Ninda 9日目: イベント通知 〜リアクティブなタプルスペース〜

今日のゴール

• イベント駆動プログラミングの概念を理解する
• nindaのサブスクリプションシステムを使いこなす
• リアクティブなアプリケーションを構築する

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ポーリング vs イベント駆動

ポーリングの問題点

# ❌ ポーリング: 非効率
while true:
  let result = await ts.tryReadAsync(pattern)
  if result.isSome:
    break
  await sleepAsync(100)  # CPUを使い続ける

問題	影響
CPU時間の無駄	バッテリー消費、コスト増
遅延	ポーリング間隔分の反応遅れ
スケール困難	監視対象が増えると負荷も増加

イベント駆動の利点

# ✅ イベント駆動: 効率的
let sub = await ts.subscribeAsync(pattern, {evWrite})
while sub.isActive:
  let event = await sub.recvEvent()
  # 変更があったときだけここに来る

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イベントタイプ

nindaは3種類のイベントを提供します：

イベント	発生条件	ユースケース
evWrite	タプルが書き込まれた	新規データの監視
evTake	タプルが取り出された	消費の追跡
evExpire	タプルが期限切れ	TTLベースのクリーンアップ

基本的な使い方

# サブスクリプション作成
let sub = await ts.subscribeAsync(
  toPattern(strVal("order"), nilValue()),  # パターン
  {evWrite, evTake}                        # 監視するイベント
)

# イベント受信
let event = await sub.recvEvent()
echo event.eventType  # evWrite or evTake
echo event.data       # 対象のタプル

# 購読解除（必須！）
sub.unsubscribe()

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パターンでフィルタリング

パターンを使って、関心のあるタプルだけを監視できます。

# "order"タプルのみを購読
let orderSub = await ts.subscribeAsync(
  toPattern(strVal("order"), nilValue(), nilValue()),
  {evWrite}
)

# "log"タプルのみを購読
let logSub = await ts.subscribeAsync(
  toPattern(strVal("log"), nilValue()),
  {evWrite}
)

# "user"タプルは誰も受信しない

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ブロッキング vs 非ブロッキング

メソッド	動作	用途
recvEvent()	イベントが来るまで待機	専用の監視ループ
tryRecvEvent()	即座にNone or Someを返す	他処理と並行

# 非ブロッキング: イベントループ内で使用
while running:
  let event = sub.tryRecvEvent()
  if event.isSome:
    processEvent(event.get())
  # 他の処理も実行
  await doOtherWork()

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実践例: リアルタイム監視

# 監視プロセス
proc monitor() {.async.} =
  let sub = await ts.subscribeAsync(
    toPattern(strVal("metric"), nilValue(), nilValue()),
    {evWrite}
  )

  while sub.isActive:
    let event = await sub.recvEvent()
    let name = event.data[1].strVal
    let value = event.data[2].intVal

    # しきい値チェック
    if name == "cpu" and value > 80:
      echo "[ALERT] High CPU: ", value, "%"

ポイント:

• evWriteを監視してリアルタイム検知
• パターンでmetricタプルだけをフィルタ
• 即座にアラート発生

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ベストプラクティス

1. 必ずunsubscribeする

let sub = await ts.subscribeAsync(pattern, {evWrite})
try:
  # イベント処理
  while sub.isActive:
    let event = await sub.recvEvent()
    processEvent(event)
finally:
  sub.unsubscribe()  # リソースリーク防止

2. isActiveをチェック

while sub.isActive:  # unsubscribe後はfalseになる
  let event = await sub.recvEvent()

3. バッファサイズを適切に設定

# 高頻度イベント用
let highFreqSub = await ts.subscribeAsync(pattern, {evWrite}, bufferSize = 1000)

# 低頻度イベント用（メモリ節約）
let lowFreqSub = await ts.subscribeAsync(pattern, {evWrite}, bufferSize = 10)

💡 バッファが溢れると古いイベントが破棄されます。想定イベント頻度に合わせて設定しましょう。

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まとめ

学んだこと

トピック	ポイント
サブスクリプション	subscribeAsyncでイベントを購読
イベントタイプ	evWrite, evTake, evExpire
パターンフィルタ	関心のあるタプルだけを監視
リソース管理	必ずunsubscribe()を呼ぶ

いつ使うか

• リアルタイム監視: メトリクス、ログ
• 変更通知: データ更新の伝播
• イベントソーシング: 状態変更の追跡

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演習問題

問題9-1: チャットシステム

メッセージタプルの書き込みを監視して、リアルタイムにメッセージを表示するシステムを作成してください。

問題9-2: 在庫アラート

在庫数が10以下になったときにアラートを出すシステムを、イベント駆動で実装してください。

問題9-3: イベント集計

5秒間に発生したイベント数をカウントして、1秒ごとに表示するプログラムを書いてください。

💡 完全な実装例は GitHubリポジトリ を参照してください。

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前回: タイムアウト処理 | 目次 | 次回: 有効期限（TTL）