先日新装版が発売された『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』。
初めての人でも十分簡単に実践できる内容ですが、実は今まで何度か試しては途中で辞めてしまっていました。
再トライしてみようと本書を読み進めていく中で、もう少し続けやすく簡易にできないかなと思い、極力シンプルにした『簡易版GTD』を考えてみました。
無理なく継続できる「簡易型GTD」とTodoistを使った実践例をご紹介します。
正しいやり方とはちょっとちがうとは思います。
タスク管理ツールとして、Todoistを使って説明しますが、どのようなツールでも運用可能です。
GTDとは
GTD (Getting Things Done) はタスク整理術のひとつです。タスクを効率的に管理し、やるべきことに気持ちよく向かい合うことができるようになります。
GTDにはいくつかのステップがあり、以下の様に唱えられてきました。
- 収集する
- 処理する
- 整理する
- レビューする
- 実行する
これが、新装版では以下の様になりました。
- 把握する
- 見極める
- 整理する
- 更新する
- 選択する
把握する
Inboxというリストを作り、「やらなきゃ」「そういえば。。。」と、気になってることを全て書き出します。例えば、
気になること、やりたいこと |
---|
更新機能のQAしたい |
7月のイベントを公開したい |
お米無くなりそう |
エアコンフィルターの掃除したい |
初めてのGTDを読みたい |
新しい開発環境を構築したい |
Switch2を買いたい |
Aさんと1on1 |
のように、羅列していきます。
見極める
羅列したものが、何なのかを見極めていきます。何をしないといけないのか(= ゴール)、それは行動を起こす必要があるのか、次のアクションは何か、それをどう進めていくか、を考えます
気になること、やりたいこと | ゴール | 行動が必要? | 次のアクション | どう進める? |
---|---|---|---|---|
更新機能のQAしたい | QAを行う | やりたい | QA作業 | 任せる |
7月のイベントを公開したい | イベントを公開する | やりたい | connpassの更新 | すぐやる |
お米無くなりそう | お米を買う | やりたい | お米を買う | あとでやる |
エアコンフィルターの掃除したい | フィルターを掃除する | いつかやりたい | ||
初めてのGTDを読みたい | 初めてのGTDを読む | あとで必要かも | ||
新しい開発環境を構築したい | 新開発環境を構築する | やりたい | 新開発環境を構築する | あとでやる |
Switch2を買いたい | 4次抽選に申し込む | やらなくていい | ||
Aさんと1on1 | Aさんと1on1 | やりたい | Aさんと1on1 | あとでやる |
行動が『いつかやりたい』『あとで必要かも』に関しては、『いつかやるリスト』へ、やらなくてもいいものはゴミ箱へ捨てます。
そして、この段階で2分以内に済みそうなものは『すぐやる』とし、この時点でやってしまいます。また、『任せる』ものは任せたい先に連絡し、『連絡待ちリスト』へ移します。
そうすることで、『あとでやる』以外のやりたいことは、この時点で忘れることができます。
整理する
やりたいことをやるために取るアクションが、『いつ』『どれくらいの工程』かを整理します。
やる日が決まってる場合は、カレンダーに登録したり日付指定をしたりします。
また、工程が2つ以上あるものに関しては『プロジェクト』にし、工程を羅列していきます。
気になること、やりたいこと | ゴール | 行動が必要? | 次のアクション | どう進める? | いつ? | 工程 |
---|---|---|---|---|---|---|
お米無くなりそう | お米を買う | やりたい | お米を買う | あとでやる | 今日 | 1 |
Aさんと1on1 | Aさんと1on1 | やりたい | Aさんと1on1 | あとでやる | 今日 13:00 | 1 |
新開発環境構築プロジェクト
やること | いつ |
---|---|
利用するイメージを決める | 金曜日 |
構成ファイルの作成 | |
初期登録データの作成 |
更新する
ここまでで、いくつかのリストにタスクが登録されています。定期的にそのリストを見渡して内容について『見極める』『整理する』を行い、更新します。毎朝・毎週などの定期的に行なったり、新しくやりたいことが生まれた時に行います。
気になること、やりたいこと | ゴール | 行動が必要? | 次のアクション | どう進める? | いつ? | 工程 |
---|---|---|---|---|---|---|
お米無くなりそう | お米を買う | やりたい | お米を買う | あとでやる | 今日 | 1 |
Aさんと1on1 | Aさんと1on1 | やりたい | Aさんと1on1 | あとでやる | 今日 13:00 | 1 |
エアコンフィルターの掃除したい | フィルターを掃除する | やりたい | フィルターを掃除する | あとでやる | 明日 | 1 |
※エアコンフィルターを明日やることにした
選択する
ここで、現在の状況に照らし合わせて何をやるかを選択します。それぞれのリストを見渡し、やっていくものを選びます。現在の状況はその日のモチベーションや利用できる時間などにもよります。その時々でやる量は調整します。
やること |
---|
お米を買う |
Aさんと1on1 at 13:00 |
利用するイメージを決める |
簡易版GTD概要
上記の様な流れでやっていくのもだいぶ簡単ではあるのですが、それをもっとシンプルにして 継続しやすく なることを意識して、以下の様にしていきます。
把握する・見極めるの統合・簡素化
- やることを羅列する
- リストに移さない
- すぐにやらない
