はじめに
PythonからC++に書き替える必要性が出てきた時に、Pythonはなぜファイルに分けず、C++は慣習として分けるのか疑問に思ったのでメモがてら投稿してみました。
1. 分離と再利用
ヘッダーファイル (.h/.hpp): これはクラスや関数の宣言を含みます。外部に公開するインターフェース(API)を定義します。例えば、クラスのメンバ関数のプロトタイプ、メンバ変数、および定数の宣言が含まれます。
実装ファイル (.cpp/.cxx): これはクラスや関数の実装を含みます。実際の処理ロジックが書かれています。
この分離により、実装の詳細を隠蔽し、ユーザーがヘッダーファイルをインクルードするだけで機能を利用できるようにします。
2. コンパイル時間の短縮
ヘッダーファイルが変更されない限り、実装ファイルの変更はヘッダーファイルをインクルードしている他のファイルに影響を与えません。これにより、コンパイル時間を短縮できます。
ヘッダーファイルが頻繁に変更されると、それをインクルードしているすべてのファイルが再コンパイルされる必要がありますが、実装ファイルの変更は、その実装ファイル自身とそれを直接リンクしているファイルにのみ影響します。
3. コードの管理とモジュール化
大規模なプロジェクトでは、コードを管理しやすくするために、クラスや関数の宣言と実装を分けることが推奨されます。これにより、コードの可読性が向上し、メンテナンスが容易になります。
モジュールごとにファイルを分けることで、コードの再利用性が向上し、特定の機能やクラスに焦点を当てて作業ができます。
4. 言語の仕様と歴史的経緯
C++はC言語の拡張として設計されており、C言語のヘッダーファイルと実装ファイルの分割という伝統を引き継いでいます。
プログラムのインターフェースと実装を分けることにより、他のプログラムがそのインターフェースを利用できるようにするという考え方は、モジュール化されたソフトウェア設計の基本的な原則の一つです。
まとめ
以上の理由からC++ではヘッダーファイルと実装ファイルにコードを分割することが一般的です。一方、Pythonのようなスクリプト言語では、このような分割が必要ないため、コードが1つのファイルにまとまっていることが多いようです。Pythonで分割が必要ない理由については別途投稿したいと思います。