開発者の皆さん、こんにちは。日々の開発業務、お疲れ様です。最近ノーコード腐女子から、バックエンド開発までできつつある、ぬるま湯腐女子です。
今回は、最近私が体験した、AIとのちょっとしたすれ違いについてお話ししたいと思います。それは、エラー対応中の、ほんの些細な出来事でした。
コピペしたい、ただそれだけなのに
深夜のコーディング。いつものように、ターミナルに表示されたエラーメッセージ。もはや見慣れた光景です。さて、このエラーメッセージを検索したり、チームに共有したりするために、テキストとしてコピーしたい。しかし、諸事情により、スクリーンショットしか手元にない。そんな時、あなたならどうしますか?
そう、私も多くの皆さんと同じように、AIアシスタントchatGPTに頼ることにしたのです。「この画像のエラーメッセージを書き起こしてください」と、至ってシンプルな依頼をしました。
私が期待していたのは、もちろんこれです。
Error: Cannot find module '/app/dist/index.js'
Error: Error loading shared library better-sqlite3.node: Exec format error
ただ、この文字列が欲しかった。それ以上でも、それ以下でもありません。
期待を遥かに超えた(求めていない)アウトプット
しかし、AIから返ってきたのは、私の想像を遥かに超えるものでした。それは、単なるテキストの書き起こしではありません。まるで、QiitaかZennに投稿されていそうな、懇切丁寧な技術解説記事だったのです。
提供された画像のように、そこには以下の内容が詳細に記述されていました。
エラー原因の徹底分析: なぜ /app/dist/index.js が見つからないのか。better-sqlite3.node の Exec format error とは一体何なのか。Dockerイメージのビルドプロセスにまで言及した、詳細な原因究明。
具体的な解決策の提示: 修正済みの Dockerfile のコード例が2パターンも提示され、それぞれの修正点が丁寧に解説されている。
補足情報と追加提案: TypeScript を使用している場合の注意点や、Cloud Run の仕様に関する言及。そして極め付けは、「ご要望があれば、あなたの Dockerfile と package.json を見せていただければ、そのまま動くように完全修正版を書きますよ?」
という、至れり尽くせりのオファー。
なぜ私は苛立ちを覚えたのか
客観的に見れば、これは非常に優秀なAIの応答です。ユーザーの最終的な目標である「エラーの解決」を先読みし、考えうる最善の情報を提供してくれている。しかし、その時の私は、正直なところ、感謝よりも苛立ちに近い感情を覚えてしまいました。
なぜでしょうか。それは、「今、欲しいのはそれじゃない」という、シンプルな欲求とのギャップに他なりません。
-
スピード感の欠如: すぐにコピペして次のアクションに移りたかったのに、まずは長大な解説記事を読まなければならなくなった。
-
求めていない親切の圧: 親切心からであることは重々承知しているものの、それが過剰であると感じてしまうと、人は無意識のうちにストレスを感じるものです。
-
AIとのコミュニケーションの齟齬: こちらの「書き起こして」という言葉通りの意図が汲み取られず、「エラーを解決したいんですね!お任せください!」と、意図を拡大解釈されてしまったことへのもどかしさ。まるで、道を尋ねたら、その土地の歴史からおすすめのレストランまで延々と語り始める、親切だけど話の長い人に捕まってしまったかのような感覚です。
AIとの上手な付き合い方とは
今回の経験は、AIの能力が向上すればするほど、人間側の「意図を正確に伝える能力」もまた問われるようになる、ということを示唆しています。
AIは、私たちの言葉の裏にある「真の目的」を推測しようとします。それは多くの場合において非常に役立ちますが、時には今回のように、単純作業を求めているだけの場面で、かえって足かせとなることもあります。
もしかしたら、「エラーメッセージの文字列だけを、他の解説なしで書き起こしてください」と、より明確に指示すべきだったのかもしれません。AIとのコミュニケーションには、人間同士のそれとはまた違った「お作法」が必要になってくるのでしょう。
結局、私はAIが生成した長文記事をスクロールするのをやめ、自分でエラーメッセージを手で打ち込みました。その方が、ずっと早かったからです。
AIの進化は目覚ましく、私たちの開発体験を劇的に向上させてくれる可能性を秘めています。しかし、その一方で、こうした「良かれと思って」のすれ違いは、今後も様々な場面で起こるのかもしれません。そんな時は、少しだけ肩の力を抜いて、AIとのユーモラスな関係を楽しんでみるのも一興かもしれませんね。