おおよそは気になること・やりたいことは、やることとほぼ同じで、やることは次の行動とほぼ同じになると思うので、やることを羅列 していくようにします。
そして、やる必要がなければ捨て、本来であれば2分以内ででき『すぐやる』をやってしまいますが、『すぐにやる』に目印を付け最後の選択フェーズで行い 、残りの 『いつやる必要があるか』、『誰がやるか』を整理フェーズで行います 。
これは、『タスクのリストへの移動』『タスクの実行』を1箇所に集中させて、それぞれのフェーズでの行動を明確にするのが目的です。
整理するの簡素化
- 日付指定のみ行う
- それぞれのリストに移す
- プロジェクトの行程はサブタスクにする
まず、日程が決まってるものをカレンダーや日付設定しますが、最近のタスク管理アプリは日時指定や期日指定ができるものがほとんどなので、その機能を使って日付指定します。その後、以下の条件でそれぞれのリストに移していきます。
リスト | 条件 |
---|---|
Parking-lot | 今すぐやる必要はないもの、あとで必要になるかもしれないもの |
Work | 仕事関連 |
Private | プライベート関連 |
Waiting | 誰かに任せるもの |
Parking-lot
Parking-lotとは『優先ではないけど、メモっておいた方が良いもの』を蓄積していく考え方です。
『今すぐやる必要がない』『あとで必要になるかもしれない』ということは、『一旦忘れてもよい』ものなので、このリストに入れてしまいます。
プロジェクト化ですが、こちらも最近のタスク管理アプリはサブタスクを持つことができるので、元のタスクにサブタスクを追加していきます。これにより、『更新する』のタイミングでたくさんのプロジェクトを見回る必要がなくなります。
実際にやってみる
ではやってみましょう。タスク管理ツールはなにを使っても良いのですが、お勧めしたいのは『Todoist』です。
お勧めな理由は以下の通りです。
- Mac, iOS, Android, ブラウザなどマルチプラットフォームなため、どこからでも操作ができる
- リスト(Todoistではプロジェクトと呼ぶ)が無料版で5つまで作ることができるので、上記のリストが作成できる
- Inboxがすでに用意されている
フローとしては以下の様になります。
事前準備: リストをつくる
まずは、それぞれのリストを作ります。Todoistでは『プロジェクト』を使ってリストを作ります。作るプロジェクトは
- Private
- Work
- Waiting
- Parking-lot
の4つです。Inboxはすでにあるので作成不要です。好きな色をつけることができるので、色分けしておくとよいでしょう。また、名前は『🏠』『💼』のようにアイコンをつけるのもおすすめです。
※ ぼくは、Private: ミントグリーン, Work: オレンジ, Waiting: 黄色, Parking-lot: スカイブルーにしてます。
1: Inboxにやることを出す
まずは『把握する』のターンです。今あるやりたいことを出し切ります。
2: 行動する必要がないものを削除する
そして、やる必要がないものを削除します。
3: 日付を指定する
すぐやるものにはめじるしt今日の日付をつけ、日付の指定が必要なものは日付を設定します。『任せる』タスクについてはつける必要がありませんが、個人的には『今日』の日付をセットする様にしています。すぐやるものには分かりやすく優先度をつけておくのもおすすめです。
※ Todoistは日付が過ぎると日付部分が赤くなります。キャプチャのタイミングが夜だったので、13:00の部分が赤くなってます。
4: リストに移す
それぞれの条件に従って、タスクをリストに移していきます。
この時点でInboxは空になるはずです。
工程が2つ以上あるものには、サブタスクを追加します。日付が決まっているものはここで設定します。
5: 更新する
それぞれのリストを見渡し、日付やリストを変更します。
- 日付を変える場合は、タスクの日付を変更
- 一旦忘れてよいのであれば、Parking-lotへ移動
- 誰かに任せようと思うなら、Waitingへ移動
- やらないと思ったら削除
6: 選択する
ここまでやったら、左メニューにある『今日』を見ます。すると、日付指定で今日&期限切れのタスクが表示されます。Todoistでは、今日のサブタスクも表示されます。
まずは目印した『すぐやる』としたものを、その後に残りのタスクから今日やるものを選択し、 1つずつ やっていきます。同時進行はGTDは推奨していません。1つずつやっていき、この『今日』のリストを空にすることを目標に頑張ります。今日やらないと決めたものはリスケしましょう。空にすることが大事です。
繰り返す
あとは、ここまでの内容を繰り返します。繰り返すタイミングは『新しいやることが出てきた時』『毎朝』『毎週』などです。
やってみた気づき
この簡易型GTDは、要は
- やることを集める
- 整理する
- やる
の3ステップを繰り返すだけのものになります。
現在はこのやり方で運用していますが、非常に安定しています。これは、
- 見る箇所が少ない
- 『空にする』というゴールが明確
- 空になると気持ちいい
が続けやすい大きな理由ではないかなと思っています。
これはスクラムでは🤔
そして、やっていくうちに、このGTDは 1日スプリントの自分専用スクラム ではないかと考える様になりました。やっていることがスクラムのイベントと似ており、
- 把握する・見極めるは、PBIの作成
- 整理するは、リファインメント
- 選択する、プランニング&スプリント
- 更新するは、レトロスペクティブ&PBIの見直し
であると言えます。この考えだと、GTDではタスクを1つずつやっていくということを推奨しているのは、フロー効率を意識したものだと認識することができます。
そんなGTDのエッセンスに触れることができる、『簡易型GTD』。ぜひお試しください。
というわけで、『QiitaにGTDの記事をつくr』タスクは終了になります。
参考文献