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WSLAdvent Calendar 2019

Day 15

WSL2でSystemdを使うハック

Last updated at Posted at 2019-12-31

(追記)
この記事はobsoleteです(使われなくなりました)。systemd を使用して WSL で Linux サービスを管理する | Microsoft Learnに従ってください。
(追記ここまで)

initについて

Linuxを含むUnix系OSの起動に使われるシステム。カーネルから最初に起動され、プロセスID 1が付与され、ほかのすべてのプロセスの先祖として動作し、さまざま初期処理を行うプログラム。

Linuxでは、SysVInit → Upstart → Systemd のように置き換えれらてきた。

WSLのinitについて

WSLはMSによるカスタムのinitを使っている。Windowsとの相互運用に必要な重要な処理を行っており、置き換えられない。一方で、Systemdのような高度なことは行わない。

Systemdもインストールはされるが、無効化されている。有効にしようとしても、PID 1で動作しないので、systemctl によるサービス管理がエラーになる。

systemd を PID 1 で動かす方法(基本方針編)

Ubuntuのコミュニティサイトに Using snapd in WSL2 という投稿があったので解説してみる。

unshare コマンドで簡易コンテナーを作る

最初に、以下のコマンドを実行する。

sudo daemonize /usr/bin/unshare --fork --pid --mount-proc /lib/systemd/systemd --system-unit=basic.target 

unshare コマンドは、実行コンテキストに名前空間を割り当てて、ほかのプロセスから分離する。
オプションは以下のものを指定している。

  • --fork : 指定したプログラム(/lib/systemd/systemd --system-unit=basic.target)をunshareの子プロセスとしてforkさせる
  • --pid : PID 名前空間を分離する
  • --mount-proc : マウント名前空間を分離し、/proc を再マウントする

systemd コマンドは、unshare によって、隔離された名前空間のPID 1として起動する。なお、マルチユーザーの基本サービスが定義された basic.target がターゲットとして指定されている。

そして、それら全体を現在のシェルから切り離してデーモン化するため、demonize コマンドを使用している。

この時点で systemd はPID 1として動き出すものの、あくまで隔離された簡易コンテナー環境の中だけの話である。簡易コンテナーの外でサービスを管理しようとすると、簡易コンテナーの中の systemd と通信できずに失敗する。

nsenter コマンドで簡易コンテナーの中に入る

というわけで、サービスを管理する場合は簡易コンテナーに入らないといけない。それには、以下のコマンドを実行する。

exec sudo nsenter --target $(pidof systemd) --all su - $LOGNAME

nsenter コマンドは、隔離された名前空間を持つ簡易コンテナ―に入ってプログラムを実行する。オプションは以下のものを指定している。

  • --target $(pidof systemd) : 簡易コンテナ―として隔離実行されている systemd の実際の PID をターゲットとして指定
  • --all : ターゲットプロセスのすべての名前空間をマウントしなおす。
  • su - $LOGNAME : 現在のログインユーザーとしてログインしなおす。

そして、現在のプロセスを置き換えるため、 exec コマンドを使用している。

ここまで成功すれば、systemctl でも snap でも動かせるようになっているはず。

systemd を PID 1 で動かす方法(派生編)

この方法で起動した systemdnsenter は、永続的ではないので、毎回実行しないといけない。

systemd は、Windowsを再起動して最初にWSL2を実行するときに実行しておく必要がある。

nsenter は、WSL2を実行するたびに毎回最初に実行しておく必要がある。

これらを毎回実行するのが面倒な人には、次の3つの方法を紹介する。

genie コマンド

genie コマンドは、 unsharensenter のラッパー的なコマンド。コマンド名は、瓶(コンテナー)に封じられた魔法の精1から。

インストール方法と使い方は上記githubのreadmeを参照のこと。

(追記) subsystemctl コマンド

@sora_hさん作のコマンドもあります。上記のgenieに影響を受けたとのこと。

/etc/bash.bashrc で自動実行させる

方法は下記のリンク先に書いてある通り。

一応、手順を簡単に解説しておく。

  • /usr/sbin/start-systemd-namespace/usr/sbin/enter-systemd-namespace という2つのスクリプトファイルを作成しておく
  • /usr/sbin/start-systemd-namespaceの中で実行する sudo /usr/sbin/enter-systemd-namespace コマンドにはパスワードが不要なように設定しておく
  • /etc/bash.bashrcsource /usr/sbin/start-systemd-namespace を実行するようにしておく
  • 環境変数 BASH_ENV/etc/bash.bashrc を設定しておく(Windows側に %WSLENV% を設定して引き継ぐ)

sudoコマンドの設定は sudo visudoコマンドを使って /etc/sudoers ファイルを編集するのが基本だが、今回の /usr/sbin/enter-systemd-namespace のための設定は /etc/sudoers.d/ ディレクトリに切り出しておくのもよい。その方法を紹介しているページはこちら

ログインシェルを置き換える

方法は下記のリンク先に書いてある通り。

一応、手順を簡単に解説しておく。

  • /usr/bin/bash スクリプトファイルを作成しておく
  • /etc/passwd ファイルを編集して、rootユーザーのログインシェルを /usr/bin/bash に設定する
  • ログインユーザーをrootにする
    • Linuxディストリビューションをストアアプリとしてインストールしている場合は [ディストリビューション名].exe --config --default-user root を実行する
    • そうでない場合は wsl.exe [ディストリビューション名] コマンドで起動する際にユーザーを指定しなければrootユーザーで起動するはず

一応紹介はしたものの、2番目の bash.bashrc で自動実行させる方法の方がおすすめ。

  1. 「アラジンと魔法のランプ」の方が有名だけど、あの話、原典の千夜一夜物語には収録されていないらしいよ。

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