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「非開発組織のAIXを掘り下げる会」参加メモ(2026-09-28)

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Last updated at Posted at 2026-09-28

はじめに

職種問わずの社内ハッカソンで、参加者の半分が非エンジニア。しかも終わった後のアンケートで9割以上が「もう AI チームのサポートはいらない」と答えたそうです。エンジニアじゃない人たちが、きっかけひとつでここまで自走するのか、というのがこの日いちばん印象に残った話でした。

2026年9月28日に開催された「非開発組織のAIXを掘り下げる会」(#aixnight)に参加してきました。SmartHR、リンクアンドモチベーション、atama plus、HERP の4社が共催で、それぞれ「非エンジニア組織の AI 活用」の旗振りをしている人が、取り組みと悩みを話すイベントです。

自分は QA エンジニア2年からの開発エンジニア半年という若手で、普段はエンジニア側で AI を使っています。営業やバックオフィスに AI を広めるのは、エンジニア組織とは全然違う難しさがあるんだな、というのが素直な感想でした。特に刺さった話をまとめます。

本記事は筆者のメモをもとにした参加レポです。細部が違っていたらすみません(気づいた方はコメントで教えてください)。

イベントの概要

登壇者 所属 テーマ
津村 遼さん atama plus株式会社 AIX/Dataチーム ハッカソンとエヴァンジェリスト体制
関 剛夢さん 株式会社HERP 事業企画 HERP の生産性改善・AI 活用推進
石田 静馬さん 株式会社リンクアンドモチベーション DX推進ユニット AI時代こそ「要件定義」が勝負
小西 芳樹さん 株式会社SmartHR AIオペレーション室 室長 SmartHR の AI 推進、6ヶ月のリアル

AIX は「AI トランスフォーメーション」の略で、DX の AI 版という理解でよさそうです。

atama plus: ハッカソンで火をつけて、エヴァンジェリストで消えないようにする

atama plus は Devin、Claude、ChatGPT、Codex に加えて Dify を自社ホスティングし、社員が自分で AI アプリを作れる環境がすでにあるそうです。

そのうえで施策は2つ。

  • 社内ハッカソン: 全職種横断で「AI で業務改善を加速する」がテーマ。本番より準備に力を入れ、ツール共有会からチームビルディングまで運営が伴走。参加者の約半分が非エンジニアで、事後アンケートでは **92% が「今後 AI チームのサポートは不要」**と回答したそうです。きっかけさえあれば自走できる、ということですね。
  • AIX エヴァンジェリスト体制: ハッカソンは「種火」なので、各事業部から1人ずつエヴァンジェリストを出してもらい、現場の困りごとを吸い上げて AIX チームが応える体制に。

成果事例として、Devin が BigQuery と連携してレポートの下書きまで自動化し、人が最終確認して顧客に送る運用が紹介されていました。

HERP: 非開発組織側から見た AIX

HERP の関さんは事業企画の方で、「非開発組織側の人間が何を考えているかを話します」という導入でした。

正直に書くと、この講演は自分のメモがほとんど取れていません。スライドや #aixnight の投稿を見た方がいたら、コメントで教えてもらえると嬉しいです。

リンクアンドモチベーション: AI 時代こそ「要件定義」が勝負

個人的に2番目に刺さったのが石田さんの講演です。AI が出てくる前から SalesCloud 管理者として DX を推進してきた方で、「AI 以前からあって、AI で形が変わった失敗」という切り口でした。

失敗1: 埋めさせただけのデータ

「受注予測が当たらないので受注確度を入力必須にしてほしい」と言われて必須化した。入力率は100%になったが、予測精度は全く変わらなかった。みんな分からないから50%と入れていた。真因は「入力していない」ではなく「何を入力すればいいか分からない」だった。

AI 時代はこれがもっと起きる、と石田さんは言います。商談メモを AI に読ませて CRM を自動で埋めるのは簡単。でも「その項目、誰か読んでますか?」と。それっぽいデータが埋まると、それっぽい分析と施策が回って、失敗を延々と繰り返す。

