統計検定1級対策に、統計分野の院試問題を解いてみました。
間違っているかもしれないので、指摘してもらえると嬉しいです。
問題は、以下にあります。
https://www.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/Inshi/r03.pdf
(1)
$\sum_{i=1}X_i \sim Bin(n,p)$および、$X_i$はベルヌーイ分布に従うので、任意の$i$で$X^2_i=X_i$であることに注意すると、
$$
S_n^2 = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^n (X_i- \bar{X}_n)^2=\bar{X}_n-\bar{X}_n^2 = T_n
$$
である。$E[\bar{X}_n]=p, E[\bar{X}_n^2]=V[\bar{X}] + E[\bar{X}_n]^2=npq/n^2 + p^2 = pq/n + p^2$なので
$$
E[S_n^2] = E[T_n] = p - pq/n - p^2 = pq(1-1/n)
$$
である。
(2)
$(1 - \bar{X}_n -p)(\bar{X}_n - p) = \bar{X}_n - \bar{X}_n^2 -p\bar{X}_n -p + p\bar{X}_n +p^2=\bar{X}_n -\bar{X}_n^2 -pq = S_n^2 - pq$
より示せた。
(3)
$X_1, X_2, \cdots, X_n$はiidで$B(p)$に従い、パラメータ$p$のベルヌーイ分布の平均は$p$, 分散は$pq$なので中心極限定理から$\sqrt{n}(\bar{X}_n - p)\xrightarrow{d} N(0,pq)$である。
$S_n^2=T_n=\bar{X}_n(1-\bar{X}_n)$なので、
$g(p)=p(1-p)=pq$とすると、$g'(p)=1-2p$より、$p\not = \frac{1}{2}$でデルタ法から、
$$
\sqrt{n}(S_n^2 - pq)\xrightarrow{d} N(0,pq(1-2p)^2)
$$
である。
(3)
$g'(p)=1-2p$なので、$p=\frac{1}{2}$で$g'(p)=0$であるので、2階のデルタ法を用いる。
$g''(p)=-2$に注意して、$g(\bar{X}_n)$を$1/2$の周りで2次テイラー近似すると
$$
g(\bar{X}_n)≒g(1/2) - (\bar{X}_n - 1/2)^2
$$
すなわち、
$$
S_n^2 -1/4 = g(\bar{X}_n) - g(1/2) ≒ -(\bar{X}_n -1/2)^2
$$
であるので、両辺$-4n$倍すると
$$
-4n(S_n^2 -1/4) ≒ 4n(\bar{X}_n -1/2)^2 = \Big (\frac{\bar{X}_n -1/2}{1/2\sqrt{n}} \Big)^2
$$
である。ここで、$\sqrt{n}(\bar{X}_n - pq)\xrightarrow{d} N(0,pq)$とくに、$p=1/2$より、$(\bar{X}_n - 1/2)\xrightarrow{d} N(0,1/4n)$である。よって、連続写像定理から、$\Big (\frac{\bar{X}_n -1/2}{1/2\sqrt{n}} \Big)^2 \xrightarrow{d} \chi^2(1)$
以上から、$-4n(S_n^2 -1/4) \xrightarrow{d} \chi^2(1)$である。
感想
デルタ法の議論は、院試の場合はもう少し厳密性が必要かもしれませんが
統計検定では問題ないかどうかは不安です。