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【PHP】オブジェクト指向の近道 - staticと転送コール

Last updated at Posted at 2022-11-15

staticプロパティとstaticメソッド

前回までは、インスタンスを生成してプロパティとメソッドを使いました。インスタンスのプロパティとメソッドとは別に、クラスのプロパティとメソッドにアクセスすることもできます。これらをstaticプロパティ(静的プロパティ)とstaticメソッド(静的メソッド、クラスメソッド)とよびます。staticプロパティとstaticメソッドはクラスごとにあり、プロパティやメソッドのようにインスタンスごとにはありません。

例えば、生成したインスタンス数$numberをもちたい時にstaticプロパティを使います。生成したインスタンス数はクラスごとの値ですので、staticプロパティに値をセットするのがよいです。また、staticプロパティにアクセスするだけのメソッドgetNumber()は、インスタンスにある必要がないのでstaticメソッドを使うのがよいです。

Person3のクラス定義です。staticをつけるだけで、staticプロパティ$numberstaticメソッドgetNumber()を定義できます。

<?php

class Person
{
    private $name;

    public function __construct($name)
    {
        $this->name = $name;
    }

    public function getName()
    {
        return $this->name;
    }
}

class Person3 extends Person
{
    private static $number = 0;

    public function __construct($name)
    {
        parent::__construct($name);
        ++self::$number;
    }

    public static function getNumber()
    {
        return self::$number;
    }
}

$person_a = new Person3('suzuki');
$person_b = new Person3('tanaka');

$person_number = Person3::getNumber();

var_dump($person_number);

staticプロパティとstaticメソッドはクラスごとにある

転送コール

子クラスから親クラスのメソッドをコールしたい時はparent::を使います。self::parent::を転送コールとよび、クラス定義でのみ使えます。parent::を使用して親クラスのメソッドを呼び出し、その後に処理を追加することで、子クラスのメソッドに追加の処理を挿入することができます。親クラスのメソッドを利用できるため、子クラスのメソッドでは変更分だけをコーディングするだけですみます。

親クラスを転送コール
        parent::__construct($name);

クラス内ではself::で自クラスのstaticプロパティとstaticメソッドにアクセスします。

staticプロパティにアクセス
        ++self::$number;

クラス外からはPerson3::getNumber()のように、クラス名を指定してstaticメソッドにアクセスします。

クラス外からstaticメソッドをコール
$person_number = Person3::getNumber();
実行結果
int(2)

インスタンス内は$this、クラス内はself::、親クラスはparent::でアクセス

staticメソッドからインスタンスのプロパティにはアクセスできません。

クラスから複数個のインスタンスが生成されるため、どのプロパティにアクセスするかを特定できないからです。

遅延静的束縛

PHPの中でも最強クラスの攻撃力がありそうな、遅延静的束縛でこの記事をしめたいと思います。転送コールparent:: self::で対応できないケースに、static::で転送コールする時に遅延静的束縛がおこります。

親クラスPersonでは親クラスのプロパティ$ageを、子クラスPerson2では子クラスのプロパティ$ageにアクセスしたい時に、転送コールstatic::を使います。転送コールself::$ageは常にPerson$ageにアクセスしますし、Personに親クラスがないため、転送コールparent::$ageは使えません。

sample7-1.php
<?php

class Person
{
    protected static $age = 26;

    public static function getAge()
    {
        return static::$age;
    }
}

class Person2 extends Person
{
    protected static $age = 28;
}

$person_age = Person::getAge();
$person2_age = Person2::getAge();

var_dump($person_age);
var_dump($person2_age);

staticは直近の非転送コールPerson:: Person2::を保存して、そのクラスに動的に転送(Late Binding)します。

実行結果
int(26)
int(28)

static::は、いい感じの転送コール

オブジェクト指向の近道(全5記事)

  1. なぜオブジェクト指向が必要か?
  2. クラスとインスタンス
  3. 継承とトレイト
  4. アクセス権とカプセル化
  5. staticと転送コール
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