はじめに
麻雀打ちなら一度は思ったことがあるはずです。
「純全帯幺九(ジュンチャン)、難易度の割に安すぎないか?」 と。
苦労して作ったジュンチャン(3翻)と、破壊力抜群のチンイツ(6翻)。 体感では「絶対にジュンチャンの方が難しい」と感じていましたが、果たして本当なのか?
気になったので、清一色を比較対象に出しつつ、2025年11月19日にGoogleからリリース1されたばかりの Gemini 3 に検証させてみました。高度な推論能力を持つ最新AIが、確率・統計・数学的観点から弾き出した結論は果たして、、、、、
私自身、AIが導き出した数式を「100%正しい」と証明できるほどの数学力はないため、あくまで 「それっぽい考察」 として、エンターテインメント感覚で楽しんでいただければ幸いです。
また、AIの回答テキストは、意味合いや結論が変わらない範囲で、読みやすく調整を加えています。
役について
出典: 純全帯么九(ジュンチャン)【3翻役】麻雀役徹底解説!| 麻雀豆腐
出典: 清一色(チンイツ) 【6翻役】麻雀役徹底解説!| 麻雀豆腐
純全帯幺九(ジュンチャン) vs 清一色(チンイツ) どちらが難しい?
まずはストレートに聞いてみます。
質問内容
麻雀の「ジュンチャン」と「チンイツ」について、点数はチンイツの方が高いものの、出現率はジュンチャンの方が低いように感じます。この認識は正しいでしょうか?
AIの回答がこちら
結論から申し上げますと、ご認識の通りです。統計データ上でも 「純全帯幺九(ジュンチャン)」の方が「清一色(チンイツ)」よりも圧倒的に出現しにくい ことが明らかになっています。
一般的なオンライン麻雀の対戦データ(天鳳など)における比較は以下の通りです。
役 翻数(メンゼン) 出現率(目安) 難易度評価 清一色(チンイツ) 6翻 約 0.9% 〜 1.0% 100回に1回程度 純全帯幺九(ジュンチャン) 3翻 約 0.3% 〜 0.4% 300回に1回程度 事実:ジュンチャンはチンイツの約3倍もレアな役です。 出現率(難易度)だけで言えば、ジュンチャンは跳満クラスの点数があってもおかしくないほどの「高難易度・不遇役」と言えます。
感想
ちゃんと教えてくれて、しかも予想どおりだったので嬉しい。
とはいえ、「端っこの牌を使うから」という理由だけでここまで差が出るとは思えないので、もっと深掘りして計算してみたいと思いました。
なぜそんなに難しいのか計算してもらう
実際に統計だけでなく、数学的に検証してもらう。
質問内容
実際の確率計算をして、なぜ難しいのか教えてください。
AIの回答
【確率計算】なぜジュンチャンはチンイツより難しいのか?
感覚的な「難しさ」の正体は、数学的な 「有効順子の生成確率」 と 「受け入れ枚数(待機効率)」 の2つの計算で証明できます。
「有効な順子(シュンツ)」ができる確率
麻雀の数牌(1〜9)で作れる順子(123, 234...)は全部で7種類あります。このうち、役の構成条件を満たす確率を計算します。
比較計算
- 全順子の種類
${123, 234, 345, 456, 567, 678, 789}$ の 7種類
- チンイツの場合
染めると決めた色の牌であれば、**7種類すべて(100%)**が有効なメンツになります。
$$有効率 = \frac{7}{7} = 100%$$
→ どの部分がつながっても、すべて役の構成要素として機能します。
- ジュンチャンの場合
使えるのは端にかかった ${123, 789}$ の 2種類のみです。
$$有効率 = \frac{2}{7} \approx 28.5%$$4メンツ全てを揃える確率(単純乗算)
4つのメンツ全てがその条件を満たし続ける確率を、単純な累乗で比較してみます。
