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量子ビットの復習(状態式)

Last updated at Posted at 2020-05-12

はじめに

量子コンピュータの学習をしていて、量子ビットの状態式が何を表しているのか分からなくなるので、復習として自分の言葉で説明してみる。
まずは確率振幅だけを考える。

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対象読者

自分用。自分の中で整理したり、誰かに説明するときの手助けに。

量子ビットとは

量子ビットは、量子の性質を持つもの(電子とか)の最小単位(電子1個とか)を量子計算理論で扱いやすくするための表現。
量子の性質を持つのものは色々ある。たとえば電子、原子、光子。
でも量子コンピュータの計算理論を考える上では電子、原子を区別する必要はなく、量子の性質さえ扱えればいいので「量子ビット」という形で抽象化している。
さらに言えば量子の性質があれば十分なので本物の量子でなくてもよい。だから古典コンピュータで量子ビットをシミュレートしたりする。

もちろん量子コンピュータのハードを作るときには、本物の量子を扱う必要がある。

量子ビットの状態式

ある1量子ビットの量子状態を$|\psi\rangle$で表す。
$|\psi\rangle$を「測定」すると量子状態は壊れ、古典ビットの0または1が観測される(他の値にはならない)。
0と1のどちらになるかは、$|\psi\rangle$の内部状態により確率的に決まる。

$|\psi\rangle$には基本の状態が2つある。

|0\rangle … 測定すると確率1(100\%)で 0 が観測される状態 \\
|1\rangle … 測定すると確率1(100\%)で 1 が観測される状態

$|\psi\rangle$を測定すると0または1になることから、$|\psi\rangle$は$|0\rangle$と$|1\rangle$がある確率を持って「重なり合った」状態だと考えられる。

|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle

$\alpha$と$\beta$は、それぞれ$|0\rangle$の確率と$|1\rangle$の確率に対応する(が、確率そのものではない)。

また、$|\psi\rangle$を測定すると必ず0または1になることから、$|0\rangle$の確率と$|1\rangle$の確率の合計は1(100%)になっている。

|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle, |\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1

$|\alpha|^2$は$\alpha$の絶対値の2乗で、$|\psi\rangle$を測定したときに0が観測される確率を表す。
$|\alpha|^2$と$|\beta|^2$は確率なので、合計すると1になる(という制約がある)。

ちなみに$\alpha$は「確率振幅」と呼び、複素数である。
複素数の絶対値は実数なので、確率は実数になる。

さて$|\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1$という式は三角関数で表せそうだ。

\cos(\theta)^2 + \sin(\theta)^2 = 1

なので$|\psi\rangle$は上記を使って以下のように表せる。

|\psi\rangle = \cos(\theta)|0\rangle + \sin(\theta)|1\rangle, 0 \leq \theta \leq 2\pi

量子状態の表現にブロッホ球というものがある。ブロッホ球では量子の状態をx, y, zの3次元空間の中心が原点、半径が1の球面上の点で表す。$|0\rangle$はZ軸上の1の位置、$|1\rangle$はZ軸上の-1の位置になる。ということは$|0\rangle$と$|1\rangle$の間の角度は$\pi$なので、先ほどの式の$\theta$の範囲を0から$\pi$に変換するとブロッホ球と対応できてわかりやすそうだ。

|\psi\rangle = \cos(\frac{\theta}{2})|0\rangle + \sin(\frac{\theta}{2})|1\rangle, 0 \leq \theta \leq 2\pi \\
または \\
|\psi\rangle = \cos(\theta)|0\rangle + \sin(\theta)|1\rangle, 0 \leq \theta \leq \pi \\

下の式で$\theta$の表を作ってみる

$\theta$ $|\psi\rangle$ 測定結果
0 $1|0\rangle + 0|1\rangle = |0\rangle$ 確率1で0になる
$\frac{\pi}{2}$ $\frac{1}{\sqrt{2}}|0\rangle + \frac{1}{\sqrt{2}}|1\rangle$ 確率$\frac{1}{2}$で0、確率$\frac{1}{2}$で1になる
$\pi$ $0|0\rangle + 1|1\rangle = |1\rangle$ 確率1で1になる

1つの量子ビットでも、内部の状態によって測定したときに観測される結果は様々で、量子は重なり合った状態になれることがわかる。
なお、$|\psi\rangle$が$|0\rangle$、$|1\rangle$の場合は「重なり合っていない」状態と考える。

いずれにしても観測される値は0か1なので、他の情報なしに観測結果のみから測定前の量子状態を決定するのは不可能だ(他の情報があれば決定できたり、確率的に推定できたりする)。

まとめ

量子ビット$|\psi\rangle$は量子の状態を表す。
量子ビットを測定すると量子状態が壊れて古典ビットの0か1が観測され、他の値は観測されない。
$|\psi\rangle$は以下の式で表される。

|\psi\rangle = \alpha|0\rangle + \beta|1\rangle, |\alpha|^2 + |\beta|^2 = 1 \\
または \\
|\psi\rangle = \cos(\theta)|0\rangle + \sin(\theta)|1\rangle, 0 \leq \theta \leq \pi \\

$|\psi\rangle$を測定したとき、$|0\rangle$の係数の2乗の確率で0が観測される。
同様に$|1\rangle$の係数の2乗の確率で1が観測される。

感想

  • 状態ベクトルを書かなくてもなんとなく説明できそうだ。
  • 三角関数を使った式が微妙かな?$\sin$の前に$i$がつかなかったっけ? そのうち位相の復習をしたときに確認するか。
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