失敗2: 「月27時間削減」の半年後

手作業を自動化して月27時間削減と報告したが、半年後に「で、何が増えたの?」と聞かれて答えられなかった。DX 推進部が「時間を空ける人」、現場が「時間を使う人」に分かれると、空いた時間で何を増やすかを決める人がいなくなるからです。

AI で誰でも自動化ツールを作れる今、意味のない削減が量産されやすくなった。だから「減らして何を増やしたいか」を決める要件定義の価値が、前より上がった。

3つの質問と、捨てる前提のプロトタイプ

石田さんが必ず聞くのはこの3つです。

  1. それができると、誰の何が変わりますか?
  2. 今それができていないのはなぜですか?
  3. できた後、何を増やしたいですか?

ただ、現場は触るまで自分の要件が分からない。そこで AI でサッと作ったプロトタイプ(試作品、以下プロト)を要件定義の道具にする進め方に変えたそうです。

AI の速さを「開発を早くする」ためではなく「要件を決める」ために使う、という言い方がすごく腑に落ちました。実例でも、「打ち合わせを減らしたい」という相談がプロトを触ってもらったら「メンバー自身が刺さる提案を準備できるようにしたい」に変わったそうです。

SmartHR: 一人で始めた全社 AI 推進、6ヶ月のリアル

小西さんは2026年4月に AI オペレーション室を立ち上げて、約1,600人の会社の AI 推進を一人で始めた方。きっかけは CFO からの「AI のコストが増えているけど、何が起きているか分からない」という DM だったそうです。

最初の1ヶ月は現状把握に全部使い、役割を「ゲートキーパーではなくイネーブラー」と定義。印象的だったのは「ガバナンスと推進は分ける」という話で、ブレーキを踏みながらアクセルは踏めないので、ルール整備はセキュリティ・法務に任せて推進側は推進に集中する。

利用率ほぼ100%でも、仕事は変わらない

いちばんリアルだったのがここ。SmartHR の AI 利用率はほぼ100%に近いのに、組織の仕事や業務プロセスは何も変わっていない、と言い切っていました。

理由は、非開発組織には AI を業務に組み込む仕組みや文化がないから。検証環境、テスト、レビュー、バージョン管理。エンジニアが当たり前に持っているものがない。そこには3つの壁があるそうです。

  • 使う壁: AI は使えるけど、動くものを作れない
  • 実装の壁: 動くけど、実務では使えない
  • 組織の壁: 一人では使えるけど、組織で使い続けられない

だから「ツール導入ではなく組織変革」として扱い、利用者数ではなく AI 投資が事業成果に還元されているかまで測ろうとしている、とのことでした。確かに営業部門に staging 環境はないですね。

パネルディスカッションで印象に残った話

X からの質問で「AI 活用を個人目標に入れているか」が出て、4社とも入れていないのが共通していました。利用状況を見える化して意識してもらう、営業なら「AI 前提の売上目標」を持つ、チームの活用レベルには目標を置くが個人には置かない、といった形で、AI を使うこと自体をゴールにしないのが4社で揃っていました。

「一番苦しかったこと」では、「自分のリソースを削って始めて、成果が出るまでの数ヶ月が一番お腹が痛かった」という話に会場が笑っていましたが、一人で旗振りしている人には切実ですよね。

まとめ

  • 非エンジニアも、きっかけと準備があれば自走する。 ハッカソンで火をつけて、エヴァンジェリスト体制で消えないようにする
  • AI でそれっぽいものが簡単に作れる分、作る前に決める(要件定義)の価値が上がった。 3つの質問と、捨てる前提のプロト
  • 利用率が100%に近くても仕事は変わらない。 非開発組織には仕組みも文化もないので、ツール導入ではなく組織変革として扱う
  • AI 活用を個人目標にはしないのが4社共通

正直、開発エンジニア半年の自分と、社内ハッカソンで AI ツールを作って自走している非エンジニアの方たちって、AI の使い方という点ではほぼ変わらないな、と聞きながら思いました。「エンジニアだから AI に強い」なんて言えない。だからこそ、AI に頼るだけじゃなくて、要件定義とか組織を動かすところまで含めて、一層頑張らないとなと気合が入った勉強会でした。

参考

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