本日も、ネットに流れるトピックから個人的に興味を引かれたものを拾っていきます。
AI開発に関する政府、経済界の取り組みとしては、EUはまだ米中に抗おうとしているものの、日本はほぼ既に闘う前から敗戦状態というのは、どうにかならないものかと思っています。
この記事への感想等コメントで頂けるとありがたいです。
忙しい方向け要約
プログラミング系
- Go言語は2025年に成熟し、Fiber v3やEnt ORM、Temporal Go SDKなど開発効率を大きく高める主要6ライブラリが紹介されています。また、Goのロギングベストプラクティス、高性能化の秘訣(ランタイムやメモリアロケータ)なども解説。
- Azure DevOpsのサービス接続や拡張機能強化、Gitの「Worktree」機能、GitHub Actionsのパフォーマンス分析CLI「ghaperf」を紹介。
- gRPCクライアントサイドのロードバランシングやKubernetesのHeadless Service活用方法。
- OSS監視ツールの比較(Prometheus、Zabbix等)。環境ごとの選択ポイントや運用コスト、FAQも整理。
AI・クラウド
- 欧州主導の多言語LLM「EuroLLM」公開、GoogleのGeminiプラットフォームとAIエージェント戦略、OpenAIとAWS提携、GitHub Copilot管理機能追加、JetBrainsのAI開発支援新サービス「Matter」やBYOK機能発表。
- コード生成におけるLLMのプロンプト品質と脆弱性リスクの関係検証。
- AWSやAzureなどクラウド障害への姿勢・インフラ戦略についても言及。
その他技術
- Windows/Edgeのパスキ―対応強化、AppleのiOS 26.1・macOS 26.1新機能やKarabiner-Elements最新版を紹介。
プログラミング
Go言語
概要:
2025年のGoエコシステムは極めて成熟し、注目すべき6つのライブラリがソフトウェア開発を大きく変革しています。Fiber v3はExpress.js風の高速API開発を可能にし、HTTP/3や豊富なミドルウェアが特徴です。Ent ORMは型安全でスキーマ進化が容易なグラフベースORMを提供します。Temporal Go SDKはクラウド分散処理の信頼性を大きく高め、耐障害性を簡単に実現します。GQLGen v2はGraphQLサーバー開発においてコード生成とホットリロード、連携機能が強化されました。GoFlowは宣言的な並行処理を実現し、大規模データパイプラインやAI活用に最適です。Bun ORMはSQLらしさと高速性を兼ね備え、GORMに取って代わる存在になっています。これらに加えZapやCobraなどにも注目が集まっています。Go言語は表現力と生産性を備えた、現代的な競争力ある言語へと進化しているのが2025年の特徴です。
Go言語におけるログ出力のベストプラクティスについて解説しています。パフォーマンスを損なわず、開発と運用の両面で有用なログを残すには、「ログレベルの活用」「レベルチェックによる遅延評価」「バッファ付き・非同期書き込み」「構造化ログ」「ループやホットパスでの過剰なログ抑制」「本番環境でのサンプリング」などが重要です。更に、ログのボリューム管理やベンチマークでの負荷測定も推奨されています。これらの実践で高速かつ実用的なロギングを実現できます。
Go言語が高性能な並行処理を実現できる秘密は、ランタイムシステムにあり、主に「スケジューラ」「ガーベジコレクタ」「メモリアロケータ」「スタック管理」の4つで効率的な動作を支えています。スケジューラは軽量なゴルーチンを効率的に分散・管理し、ガーベジコレクタは自動で不要メモリを掃除します。メモリアロケータは倉庫管理のように高速配分を行い、スタック管理は必要に応じて動的拡張します。これらの仕組みが、シンプルなコードで高速かつ安定した現代的なアプリケーション開発を可能にしています。
Azure DevOps
2025年10月15日Azure DevOpsの更新内容まとめ。サービス接続でシークレットの有効期限管理が改善され、自動通知でローテーションを促進。App Service拡張機能のバージョン指定、リリースパイプラインの無効化機能、テストポイントの「Current Tester」への名称変更が反映され、利便性向上が図られている。
