こんにちは!Eukaryaのヒョンと申します!今回はPLATEAUデータのLODの違いをRe:Earthに表示しながら確認するためこの記事を作ってみました!早速行ってみましょう!
背景
PLATEAUやG空間情報センターから提供されている3D都市モデルデータには、LOD(Level of Detail)というものが定義されています。
LOD0、LOD1のように数字で区切られているので、単純に「数字が大きいほど良いのでは?」と思うかもしれませんが、それぞれのLODによって長所と短所が存在します。
本記事では、LODの定義を説明した後、Eukarya社のOSSプロダクトであるRe:Earth Visualizerに各LODのデータを表示し、その特徴を見ていくことにしましょう。
LODとは?
LODとは、Level of Detailの略語で、3D都市オブジェクトをどれだけ詳しく表現したかを段階別に区分した標準化された水準体系です。

Malhotra, A., & Eicker, U. (2022). Towards real-time urban microclimate modelling using ENVI-met for heat mitigation studies. BauSIM 2022 Conference Proceedings, International Building Performance Simulation Association.
https://publications.ibpsa.org/conference/paper/?id=bausim2022_Malhotra_Avichal
LODが高いほどデータがより精密になりますが、それぞれの特徴があるため、活用目的に応じた選択が必要です。
- LOD0
- オブジェクトの平面と単純な高さのみを提供
- 容量が比較的小さいため、交通·物流など都市規模の分析に適合
- LOD1
- 建物の外郭形態を直方体に単純化
- 実際の屋根の形は反映されない
- LOD2
- 実際の屋根の形を反映
- テクスチャ(Texture)を含めることができ、よりリアルな建物外観描写が可能
- LOD3
- 窓、ドア、外壁の区分など建築的ディテールを含む
- 都市スケール3Dデジタルツインモデルとして活用可能
- LOD4
- LOD3の外観に、室内空間まで表現
- BIM(Building Information Modeling)と連携して活用可能
Re:Earth Visualizer
Re:Earth Visualizerは、3Dまたは2Dの地図上にデータを配置して共有できるサービスです。

直感的な操作で3D地図を作成でき、専門的な知識がなくても空間分析および共有が可能なプロダクトで、以下のような特徴を持っています。
- 地図表現
- 3Dモデル、ヒートマップ、図形、画像、テキストなど、さまざまなデータを直感的な操作で地図上に配置して表示
- スタイルやカスタマイズも可能
- 共有機能
- 作成した地図をURLで簡単に共有
- 拡張機能
- Re:Earth公式、ユーザー公開の多様な用途のプラグインをすぐ適用可能
- Javascriptで独自のプラグインを作成して機能をさらに拡張可能
使用方法
アカウント作成

Re:Earthウェブページの右上の [はじめる] をクリック
ワークスペース作成

ダッシュボードで左上の[あなたのワークスペース]の右の[新規]をクリック
Visualizerプロジェクト作成

ダッシュボード右側の[Visualizerエディタ]をクリック

Visualizerエディタ上段の [新規プロジェクト] をクリックし、必要な内容を記入して [適用] クリック
LODデータ追加

左側の [レイヤー] で [新しいレイヤー] をクリックし、[リソースからレイヤーを追加] をクリック
[3Dタイル]からURLを選択
追加したい3D都市モデルのURLを入力した後、[レイヤーに追加]をクリック

PLATEAUで公開中の3D都市モデルのURLを下記リンクから確認できます。
Ctrl+DでLODまたは地域など、希望するキーワードで検索した後、urlに該当するアドレスをコピーして使ってください。

右上の [シーン] で [地形] をクリックし [インスペクター] の [地形] スライダーをクリックして有効化
以上のプロセスで、確認したい3D都市モデルデータを地形が適用された3D地図上で確認することができます。
LOD別特徴
LOD0
厳密に言えば、LOD0は単純平面データで、PLATEAUでも建築物を除いた一部の項目だけがLOD0で提供されています。

LOD0データは他のLODと異なる形式で提供されるため、地図に表示するためには、[ベクトルタイル]でURLと該当するレイヤー名を入力してから読み込む必要があります。

LOD0データは容量が小さく、構造が単純なだけに、自動化処理でも問題なく大規模都市規模のデータを更新できます。
また、平面データであるため直接的な3D分析はできませんが、分析のフィルタリングデータとして使用したり、ベースレイヤーとして使用するなどの活用法があります。
LOD1

LOD1は平面に高さだけが適用された最も基本的な3D立体モデルで、自動化された大量生成が可能で、行政区域全体のデータを構築する際にはLOD1を優先的に構築します。
屋根形状が含まれていないため、一部の分析には使用が困難ですが、電磁遮蔽分析のように主に外壁で行われる分析などには十分に活用できます。
LOD2

LOD2は、ほとんどの国家レベルの3Dモデルで標準的に使用する精度で、建物の実際の屋根構造が反映され、LOD1で制限的にのみ適用できたテクスチャ表現を本格的にサポートしています。
屋根が表現され、太陽光発電ポテンシャル分析、3D景観シミュレーションなど、さまざまな分析が可能になります。
LOD3

LOD3では窓、ドアなど外観の細部が表現され、高解像度テクスチャーを適用する場合、リアルな都市を3Dで具現することができます。
実物に近い外観モデルを再現できるため、VR/ARでの都市実現にも活用でき、実感型デジタルツインを製作するのに適したLODです。
LOD4
LOD4は、LOD3の外観に室内空間構造まで含めた最高レベルのLODです。

Visualizerで表現した時は下位LODと似ているように見えますが…

カメラを操作してモデルの内部を見ると、室内空間も精密に実装されていることが確認できます。
地物(建物や道路など地理的特徴)の外形だけでなく、室内の空間構造(Room、Corridor など)まで表現できるようになり、室内ナビゲーション、災害避難シミュレーションなどに活用でき、デジタルツイン基盤施設物の維持管理が可能になります。
まとめ
このように、それぞれのLODは特徴と長所と短所を持っているので、用途によって選択して使う必要があります。
例えば、日射量分析などのシミュレーションでは、LOD3の詳細なジオメトリが計算負荷を高める場合があるため、ほぼ同じ結果が得られますが、データ容量が比較的小さいLOD2データを使用して分析を行うこともできます。
また、LOD3、LOD4のように高いレベルのLODデータはまだ製作されていない地域が多いため、既存に製作されたLODで妥協して使用するなど、少し現実的な対応も必要です。
このように、その特徴を考えながら、それぞれのLODを適材適所に活用すれば、より高品質な成果物を作ることができるので、皆さんも3D都市モデルデータを使用する際に、LODについてもう一度考えてみてください!