- チンイツ: $1.0 \times 1.0 \times 1.0 \times 1.0 = \mathbf{100%}$
- (色が揃ってさえいれば、メンツの形は問わない)
- ジュンチャン: $0.285 \times 0.285 \times 0.285 \times 0.285 \approx \mathbf{0.6%}$
- (色が揃っていても、形が限定されすぎる)
結論: 数学的に見ると、ランダムにできた順子がジュンチャンの条件を満たす確率は極めて低く、「ただの順子」に対して約150倍もの選別フィルタがかかっていることになります。
「待ち」の枚数差(幾何学的確率)
次に、テンパイに至るまでの「スピード(受け入れ枚数)」を計算します。これは麻雀の牌のつながりやすさ(連結度)の違いです。
比較計算
- チンイツ(中張牌を含む形)
真ん中の牌(例:4, 5)は、両隣の牌とくっつきやすく、「両面待ち」を容易に形成します。
- 手牌: 「4・5」を持っているとき
- 待ち: 「3」または「6」
- 有効枚数: $4 + 4 = \mathbf{8枚}$
- ジュンチャン(端牌限定の形)
ジュンチャンは必ず「1」か「9」を絡める必要があるため、物理的に「両面待ち」を作ることができません。
- 手牌: 「2・3」を持っているとき(ジュンチャンにするには「1」が必須)
- 待ち: 「1」のみ(ペンチャン待ち)
- 有効枚数: 最大でも $\mathbf{4枚}$
速度の格差
$$チンイツ(8枚) \div ジュンチャン(4枚) = \mathbf{2倍の差}$$
結論
ジュンチャンを狙うということは、常に 「通常の半分のスピード(受け入れ枚数)」 で手作りを強いられることと同義です。他家が8枚〜の受け入れで進む中、自分だけ4枚しか受け入れがない状態が続くため、統計的にアガリ競争に負ける確率が高くなります。
まとめ:数値で見る難易度
これらの計算を統合すると、ジュンチャンの難易度は以下のように数値化できます。
項目 チンイツ ジュンチャン 差 順子の自由度 100% 約28% 素材の制限が厳しい 待機の最大枚数 8枚(両面) 4枚(ペンチャン) スピードが半分 役の出現率 約1.0% 約0.3% 結果として3倍出にくい チンイツは「色は限定されるが、形(トポロジー)は自由」なのに対し、ジュンチャンは「色は自由だが、形が激しく限定される」上に「速度が半減する」という二重の数学的ハンデを背負っています。
計算すればするほど、 「ジュンチャンは出現率0.3%程度に落ち込むのが数学的必然である」 という結論に至ります。
感想
すごく真剣に考えてくれるので、面白いと思うと同時に感謝。
言われてみれば、チンイツは色が限定されているだけで「形」は自由なのに対して、ジュンチャンはすべての面子で 受け入れ枚数が半減する という縛りがあると考えるとそりゃ難しくなるよな、と改めて感じました。
もちろん、厳密な意味での「麻雀の完全なシミュレート」は、変数が多すぎてスパコンでも至難の業なのでは?と思っています。
例)
- 麻雀はサイコロと違い、見えている牌によって確率が変動する。
- 他家が不要牌として捨てるか、抱え込むかで難易度は変わる。
今回のAIの計算は、そういった複雑な「場の状況」を一旦無視した感じにはなっていますが、それを差し引いても「構造的に受け入れが半分になる」という事実は変わらないため、難易度の比較としては十分説得力があると感じました。
なぜそれでも3翻なのか?
ここまで難しいなら、ルール改正して6翻くらいにあげてもいいのでは?
最後に妥当性について聞いてみた。
質問
ここまでの内容を踏まえて、ジュンチャンの難易度と点数が妥当かどうか教えてください。
AIの回答
結論:純全帯幺九(ジュンチャン)の点数は「妥当」なのか?
