——太陽光と風力発電(オフサイトPPA)の組み合わせを、プロンプト1つで計算する
概要
産業用PV+蓄電池シミュレーター(pv-sim-biz)は、MCPサーバーとして公開している。
AIエージェントに条件を渡すと、データセンターの需要に対して、
太陽光と風力発電(オフサイトPPA)でどこまでまかなえるかを計算して返す。
返ってくるのは主に次の2つである。
- 24/7の指標: 年間の量で見た達成率と、30分ごとに見た一致率
- 年間の損得: 導入しない場合と導入した場合の、年間の支払の比較
画面を開く必要はなく、下のプロンプトを貼るだけで試せる。
使い方
1. MCPサーバーを登録する(1回だけ)
Codex の場合:
codex mcp add pv-sim-biz --url https://hachinai-pv-sim-biz.hf.space/gradio_api/mcp/
Claude Code の場合:
claude mcp add --scope user --transport http pv-sim-biz https://hachinai-pv-sim-biz.hf.space/gradio_api/mcp/
2. プロンプトを貼る
pv-sim-biz の MCP ツールで、データセンターの24/7(時間単位の再エネ一致)を評価してください。
条件(秋田のデータセンター、蓄電池なし):
- station_no: "32402"
- workload: "housing"、capacity_mode: "it_capacity"、it_capacity_kw: 1000
- faces: [{"ppeak_kw": 3000, "tilt_deg": 30, "azimuth_deg": 180}](太陽光3,000kW、真南)
- wind: {"coverage_pct": 80}(風力発電(オフサイトPPA)。年間の発電量が需要の80%になる容量)
- ほかは既定値
手順:
1. validate_dc_params で検証する。errors がなければ、確認を待たずに、同じ条件で simulate_dc を1回だけ実行する(条件は確認済みです)
2. 結果から次だけを報告する(計算し直さず、返ってきた値をそのまま使う)
a. wind.matching_24_7.reference_without_battery の3つ(太陽光のみ/風力のみ/併用)を、量ベース達成率と時間一致率の表にする
b. wind.monthly から、時間一致率が最も高い月と最も低い月
c. electricity_cost.annual_balance の A、B、年間経済メリットと、その内訳(太陽光・蓄電池/風力)
3. 最後に、量ベース達成率と時間一致率の差が何を意味するかを2文で説明する
ほかのツールは呼ばず、ファイルも作らないでください。
筆者の環境では既に接続済みなので、初接続だと別の回答が返ってくる。
条件は、IT容量1,000kW(PUE 1.40、年間 約981万kWh)のデータセンターに、
太陽光3,000kWと、需要の80%分を発電する風力発電(オフサイトPPA)を組み合わせたものである。
結果
40秒ほどで返ってくる。ツールの呼び出しは検証と計算の2回で、合わせて数秒である。
| 蓄電池なし | 量ベース達成率 | 時間一致率 |
|---|---|---|
| 太陽光のみ | 28.0% | 23.4% |
| 風力発電(オフサイトPPA)のみ | 75.8% | 56.4% |
| 併用 | 100.0% | 69.6% |
-
年間の量では100%まかなえるが、30分ごとに見ると69.6%しか一致しない。
差の30.4ポイント分は、発電と需要の時間がずれるため、小売から買う必要がある - 月別の時間一致率は、最も高い2月が92.5%、最も低い7月が53.1%。
風力は冬に強く夏に弱い - 年間の支払は、導入しない場合の257,240,844円から、導入した場合は245,081,697円になる。
年間経済メリットは12,159,147円 - 内訳は、太陽光が+62,747,096円、風力発電(オフサイトPPA)が−50,587,949円。
全体では得になるが、風力の分だけを見ると支払が増えている
計算は決まった手順で行うので、同じ条件なら誰が実行しても同じ数字が返る。
2つの指標
| 指標 | 定義 |
|---|---|
| 量ベース達成率 | 年間の発電量 ÷ 年間の需要量(上限100%) |
| 時間一致率 | 30分ごとに、需要を発電でまかなえた割合(1 − 小売からの購入量 ÷ 需要量) |
再エネの調達は年間の量で数えることが多いが、冬に余った電気を夏に使うことはできない。
時間一致率は、その時間に実際にまかなえた分だけを数える。
条件を変えて試す
プロンプトの条件の行を書き換えると、別の条件で計算できる。
| 変えたいこと | 書き換える内容 |
|---|---|
| 風力の量 |