Git
Git Worktreeは、1つのGitリポジトリで複数の作業ディレクトリを持てる機能です。これにより、ブランチごとに独立した環境で並行作業や緊急修正、バージョン比較が容易にできます。作業を中断せず効率的に開発でき、よく使うコマンドやエイリアスも紹介。サブモジュール利用時の制限、ディレクトリ配置の注意点も説明されており、正しく運用すれば開発ワークフローを大幅に効率化できる便利な技術です。
GitHub
ghaperfはGitHub Actionsのパフォーマンス分析用CLIツールです。Composite Action内の細かなstepまでボトルネックを特定でき、バックエンド不要で簡単に統計的分析も可能。Markdownでレポート生成も対応しています。他ツールと組み合わせて利用できます。
gRPC
概要:
この記事は、gRPCクライアントサイドのロードバランシングによってサーバ負荷の偏りを軽減する方法について解説しています。
・従来のgRPCでは、クライアントが単一サーバへ接続し続けるため、特定サーバに負荷が集中し、レイテンシ悪化などの問題が発生しました。
・gRPCクライアント側で「ラウンドロビン」ポリシーを設定すると、複数サーバ(Pod)へリクエストを分散することができます。
・Kubernetes環境では「Headless Service」を用いることで、PodすべてのIPアドレスをクライアントが取得し、ロードバランシングが可能になります。
・DNS Resolverは即時反映されない課題があり、スケールアウトにはカスタムResolverやxDS API導入も選択肢になります。
gRPCの負荷集中問題を回避する実践的な方法として、クライアント設定やKubernetesのHeadless Service活用、そして更なる柔軟なロードバランシング技術が解説されています。
監視
概要:
この記事は、2025年時点の主要なOSS監視ツール(Prometheus+Grafana、Zabbix、Nagios、Checkmk、InfluxDB)を徹底比較し、システム環境別に最適な選択基準を解説しています。
- クラウドネイティブやレガシー混在環境など、システムの複雑化・可観測性の要求に対応した監視ツール選定が主題です。
- 各ツールの特徴・強み(例えばPrometheusはKubernetes向け、Zabbixは物理・VM環境向け)や、データ収集モデル、スケーラビリティ、可視化・ダッシュボード機能、長期データ保持、アラート機能などを詳細に比較しています。
- 実際の導入手順や、環境・運用体制・データ要件ごとの選定のポイント、TCO(総保有コスト)比較、ユースケース別推奨構成も提示されています。
- さらにFAQで併用時の注意点・移行・ログ/セキュリティ監視統合など運用現場の疑問にも対応しています。
- まとめとして、環境タイプ・運用コスト・クラウド移行・複数ツール併用・コミュニティの確認を重視した実践的な選定基準が整理されています。
要約(約300文字)
2025年最新版OSS監視ツールの比較記事。Prometheus+Grafanaはクラウドネイティブ、Zabbixはレガシーインフラに強み。主要ツールを導入環境、機能・制約、運用コスト、拡張性、ユースケース別に整理し、選定ポイントやFAQも実践的に解説。自社環境や運用体制・データ保持要件を分析し、最適な監視基盤構築を目指す内容。
感想:
この記事は、最新のOSS監視ツールの比較がとても分かりやすく整理されていて、自分の環境に合ったツール選定のヒントが得られました。
Tool
バックエンド開発の生産性を大幅に高める10のCLIツールを紹介。HTTPieやjq、ripgrep、fzfなどを組み合わせることで作業の自動化や効率化を図り、日常の開発や運用フローを加速できることが解説されています。
AI
EuroLLM
概要:
ヨーロッパの研究機関や企業のコンソーシアムが、EU公式24言語と日本語を含む全35言語に対応した大規模言語モデル「EuroLLM」をオープンソースで公開しました。英語主流のAIを脱却し、欧州の言語的多様性を反映したLLMとして開発され、学習データの英語比率を50%に抑え、他言語も十分にカバーしています。現時点で1.7Bと9Bパラメータ版が公開され、今後は22Bや画像・音声対応のマルチモーダル版が予定されています。運用にはEuroHPCプロジェクトのスーパーコンピュータ「MareNostrum 5」を活用。実際の使用例では、24言語翻訳や様々な言語での質問に対応できるものの、日本語回答では精度の課題も確認されました。商用LLMに比べベンチマークのMMLU指標で10ポイントほど劣るものの、多言語モデルとしての発展性や欧州のイノベーション促進を目的に今後も開発が進められます。
感想:
日本政府がやらなきゃいけないのはこういうことだと思うんですよ。OpenAIにいいようにやられている場合じゃないんですよ。
Google CloudのGemini Enterprise、Gemini Code Assist、Gemini CLIは、AIとHPCを統合したプラットフォームで、研究者が論文調査、仮説生成、コード作成、ワークフロー自動化までの科学的業務を効率化します。AIエージェントは膨大なデータ解析や新しい仮説提案、実験設計、結果整理などを支援し、研究の質とスピードを向上。科学者が本来の創造的業務に集中し、迅速な発見を実現できる新時代のAI活用基盤です。
RayとGoogle Kubernetes Engine(GKE)の統合により、Cloud TPUの利用がより容易かつネイティブなものになりました。 新ライブラリ“ray.util.tpu”でTPUトポロジー設定やリソースの断片化問題を自動解決し、JaxTrainer APIでJAXやPyTorchによる分散学習が直感的に行えます。ラベルベースのスケジューリングやカスタムコンピュートクラス、TPUのメトリクス・ログの統合表示も導入され、GPU/TPU間のコード移植性と運用効率が大幅に向上しています。
OpenAI
OpenAIはAWSと7年間、総額380億ドル規模の戦略的パートナーシップを締結。OpenAIはAWSの大規模かつ高性能なインフラを用いてAIワークロードを即時に拡大可能とし、NVIDIA GPUを中心とした演算リソースでAI開発とサービス提供を加速させる。
GitHub Copilot
GitHub Copilotの管理者は、組織・企業単位でIDE内のCopilotエージェントモードの利用可否をポリシーで制御できるようになりました。初期設定は有効で、管理画面から変更可能です。
GitHub CopilotやSparkなどAIツールの料金管理機能が強化され、ツールごとの予算設定や一括管理が可能になりました。管理者向けに個別の超過設定も追加され、既存の予算設定は自動移行されます。エンタープライズとチームプランで利用可能です。
JetBrains
概要:
JetBrainsが発表した新サービス「Matter」は、プロダクトチーム向けのAI開発支援ツールです。Matterは、GitHubリポジトリと連携し、クラウド上の隔離された環境でコードを書かずにアイデアのプロトタイプやテストが可能。リアルタイムでチームメンバーと共同作業やライブプレビュー共有ができ、実際のコードでUIや機能の修正もAIエージェントのプロンプトで即座に反映されます。GitHubへのプルリクエストやIssue連携も可能で、エンジニアはコアな開発に集中でき、PMやデザイナーも独立して機能検証やUI変更が迅速に行えることが特徴です。現在Early Access Program(EAP)が公開されています。
JetBrains AIに「BYOK(Bring Your Own Key)」機能が年内に追加予定。ユーザーはOpenAIやAnthropic等のAPIキーを自身で管理し、好きなAIプロバイダーを選択可能。JetBrainsの管理する使用量制限を回避し、コストや使用状況も透明化。今後はGoogle Gemini、Azure、ローカルモデルなどにも対応予定。