ここまでの確率計算(出現率の低さ、牌効率の悪さ)を踏まえた上での、麻雀のゲームバランスとしての結論は以下の通りです。
結論:単体で見れば「不当」だが、総合的には「妥当」
厳密に 「難易度(労力)対 効果(点数)」 だけで評価すると、ジュンチャンの「3翻」は 明らかに低すぎます(コスパが悪すぎます)。
しかし、麻雀というゲーム全体のバランスで見ると、いくつかの「エクスキューズ(理由)」が存在します。なぜあの難易度で3翻に設定されているのか、その理由を整理しました。
「不当(低すぎる)」と言える理由
確率計算で示した通り、ジュンチャンはチンイツ並みかそれ以上の不自由さを強いられます。
- リスクとリターンが合わない
鳴いて2翻(2000点〜)はあまりに安すぎます。鳴いたチンイツが満貫(8000点〜)であることを考えると、リスク(アガリにくさ)に対してリターンが釣り合っていません。- 受け皿(保険)の欠如
チンイツは失敗しても「ホンイツ」という受け皿がありますが、ジュンチャンは失敗すると「役なし」になるか、さらに安い「チャンタ」に格下げされることが多いです。→ 判定: コスパ重視の現代麻雀において、 「割に合わない不遇な役」 であることは間違いありません。
それでも「妥当(3翻)」とされる3つの理由
では、なぜルール改正で点数が上がらないのか。そこにはジュンチャン特有の 「複合力」 と 「守備力」 という隠れたメリットがあるからです。
① 「三色同順」との強力なセット販売
ジュンチャンが単体(のみ)で存在することは稀です。構造上、「三色同順」と非常に相性が良いです。
- 例:
123m / 123p / 123s ...
これだけで「ジュンチャン(3) + 三色(2) = 5翻(満貫)」が確定します。
さらに平和(ピンフ)やドラが絡めば、容易に跳満・倍満に届きます。→ チンイツは単独で高いですが、ジュンチャンは 「複合して高くなること」を前提とした点数設定 と言えます。
② 高い守備力
チンイツ狙いの時は、手牌が数牌だらけになり、他家からのリーチに対して「降りる(守る)」のが困難です。
一方、ジュンチャン狙いの時は 「4・5・6」という最も危険な真ん中の牌を先に捨てている ため、手牌には比較的安全な端牌(1・9・字牌)が残りやすく、守備力が高い状態で進行できます。③ 1・9牌の場況的な安さ
他家(普通の手作りをしている人)にとって、1や9は不要になりやすい牌です。
チンイツの有効牌(3〜7など)は他家も欲しがることが多いですが、ジュンチャンの待ちは 「他家が捨てたい牌」 であることが多く、ロンアガリの期待値は(確率は低いものの)心理的に狙いやすい側面があります。
総合評価
もしジュンチャンを 「4翻」 や 「5翻」 に設定してしまうと、「ジュンチャン・三色・ドラ」などで簡単に数え役満(13翻以上)や三倍満が頻発してしまい、ゲームバランスが崩壊する恐れがあります。
最終的な結論
視点 評価 理由 単体評価 不当に低い 難易度に見合っていない。 実戦評価 ギリギリ妥当 三色やドラとの爆発力、守備力を考慮すると許容範囲。 質問者様が感じた「割に合わない」という感覚は正解です。だからこそ、「配牌で123/789の三色が完全に見えている時」以外は無理に狙ってはいけない、それがジュンチャンという役の正しい扱い方と言えるでしょう。
まとめ
最後にAIとの対話で分かったことを簡単にまとめます。
1. データ上、ジュンチャンはチンイツの約3倍出にくい。
2. 数学上、ジュンチャンは有効牌が常に半減するため、構造的に圧倒的に不利。
3. それでも安いのは、「三色同順」とセット運用される前提の調整だから。
苦労して「ジュンチャンのみ」でアガった時のあの虚無感……。 それは、「跳満くらいの難易度をクリアしたのに!」 という心の叫びとして、あながち間違ってはいなかったみたいです。
これを知ったので、次にジュンチャンを狙うときはマインドを切り替えてたとえ点数は安くても、「これは数理的にチンイツより難しい、“芸術点”の高いことをやってるんだぞ」とドヤ顔することにします。
AI活用、意外と麻雀の考え方の幅を広げるのに役立つかもしれませんね。
【再掲】 私自身、AIが導き出した数式を「100%正しい」と証明できるほどの数学力はないため、あくまで 「それっぽい考察」として捉えていただけますと幸いです。
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2025年11月19日にGoogleから発表された「Gemini 3」や「Antigravity」の関連記事を、弊社スタッフが公開ストックリストとしてまとめました。よろしければ、ぜひこちらもご覧ください。
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