wind: {"coverage_pct": 50}、または容量で wind: {"capacity_kw": 2000}
|
| 太陽光の量 |
faces の ppeak_kw
|
| 風力のみにする |
pv_enabled: false、faces: []
|
| 地点 |
station_no(風力が使えるのは北海道・東北の8地点。list_wind_areas で確認できる) |
| 支払の対象 |
wind: {"coverage_pct": 80, "payment_basis": "used"}(使用電力量の分だけ払う契約) |
| データセンターの規模 |
it_capacity_kw、または capacity_mode: "size_preset" と size_preset
|
| 蓄電池を足す |
battery_enabled: true、battery_mode: "lp_optimized"、battery_capacity_kwh、battery_max_charge_kw、battery_max_discharge_kw(最適化の計算に15秒以上かかる) |
| 受電の上限 |
grid_cap: "hv_under_2000kw" など |
MCPでできること
エンドポイント:
https://hachinai-pv-sim-biz.hf.space/gradio_api/mcp/
公開しているツールは9つある。
| ツール | 内容 |
|---|---|
list_stations |
気象データのある観測地点の一覧(全国50地点) |
estimate_pv_generation |
太陽光の発電量だけの試算 |
validate_industrial_params |
産業用(役所・学校・病院など)の条件の検証 |
simulate_industrial_pv |
産業用の需給・料金・経済性の計算 |
estimate_dc_demand |
データセンターの需要だけの試算 |
validate_dc_params |
データセンターの条件の検証 |
simulate_dc |
データセンターの需給・料金・経済性の計算 |
list_wind_areas |
風力発電(オフサイトPPA)を使える地域・地点・既定値 |
estimate_wind_generation |
風力の発電量だけの試算 |
simulate_dc が返す主な内容:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
assumptions |
計算に使った条件(既定値で補った値を含む) |
datacenter |
IT負荷、PUE、年間の電力量、ピーク |
annual |
発電量、需要量、自家消費量、小売からの購入量、売電量、CO2削減量 |
electricity_cost |
契約電力、導入前後の電気料金、年間経済メリット、annual_balance(年間の損得) |
wind |
発電量、使用電力量、余剰電力量、費用の内訳、matching_24_7(24/7の指標)、月別の値 |
investment |
初期投資、補助金、単純投資回収年数 |
grid_cap |
受電の上限を指定したときの判定 |
caveats |
計算の前提と注意 |
検証してから計算する
計算のツール(simulate_*)には、対になる検証のツール(validate_*)がある。
検証は、単位や型をそろえた条件、警告、エラーを返す。
AIエージェントは通常、検証の結果を利用者に見せて確認を取ってから計算に進む。
上のプロンプトでは、1回の返答で終わらせるために「条件は確認済み」と書いて、確認を省いている。
MCPでは返らないもの
- グラフ(日別・月別の画像)。画面でのみ見られる
- 蓄電池の最適な容量の探索。画面でのみ使える
計算の前提
- データセンターの需要は、IT容量・負荷率・PUEから作った想定値で、実測ではない
- 太陽光は平年値、風力は2025年の東北エリアの実績で、別の年のデータである。
同じ日に凪と曇りが重なるような日単位の同時性は反映されない - 風力発電(オフサイトPPA)の単価の一部(発電バランシング、小売グロスマージン)は暫定値、
PPA発電単価は入札価格の代理値 - 電気料金の既定は、東京電力エナジーパートナーの高圧の単価
- 風力発電(オフサイトPPA)の対象は北海道・東北
風力発電(オフサイトPPA)の費用の構成は、別の記事にまとめた。
(ここに風力の記事のURL)
まとめ
- pv-sim-biz の MCP サーバーに条件を渡すと、データセンターの24/7を計算できる
- 秋田のデータセンター(IT 1,000kW)に太陽光3,000kWと風力発電(オフサイトPPA)を組み合わせた例では、
年間の量では100%、30分ごとに見ると69.6%だった - 年間の損得と、太陽光・風力それぞれの内訳も同時に返る
- 登録のコマンドとプロンプトを貼れば、同じ結果を確かめられる

