はじめに(TL;DR)
「あのやり取り、確かSlackにあったはず……」を、Claude DesktopやCursorから直接引けるようにする手順です。
- Slackの会話をローカル(自分のPC)にバックアップし、
- そのアーカイブをMCPサーバーとして立て、
- Claude / CursorなどMCP対応クライアントから読み取り専用で検索・参照できるようにします。
クラウドにアップロードせず、Slackの管理者権限もトークン発行も不要です。使うのは Empowia for Slack というWindowsアプリです。
※本記事で紹介するEmpowiaは筆者が開発しているツールです。手順自体はMCP対応クライアント全般に当てはまります。
こんな課題に
- Slackの無料プランは90日より古いメッセージが見えなくなる。
- 有料でも、履歴は結局「他社のサーバー」にある。
- 退職・異動でワークスペースを離れると、DMごと参照できなくなる。
- そもそも、普段使っているAIツール(Claude / Cursor)から過去のSlackを直接引きたい。
MCPとは(ざっくり)
MCP(Model Context Protocol)は、AIアプリが外部データやツールに接続するための共通規格です。データ側が小さな「MCPサーバー」を立てると、対応するAIクライアント(=MCPクライアント)がそこに接続して利用できます。壁のコンセントとプラグの関係に近く、同じ規格なのでClaude / Cursor / Codexなどをそのまま接続できます。
全体の流れ
- EmpowiaでSlackをローカルにバックアップ
- EmpowiaのMCPサーバーを有効化
- Claude Desktop / CursorにMCPサーバーを登録
- AIから質問して過去ログを引く
手順
1. Slackをローカルにバックアップ
ダウンロードページからEmpowiaを入手して起動します。ログイン済みのSlackセッションをそのまま使ってバックアップするので、管理者の承認もOAuthアプリもトークン発行も不要です。Slackのサインイン情報はWindowsのDPAPIで暗号化して端末内に保存されます。
まず対象のワークスペース/会話をバックアップしておきます。MCPサーバーはこのローカルアーカイブを配信するので、先にアーカイブが必要です。
2. MCPサーバーを有効化
アプリの Settings → MCP を開き、MCPサーバーをオンにします。これで、バックアップ済みアーカイブに答えられる小さなローカルサービスがPC上で動きます(アーカイブはどこにもアップロードされません)。
同じ画面に、クライアントへ貼り付ける接続用の設定ブロックがコピーボタン付きで表示されます。この設定は環境ごとにアプリが自動生成するので、手打ちせずここからコピーしてください。
イメージとしては次の形のmcpServersエントリです(実際のcommandのパスはインストール形態に応じてアプリが埋めます)。
{
"mcpServers": {
"slacksync": {
"command": "(Settings → MCP に表示される実行ファイルのパス)",
"args": ["--mcp"]
}
}
}
3. Claude Desktop / Cursorに登録
利用したいクライアントの設定でMCPサーバーを追加し、手順2でコピーしたブロックを貼り付けます。
-
Claude Desktop: 設定ファイル(
claude_desktop_config.json)のmcpServersにマージ - Cursor: 設定のMCP項目に追加
保存してクライアントを再起動すると、Empowiaのツールが認識されます。
4. AIから使ってみる
あとはいつも通りAIに話しかけるだけです。質問が過去のSlackに関わるとき、クライアントがMCP経由で該当箇所を読みに行きます。
「エクスポートAPIのレート制限、去年どう実装したっけ? 注意点はあった?」
のように聞くと、関連スレッドを引いて文脈込みで答えてくれます。
できること(読み取り専用の10ツール)
Empowiaが公開するのは読み取り専用のツールだけです。
-
search_messages— メッセージ全文検索 -
list_workspaces/list_channels/list_files— ワークスペース/チャンネル/ファイル一覧 -
get_message— 単一メッセージの取得 -
collect_thread— スレッドまるごと取得 -
collect_recent_messages/collect_messages_about— 最近の/トピック関連のメッセージ収集 -
list_todos/list_decisions— 抽出済みのTODO・決定事項の一覧
書き込み系はありません(Slackへ投稿したり変更したりはしません)。
ローカルであることの意味
- アーカイブは自分のPCの中。Empowiaのクラウドもアカウントもテレメトリもありません。
- MCPサーバーもローカルで動くプロセスです。接続するクライアントは自分で選び、いつでも外せます。
- 外に出るのは、質問したときにAIクライアントが自分のプロバイダへ送る分だけ。Empowiaはそこに介在しません。
注意点
- 現在はWindows 10/11のみ(Mac/Linuxはサイトで「通知を受け取る」登録が可能)。
- 起動時にSmartScreenの警告が出ることがあります(現時点でコード署名なし。詳細 → 実行)。
- 無料版は全機能つきで会話20件まで。一度きりの購入で上限が外れます(サブスクではなく、アカウント不要)。
まとめ
Slackの履歴は「チームが実際にどう動いたか」の貴重な記録です。それを、普段使っているAIツールの中からローカル完結で引けるようにするのがMCP連携です。
- ツール: Empowia for Slack
- ダウンロード: https://empowia.com/ja/download
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