合わせの仕組みを作らなければ、あとで大変になると思いました。
別のプロジェクトでは、決定者・時期・経緯が残っておらず、詳しそうな人を訪ねては別の人へ案内されることがありました。ようやく関係者が集まっても、「あのとき、どういう話でしたっけ」と記憶を掘り起こすところから始まる。
本来進めたい話ではなく、思い出すために会議の時間を使う。その間、肝心の仕事は進みません。
あの時間を、私は本当にもったいないと感じていました。
だから、誰かに言われる前に自分で議事録を作り始めました。
以前、顧客から議事録作成を業務として頼まれた経験も背中を押しました。会話を聞きながら、「なぜこの仕様が必要なのか」「この人は何を心配しているのか」「誰が何に詳しいのか」を追う。議事録を作ることで、仕様だけでなく、担当者の思いや人柄も少しずつ見えてきます。
私にとって議事録は、会議の記録であると同時に、プロジェクトを理解し、人と仕事を進めるための入口でもあります。
使える道具を組み合わせて、会議後の作業を減らした
最初の会議環境はZoomでした。AI要約を使えれば楽になるかもしれないと思いましたが、当時の私に付与されていた環境では、そのまま使える状態ではありませんでした。
途中でTeamsへ移っても、私の環境では、それだけで議事録作成が解決したわけではありません。
そのため、しばらくは会議中にメモを取り、会議後に文章を整え、決定事項と宿題を抜き出していました。会議とは別に、30分から1時間ほどかかることもあります。
議事録は残したい。品質も落としたくない。でも、文章の整形や要約まで、毎回すべて自分でやる必要はないはずです。
その後、職場で利用を許可されたMicrosoft 365の環境が整いました。そこでCopilotに、利用を許可された会議ログと必要な資料、それに会議に合わせた指示を渡し、議事録の下書きを作らせるようになりました。
会議中にメモし、会議後は約20分で仕上げる
会議の種類や内容で前後しますが、いまは生成、整形、修正、会議チャットでの周知までを含め、平均で約20分です。論点が少ない会議なら、約5分で終わることもあります。
ただし、これはAIへ丸投げした時間ではありません。会議中のメモと、最後の人間レビューは残しています。
会議中は、何が重要かを瞬時に判断できないときほど、発言をできるだけそのままメモします。
話が一区切りしたら、自分の言葉で短いタイトルを付けます。「何の話だったか」をあとから思い出しやすくなり、同時に自分の理解も整理できるからです。
画面キャプチャを手元の理解の補助に使うこともあります。文字だけでは思い出せない場面を、視覚から呼び戻すためです。ただし、画面キャプチャは公開せず、AIへも渡しません。
会議後は、次の流れで仕上げています。
- 会議の種類に合う指示と、利用を許可された会話ログ・必要な資料をCopilotへ渡し、下書きを作る。
- 下書きを会議メモ用のノートへ移し、読みやすい体裁に整える。
- 手元メモと照らし合わせ、特に決定事項・宿題・担当者・期限を確認して修正する。
- 怪しい箇所は、AIへ根拠と前後の文脈を聞き返す。
- 最終確認後、会議チャットで関係者へ周知する。
レビュー会議なら、利用が許可された範囲でレビュー対象も一緒に渡します。指摘箇所と対象の対応が分かりやすくなるためです。手元メモに自信があるときは、利用を許可された内容だけを入力へ加えます。
ここで大事なのは、手元メモをAIの採点表にしないことです。
メモを取ることで、私自身が会議を理解する。AIの下書きと照合し、最後に責任を持って確認する。そのための文脈として残しています。
決定事項は、AIに決めさせない
同じ議事録でも、会議の目的が違えば、欲しい完成形も違います。私はプロンプトを会議ごとに使い分けています。
| 会議の種類 | AIに作ってほしい形 |
|---|---|
| 成果物レビュー | 指摘一覧。レビュー記録表に転記しやすい形 |
| 進捗会議 | 宿題事項と決定事項が見分けやすい要約 |
| タスク棚卸し | タスク一覧の進捗欄へコピーできる、発言の短い要約 |
決定事項については、少なくとも次の四つを明示します。
- 明示的な合意がないものは、決定事項にしない。
- 質問、提案、指摘は、決定事項と分けて書く。
- 決定事項にした場合は、根拠になる発言を確認できるようにする。
- 判断できないものは、推測で補わず「未確定」と書く。
たとえば「Aを直す案が出た」だけなら、私は次のように残したいです。
Aの修正案が出た。実施の合意と担当者は未確定。
自然な文章より、決まったことと決まっていないことが分かる文章を優先します。
それでも出力が怪しいと感じたら、そのままチャットで聞き返します。
なぜ、これを決定事項にしたのですか?
根拠になった発言と、その前後の文脈を示してください。
きれいな出力をそのまま信じず、「なぜそう判断したのか」まで確認します。
議事録が、次の仕事を前へ進めてくれる
議事録を作っておいてよかったと思う場面は、派手ではありません。でも、よくあります。
「この話は、何日の定例で出たんだっけ」
「途中で方針が変わったのは、どのタイミングだっけ」
「この件は、誰に聞けば分かるんだっけ」
そんなとき、時系列で議事録をたどれば、決定までの経緯と、次に確認すべき相手が見えてきます。
しばらく止まっていた話題を再開するときも、過去の議事録を添えて「○日の打ち合わせで、この話が出ていました」と伝えられます。記憶だけで押すより、根拠を示して話を前へ進めやすくなります。
だから、AIで議事録を作れるようになっても、私が残したいのは単なる会議の要約ではありません。
誰が、いつ、どんな経緯で決めたのか。誰が、いつまでに、何をするのか。次の人が迷わず動ける記録です。
面倒はAIに。人は価値ある仕事へ
私は、AIに最初から100点を求めていません。
文章の整形や要約を任せ、まず60点のたたき台を出してもらう。そこから先は、人が会議の文脈を足し、誤りを直し、責任を持って完成させればいいと思っています。
AIで生まれた余白は、人と話す、判断する、次に誰が動くかを決める。そういう仕事へ使いたいです。
次の会議で一つだけ試すなら、AIが出した「決定事項」に、上の二つの質問を一度ぶつけてみてください。
私は、この一往復と手元メモを残しています。
面倒はAIに。人は価値ある仕事へ。
いまのところ、これが私のAI議事録との付き合い方です。
※ この記事は、筆者が利用を許可された環境と情報だけで試している個人の経験です。Zoom、Teams、Microsoft 365、Copilotの一般的な仕様や利用条件を説明するものではありません。会話ログ、画面キャプチャ、添付資料は掲載していません。