はじめに
「BI や AI は無料で動かせる分だけやれれば十分でしょ?」
…そう感じている方はいませんか?
しかし、組織でデータを活用するフェーズに入ると、
「無料でできること」と「成果が出ること」には明確な壁があります。
この記事では、テナントライセンスは除外して、Power BI のユーザーライセンス(特に Pro / PPU) にフォーカスし、
- 価格はどう変わってきたのか
- なぜ「高くなった」と感じるのか
- それでも検討する価値があるのか
を整理します。
Power BI のライセンス体系(ユーザー単位)
Power BI のライセンスは大きく分けて以下の3つです。
- Fabric Free(無料)
- Power BI Pro
- Power BI Premium Per User(PPU)
本記事では ユーザー単位課金 に絞って扱います
(Fabric Capacity などの組織ライセンスは今回は割愛)。
まずは結論:値上がりしてる。でも理由がある
以下は 日本国内価格(税抜・年契約) をまとめたものです。
※図は Geminiによる Power BI 市場価格分析(2025.12 時点)
現在の価格(2025年)
| ライセンス | 月額 | 補足 |
|---|---|---|
| Power BI Pro | ¥2,098 | 2022年比 約+92% |
| Power BI Premium Per User | ¥3,598 | 2022年比 約+65% |
正直、安くはないです。でも 高くもない と個人的には感じています。
でも「値上げ=Microsoftが強欲」ではない
よく見ると重要な事実があります。
実は、グローバル価格はほとんど上がっていない
- PPU の USD 価格は 2021 → 2025 で 1回しか改定されていない
- それまでは $20 → $20 のまま
- 2025年に初めて $24 へ変更
つまり…
日本での「値上げ感」の正体は、ほぼ 円安
ということです。
ClaudeによってUSDの価格も含めてまとめてもらった表がわかりやすいです。
Power BI Pro 年次価格推移表
| 時期 | グローバル価格(USD) | 日本円価格(税抜・月額) | 変更理由 |
|---|---|---|---|
| 2015年7月(サービス開始) | $10/ユーザー | 約1,090円〜1,100円 | 初期価格設定 |
| 2016年〜2022年 | $10/ユーザー | 約1,090円〜1,250円 | 為替変動により変動 |
| 2023年4月1日 | $10/ユーザー | 1,250円 | 円安対応・15-20%調整 |
| 2024年4月1日 | $10/ユーザー | 1,500円 | 円安対応・20%調整 |
| 2025年4月1日 | $14/ユーザー | 2,098円 | 約10年ぶり初の本格改定 |
Power BI Premium Per User 年次価格推移表
| 時期 | グローバル価格(USD) | 日本円価格(税抜・月額) | 変更理由 |
|---|---|---|---|
| 2021年4月2日(GA開始) | $20/ユーザー | 約2,170円〜2,500円 | 初期価格設定 |
| 2022年〜2023年3月 | $20/ユーザー | 約2,500円 | 為替変動による調整 |
| 2023年4月1日 | $20/ユーザー | 2,500円 | 円安対応 |
| 2024年4月1日 | $20/ユーザー | 約3,000円 | 円安対応・20%調整 |
| 2025年4月1日 | $24/ユーザー | 3,598円 | 約4年ぶりの価格改定 |
Power BI Pro vs Premium Per User 価格比較(2025年12月現在)
| ライセンス | 月額価格(税抜) | グローバル価格 | 主な機能差 |
|---|---|---|---|
| Power BI Pro | ¥2,098 | $14 | データセット1GB、更新8回/日 |
| Premium Per User | ¥3,598 | $24 | データセット100GB、更新48回/日、多くの追加機能・高パフォーマンス |
なぜここまで上がって見えるのか?
為替 × 法人向け価格調整の合わせ技
Microsoft は法人向け SaaS について、
- 半年〜1年単位で為替を反映
- グローバル価格との乖離を調整
というポリシーを取っています。
その結果👇
- 2022年:円安スタート
- 2023〜2024年:調整フェーズ
- 2025年:グローバル価格改定が直撃
という「全部乗せ」状態になっています。
10年間の価格トレンドを見ると見え方が変わる
図の通り、2015〜2022年あたりまでは
「1,000円台で使える高機能BI」
という異常なコスパ時代でした。
それが是正されただけ、とも言えます。
それでも Power BI を使うべきか?
結論から言うと:
最初から「社員全員に配ろうとする」から苦しくなる
です。
おすすめの考え方
- 最初は 分析担当・意思決定者だけ
- PoC → 定着 → 徐々に拡張
- 無理に全社員に配らない
Power BI は
「使う人が使えば、めちゃくちゃ強い」
ツールです。
これからどうなる?
Microsoft はすでに以下を発表しています。
2026年7月以降、Microsoft 365 系ライセンスの価格改定を予定
Power BI も何らかの影響を受ける可能性は高いでしょう。値上げがあろうが、割高感あると無知な人に言われないように前向きに勉強して、データ整理、視覚化、共有等に取り組んでいきましょう。
まとめ
- Power BI は高くなった → 事実
- でも主因は円安と世界価格調整
- 無料で済ませると「分析ごっこ」で終わる
- 小さく始めて、価値が出たら広げるのが正解
