はじめに
画像から動画を生成するとき、「自然に動かしてほしい」だけでは、どこを動かし、何を維持したいのかが曖昧になりがちです。
たとえば商品写真なら、商品の形状や配置を保ちながら、湯気やカメラにだけ動きを加えたい場面があります。
この記事では、画像から動画を生成する際のプロンプトの組み立て方と、出力を比較するときの確認項目を紹介します。
筆者は、動画生成にSeedance、画像生成にSeedreamを利用するWebサービス Dola AI Video を運営しています。操作例には同サービスを使いますが、比較条件をそろえる考え方は、ほかの動画生成ツールでも応用できます。
1. 生成前に「動かすもの」と「維持するもの」を決める
今回は、窓際の木製テーブルに白いマグカップを置いた画像を、短い動画にするケースを考えます。
プロンプトを書く前に、次の4点を整理します。
| 項目 | 今回の指定 |
|---|---|
| 被写体 | 白いマグカップ |
| 動かすもの | カップから立ち上る湯気 |
| カメラ | 固定 |
| 維持したいもの | カップの形状、取っ手、位置 |
「被写体を動かす」と「カメラを動かす」を分けて考えると、指示を整理しやすくなります。
最初は湯気だけに動きを限定し、その後でカメラの動きを変える、といった順番で検討できます。
2. 比較するときは、生成条件をそろえる
プロンプトと同時にモデルや解像度まで変えると、出力の違いをどの変更によるものか判断しにくくなります。
比較用の条件は、たとえば次のように固定します。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| 入力画像 | 同じ画像を使用 |
| 動画モデル | 比較中は同じモデルを使用 |
| アスペクト比 | 16:9 |
| 解像度 | 720p |
| 動画の長さ | 5秒 |
| 音声 | オフ |
利用できる設定はモデルによって異なるため、画面上で選択できる組み合わせを確認してください。
入力画像を差し替えた場合は、その時点から別の比較として記録すると整理しやすくなります。
3. プロンプトを要素ごとに書く
先ほどの条件を、入力用の文章にすると次のようになります。
A white ceramic mug sits on a wooden table by a window.
The camera remains fixed.
A thin wisp of steam rises slowly from the mug.
Soft natural light comes from the left.
Keep the mug's shape, handle, and position consistent.
A single continuous shot with no text or scene transitions.
これは検証用の入力例です。用意した画像の内容に合わせて調整してください。
それぞれの文には、次の役割を持たせています。
- 被写体と背景を指定する
- カメラの動きを指定する
- 動かしたい要素を指定する
- 光の条件を指定する
- 維持したい形状や位置を指定する
- シーンの切り替え方を指定する
細かな指示をすべて一文に詰め込むより、要素を分けておくと、修正箇所を管理しやすくなります。
なお、形状や位置を維持する指示を書いても、その通りの出力になる保証はありません。生成後の確認も必要です。
4. Dola AI Videoでの操作手順
画像から動画を生成する基本的な流れは、次の通りです。
- サインインし、生成に必要なクレジットを用意する
- 作成対象で「Video」、入力方法で「Frames」を選ぶ
- 開始画像をアップロードする
- 動画モデル、アスペクト比、解像度、長さを設定する
- プロンプトを入力する
- 表示された消費クレジットを確認して生成する
- 出力を確認し、条件と気づいた点を記録する
Dola AI Videoでは、開始・終了フレームを使う方法や、参照素材を使う方法も用意しています。
今回のように入力画像1枚から始める場合は、まず開始画像と動きの指示に絞って検討すると、比較する項目を整理できます。
5. 一度に変更する条件を絞る
次に、カメラの動きだけを変えてみます。
先ほどのプロンプトにある次の一文を、
The camera remains fixed.
以下に置き換えます。
The camera slowly moves closer to the mug.
ほかの文章と生成設定は、そのままにします。
比較するときは、単に「きれいに見えるか」だけでなく、用途に合わせて確認項目を決めておきます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 形状 | カップや取っ手の形が途中で変わっていないか |
| 動き | 湯気の動きが途中で不自然に途切れないか |
| 構図 | カメラが近づいても、必要な部分が画面内に収まっているか |
| 連続性 | 意図しない場面転換が入っていないか |
| 用途への適合 | 商品紹介など、想定した用途に使える内容か |
予算に余裕があれば、同じ条件で複数回生成し、出力のばらつきも確認します。1回の出力だけでプロンプトの良し悪しを決めず、共通して起きる問題を探すためです。
6. 条件と結果をセットで記録する
プロンプトだけを保存しても、後からモデルや設定が分からなくなることがあります。
次のような形式で、生成条件と結果を一緒に残しておくと比較に使えます。
以下は記録用のJSONテンプレートです。creditsとusableは、実際の消費量と出力を確認してから入力します。
{
"model": "画面で選択したモデル名",
"input_image": "mug-v1.png",
"prompt_version": "v1",
"aspect_ratio": "16:9",
"resolution": "720p",
"duration_seconds": 5,
"credits": null,
"usable": null,
"notes": ""
}
notesには、次の修正につながる内容を書きます。
たとえば「取っ手の形状を確認する」「カメラの移動量を小さくする」など、問題が起きた箇所と変更候補を具体的に残します。
7. 試行回数も含めてコストを考える
動画生成では、採用する映像ができるまでの試行回数も予算に含めておきます。
同じ設定で1回あたりの消費量がCクレジット、試行回数がN回なら、必要なクレジットの目安は次の通りです。
試行予算 = C × N
また、実際の制作では次の値を記録すると、用途ごとの費用を把握しやすくなります。
採用動画1本あたりの消費クレジット
= 総消費クレジット ÷ 採用できた動画の本数
採用できた動画が0本の場合は、使えなかった理由を記録し、次の試行で変える条件を決めます。
Dola AI Videoはクレジット制で、無料クレジットの提供はありません。利用前に、料金ページと生成画面に表示される必要クレジットを確認してください。