本記事は、AIエージェント設計において「信頼」が「速度」より重要である理由を解説しています。AIエージェントは自律的に判断・協働できるため、従来の自動化を越えた価値を持ちますが、誤動作やリスクも伴います。そのため、十分なインフラとガードレールが整い、「信頼」を獲得することが優先されるべきです。JetBrainsはエージェントフレームワーク「Koog」と標準プロトコル「A2A」を通じて、信頼性と協働性の高いエージェント基盤構築に注力しています。
論文・その他
概要:
本記事は、LLM(大規模言語モデル)を用いたコード生成において「曖昧な指示」や「不十分な依頼」がセキュリティにどのような影響を及ぼすかを検証したものです。10種類のLLMと大規模な実験により、プロンプトの明確さや一貫性、完全性が低下すると全てのモデル・全カテゴリで脆弱性率が顕著に上がることが示されました。特にアクセス制御や例外処理など論理的なタスクで悪影響が大きく、曖昧な依頼はLLMにシンプルだが安全性の低い実装を選択させやすくします。一方、段階的推論(CoT)や自己レビュー(RE-ACT)といったプロンプト手法を用いることで、低品質なプロンプトでも脆弱性率を大幅に低減できることが確認されました。最終的に、開発者が高品質なプロンプトを書くことがセキュリティ確保の本質であり、プロンプト技術の工夫が今後ますます重要となることが示唆されています。
概要:
AWSのUS-EAST-1リージョンで大規模な障害が発生し、多くのサービスやサイトが利用できなくなった。障害の原因や技術的な分析はAWSの公式サマリーなどで閲覧できるが、筆者はこの障害を通じて「AWSは信用できないから自社インフラを構築すべき」という反応がよく見られることに着目している。一方で、AWSのような大規模システム運用には高度な専門知識と経験が不可欠であり、それを自前で揃えるのは困難かつ高コストである。実際、この障害直後にMicrosoft Azureでも同様の障害が発生している。現在、AWSや他のハイパースケーラーに代わる現実的な選択肢はなく、もし自社運用を選ぶなら、障害対応は非常に難しいことを覚悟すべきだと筆者は強調している。また、ハイパースケーラーへの依存を減らし、選択肢を作るためのインフラ構築が重要だが、その道は容易ではない。
クラウド
Azure
2025年11月3日時点で確認されたMicrosoft Azure関連の新情報やアナウンスをまとめています。今回は特筆すべき公式ブログやAzure Blogはなく、Tech CommunityのSAPなど他サービス連携や、開発者向けブログの地域展開、C++イベントレポートが紹介されています。
OS
Windows
Microsoft Edgeに新機能が追加され、パスキー(パスワード不要の認証情報)をMicrosoft Password Managerで保存・同期できるようになりました。Windowsデバイス間で安全かつ簡単にサインイン可能となり、PIN・指紋・顔認証で利用でき、セキュリティや利便性が向上します。
Apple/macOS
Appleは「iOS 26.1」(23B85)を正式リリースしました。主な新機能は、iPhone 15 Pro以降とAirPodsでの電話、FaceTime時のライブ翻訳対応(日本語含む)、Liquid Glass UIの不透明度調整機能追加です。他にも、Apple Musicの操作性向上、外部USBマイクのゲイン制御、フィットネスアプリの記録機能追加、FaceTime音質改善、13〜17歳向けのWebフィルタ強化など、多数の機能強化が含まれています。
Appleは「macOS 26.1 Tahoe」(25B78)を正式リリースしました。本アップデートでは、Apple Intelligenceを活用したライブ翻訳機能の日本語対応や、Liquid Glassデザインの色合い調整オプションが追加され、外観設定からUIの不透明度が調整可能になりました。また、各種バグ修正やセキュリティアップデートも含まれています。
キーボードカスタマイザー「Karabiner-Elements 15.6.0」がリリースされ、macOS 26 Tahoe用アイコンやAppleの新デザインシステムLiquid Glassに対応。EventViewerに全変更を一時的に無効化するトグルが追加され、テストが簡便化。環境変数の外部ファイル設定やフットペダルなどの新デバイスもサポート。高頻度イベント時のCPU使用率も改善されています。